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wide QRS tachycardia

ポイント

・ABCを確認する。循環動態が安定していたとしてもすぐに電気的除細動が出来るような準備をしておく(当初は安定していても、急激に血行動態が不安定になる場合があるため)。12誘導心電図も除細動パッドを貼った状態で記録する。
・無脈性心室頻拍(pulseless VT)の場合は心肺蘇生に準じて(こちらを参照)すぐに除細動と胸骨圧迫が必要。
・原因は心室頻拍もしくは上室性頻拍(前者が圧倒的に多い)。両者の鑑別は一見難しい場合も多く、最初は「心室頻拍」として対応し、循環器医と相談する。

原因

1.上室性頻拍
・脚ブロック(心室内変行伝導を含む)
・副伝導路を介した上室性頻拍

2.心室頻拍→原因として多く、わからなければまず心室性頻拍として対応する

■上室性頻拍と心室性頻拍の鑑別方法
Brugadaアルゴリズム(Circulation 1991;83:1649)が鑑別方法として有名であるが、現実的には緊急での対応が求められるため上記を緊急に循環器非専門医が解読することは難しい。繰り返しになるがわからない場合は心室頻拍として対応し、治療に関して循環器医と相談する。
*参考:Brugadaアルゴリズム (Circulation 1991;83:1649)
Step 1:前胸部誘導でRSパターンがない→心室頻拍
Step 2:前胸部誘導でRSパターン>100msec→幅が広い場合心室頻拍
Step 3:房室解離→ある場合心室頻拍
Step 4:V1,2とV6誘導で形態学的基準*→満たす場合心室頻拍
Step 5:いずれも満たさない→上室性頻拍
・ATP投与により房室伝導をブロックすることで、上室性頻拍と心室頻拍を鑑別する方法もある。(副伝導路を介した上室性頻拍では禁忌となるため注意が必要)。

Wide QRS tachycardiaへのアプローチ

1:ABC・循環動態の確認+ルート確保+除細動器準備→不安定な場合はすぐ電気的除細動
・虚血、心不全、意識障害などの臨床症状に注意
・循環器医と相談
2:検査 *必ず除細動器をつけた上で行う
・採血(血算・生化学・凝固・電解質(K, Mg, Ca)、心筋逸脱酵素・甲状腺機能)
・血液ガス検査
・12誘導心電図 *以前の心電図確認(脚ブロックが以前からあれば上室性頻拍の可能性もある)
・胸部レントゲン
・心エコー検査
・薬剤歴:QT延長を起こす薬剤の確認
*原因として急性冠症候群QT延長症候群が重要
3:治療
・電気的除細動
・薬物治療(アミオダロン)