商品名:フィコンパ
■作用機序:AMPA受容体拮抗薬 *下図の通りpost-synapticに作用する点が他の抗てんかん薬との違いとして重要で、他剤でコントロールがつかず本剤でコントロールできる場合も確かにあります。
■製剤:2mg/錠、細粒
・Tmax=0.5~2.5hr
・T1/2=76hr(半減期が非常に長いことが特徴)
・代謝:肝臓 CYP3A4
■適応:部分発作(二次性全般化を含む)
・元々は他の抗てんかん薬に併用する形での認可でしたが、単剤療法も日本と韓国で行われたFREEDOM試験の結果に基づいて認可されています(Epilepsia Open. 2020;5(2):274–284. doi:10.1002/epi4.12398)。
・てんかん重積に関しての適応取得はないですが、81例のRSEに対して使用し、27例がresponderであったと後ろ向き研究で報告されています(J Neurol. 2021. doi:10.1007/s00415-021-10506-9)。以下で精神副作用に関して述べますが、それ以外の循環動態や血液検査に関する副作用が少ない点は優れている点として挙げられます。
■使用方法:1日1回眠前使用(半減期が長いため1日1回の内服で良い点はコンプライアンス面の利点がある)
開始:2mg/日
維持:4週間ごとに2mgずつ増量していく(slow titrationが必要)
*増量間隔が1~2週間ごとは早すぎると個人的には思う(添付文章には1週間以上あけてとの記載にとどまるが)
*6mg/日以上への増量はより慎重さが必要(副作用の観点から)
最大:8mg/日 (PHT,CBZ併用時は12mg/日)
*服薬直後の眠気が問題となるため(服薬後の眠気・ふらつきは服薬後30分後くらいがピークになる)、就寝直前に内服することがポイント (参考:もっとねころんで読めるてんかん診療 著:中里信和先生)
■禁忌:重度の肝障害
■相互作用:下図は添付文章から引用(特にカルバマゼピン 66%、フェニトイン 49%がペランパネルの血中濃度を低下させる)
■副作用:精神副作用(攻撃性・自殺企図など)
*私は元々何も精神疾患の既往がない若年女性の方がてんかんの診断で他院でLEV2000mgにPERを2mg/日加えて、すぐに4mg/日へ増量したところ精神的に非常に攻撃的になり(詳細は伏せますが)、医療保護入院一歩手前までなり紹介受診となった経験があり(ペランパネルを中止したところ1週間くらいで全く元通りの精神状態に戻りました)、ペランパネルをどんどん増量することに関して抵抗感があります(あくまで個人の経験に基づく感想です)。
*最近使用されることが多い薬剤になっていると思いますが、精神副作用にはかなり敏感になった方が良いと思います。下図はペランパネルの臨床試験での精神副作用の頻度まとめ(Epilepsia, 56(8):1252–1263, 2015)。
*自殺頻度に関して大規模前向き研究をまとめた報告ではplaceboと比較して自殺/自殺企図いずれも有意な増加を認めなかったと報告されています(JAMA Neurol. doi:10.1001/jamaneurol.2021.2480)。
参考文献
・Therapeutics and Clinical Risk Management 2021:17 739–746 アジア人のペランパネル使用に関してまとめたexpert opinionです