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食べ物アレルギー food allergy

分類(以下はいずれもⅠ型アレルギー)

1:即時型アレルギー(アナフィラキシー)
2:食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)
3:口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome: OAS)

原因

鶏卵、牛乳(α-ラクトアルブミン)、小麦(ω5-グリアジン)が3大アレルギー原因(これらは幼少期にアレルギーとなりやすいが、年齢が上がると耐性獲得をしやすい)・鶏卵:卵白・オボムコイド(オボムコイドが低値であれば加熱卵は食べることが可能である)
・その他重要なもの:ソバ(重症化しやすい、クレープにも含まれる、耐性を獲得しづらい)、ピーナッツ(Ara h2)、エビ、カニ(耐性獲得少ない、これらはアレルギー表示義務がある)。
・木の実増加してきている:クルミ(Jug r 1)増加、カシューナッツ(Ana o 3 ピスタチオと交叉反応)は頻度が少ないが重度のアナフィラキシーを呈しやすい。


・各食品と交差反応や発症年齢、耐性獲得の対応関係は下図参照。

参考文献:J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Jan;9(1):82-99.

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)

病態:運動だけ、食べ物だけでは問題ないが、ある食べ物を食べ運動した後(通常2時間以内)に限りアナフィラキシーを引き起こす。また誘因があると生じやすいため、毎回生じるとは限らない。
誘発因子:感冒、睡眠不足や疲労などのストレス、月経前状態、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)摂取、アルコール摂取、入浴など→吸収がどれくらい速いか?が問題
原因小麦 ω5-グリアジン(61.9%)>エビ・カニ(11.9%)>果物(8.4%)など

参考文献:厚生労働科学研究補助金 免疫アレルギー疾患実用化研究事業「生命予後に関わる食物アレルギーの実態調査・新規治療法の開発および治療指針の策定」研究班(研究代表者:森田栄伸):食物依存性運動誘発アナフィラキシー.特殊型食物アレルギーの診療の手引き 2015,pp2-3, 2015

口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome: OAS)

・病態:口唇、口腔粘膜、咽頭粘膜でのIgEを介した即時型アレルギー。徐々に増えていく。*花粉-食物アレルギー症候群
・症状:口唇、口腔内の掻痒感や咽頭のいがいがした違和感など。アナフィラキシーのリスクは相対的に成人では低い。
・原因(以下アナフィラキシー呈しやすいため)
カバノキ科(ハンノキ、シラカンバ)豆乳(Gly m 4)豆乳湯葉はハイリスクであるが、みそ醤油のような発酵食品ではほとんど生じない*アナフィラキシー多い、バラ科
ヨモギセリ科(セロリ、にんじん、スパイス類クミン・コリアンダー・フェンネル)
ラテックス-フルーツ症候群天然ゴム(ラテックス ヘベイン Hev b 6.02)のアレルギーがある患者が、果物・野菜(アボカド、キウイ、バナナなど)の摂取によりⅠ型アレルギー(口腔アレルギー症候群、蕁麻疹、アナフィラキシーなど)を生じる現象*合成ゴムは問題なし・こちらのサイトが詳しいです

納豆アレルギー
・臨床像:納豆食べてから数時間~半日後に発症する遅発型IgE依存性アレルギー(重度のアナフィラキシーを呈しやすい)
・抗原:PGA(ポリガンマグルタミン酸:高分子で腸管で分解吸収されるのに時間がかかるため遅発性になる)はクラゲの触角にも含まれる→患者の80%がサーファー、その他漁業や養殖業など水産関連業従事者
・検査:プリックテスト

食物以外のアレルゲン由来

コチニール:経皮感作(口紅、アイシャドウ) 食べ物:お菓子(チョコレート、マカロン)、加工食品など

パンケーキ症候群
ミックス小麦粉(常温長期保存)にダニが繁殖して生じるダニ抗原→家ダニに感作されている患者が経口摂取で誘発
お好み焼き接食後に多い *小麦アレルギーが元々ないので一見わかりづらいことがある

食べ物アレルギーの検査

1:抗原特異的IgE抗体検査 (原因と考えられるもの) RAST
2:皮膚プリックテスト
3:食物経口負荷試験(専門施設で行う)
*抗体検査、プリックテストいずれも偽陰性、偽陽性が多いため解釈に注意が必要
*OAS、成人エビ、大豆アレルギーではRASTよりもprick-to-prick testの診断精度が高い
*皮内テストは危険性が高く一般的に行わない
*IgG測定は推奨されていないので注意

治療:必要最小限の原因食物の除去

参考文献
・食物アレルギーの診療の手引き2017「国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患等実用化研究事業免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(免疫アレルギー疾患実用化研究分野)  小児期食物アレルギーの新規管理法の確立に関する研究」
・N Engl J Med 2008;359:1252-60.
・J Allergy Clin Immunol. 2001 Dec;108(6):881-90.