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エダラボン edaravone

ここでは脳梗塞急性期での「エダラボン」に関してまとめます。

臨床試験

以下の臨床試験が急性期脳梗塞でのエダラボンとプラセボを比較した最初のRCTです。

確かに神経学的予後の有意差は出ているのですが、primary outcomeをmRSに設定していますが来院時のmRSに関して言及がない点が問題とされています。その後のsystematic reviewもありますが、この臨床試験を含んでいるため解釈が難しくなります。

このほかにも臨床試験はありますが、いずれも日本または中国からの報告です。

ガイドライン

AHA/ASA Stroke. 2019;50:e344–e418

3.12. Neuroprotective Agents

  1. At present, pharmacological or nonpharmacolgical treatments with putative neuroprotective actions are not recommended. COR Ⅲ: No Benefit LOE: A

There have been myriad attempts to establish the efficacy of pharmacological and nonpharmacological interventions with putative neuroprotective action in acute stroke that have failed when tested in human clinical trials. Since the 2013 AIS Guidelines, there have been several more trials testing putative neuroprotective agents that have been negative.

*edaravoneに関してはそもそも単語がガイドライン上一度も登場しない.

脳卒中治療ガイドライン2021(日本)

「脳保護作用が期待されるエダラボンは、急性期脳梗塞患者の治療に用いることは妥当である」(推奨度B エビデンスレベル中)

添付文書の記載

*以下太字は管理人によるものです(よく見逃されている点と思います)。

適応:脳梗塞急性期に伴う神経症候、日常生活動作障害、機能障害の改善
用量:1回30mgを1日2回(朝夕)30分かけて点滴静注、発症後24時間以内に投与開始、14日間以内
禁忌:重篤な腎機能障害
特定の背景を有する患者に関する注意:脱水、感染症、心疾患、高度な意識障害(JCS≧100)、腎機能障害、肝機能障害、妊婦、授乳婦、小児、高齢者
相互作用:抗菌薬(セファゾリン、セフォチアム、ピペラシリンなど)
重大な副作用:急性腎障害(0.26%)、ネフローゼ症候群(0.02%)、劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.24%)、黄疸(頻度不明)、血小板減少(0.08%)、顆粒球減少(頻度不明)、DIC(0.08%)、急性肺障害(頻度不明)、横紋筋融解症(頻度不明)、ショック・アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

調製時の注意:原則として生理食塩液で希釈すること。各種糖を含む輸液と混合すると、その後エダラボンの濃度低下を来すことがある。
薬剤投与時の注意:高カロリー輸液、アミノ酸製剤との混合又は同一経路からの点滴はしないこと。混合すると、その後エダラボンの濃度低下を来すことがある。

*以下はコメント:上記臨床試験では”inclusion criteria”が発症72時間以内となっていますが、添付文書上は発症24時間以内となっています。これは添付文書内には「開発時の臨床試験は主として発症後72時間以内の脳梗塞急性期患者を対象に実施された。この全症例を対象にした解析において有効性が認められたが、層別解析の結果、発症後24時間以内に投与を開始した症例において効果がより顕著であったため、承認された用法及び用量においては「発症後24時間以内に投与を開始」と設定された。」と記載があります。

実際にどうする?

「脳梗塞→とりあえずエダラボン」は良くない考え方です。この問題点をまずは列挙します。

1:そもそものindicationを理解せずに処方している
・元のstudyからもわかるように、発症から時間が経過している症例は除外されています。また来院時JCS≧100も除外されていますので、これらの症例に投与することは効果が証明されていません。

2:副作用を考慮していない
・投与するからにはrisk/benefitを常に理解する必要があります。上記の通り副作用は多彩で、重度腎機能障害は禁忌に該当しています。また心疾患既往患者などでも注意が必要で、これらの点を理解し採血もある程度頻回にフォローして肝機能障害や血球異常が出てこないかを調べる必要があります。

3:そもそものエビデンス
・ここは難しいところです。純粋に臨床試験の数が限られており、かつ最も根拠となる上記の試験ではよく問題点が指摘されています。またこれは直接問題にならないかもしれませんが、海外のガイドラインでは一切言及がされていない点にも注意するべきと思います。

私個人の経験ではEBMに習熟されている先生は「使わない」、そのようなEBMに習ったことがある医師は「そう教わったから使わない」、通常の脳卒中診療医は「使う」という大まかな傾向があると思います(あくまでも個人の経験上です)。

私個人の結論としては「絶対に使わないといけない/使うべきではない」という根拠はどちらもないと思います。上記の点を十分に理解した上で処方することは問題ないと思いますが、上記の把握が不十分で「脳梗塞とりあえずエダラボン」というプラクティスは良くないと思います。また「〇〇先生が使わない方が良い/使った方がよいと言っていたから使わない/使う」という思考停止は良くないという点に集約されるかと思います。施設ごとに基準などもあるかもしれませんので、改めて考える機会にしたいです。