注目キーワード

神経内科 おすすめ本 後期研修医向け

私の専門である神経内科領域のおすすめ本(神経内科を専門とされる卒後3-5年後期研修医の先生方向け)をこの記事では紹介させていただきます。症候学・画像・電気生理・解剖・病理・雑誌とジャンルごとに掲載させていただきました。本の写真をクリックしていただくとAmazonのリンクに飛びます。

神経症候学

神経症候学を学ぶ人のために 著:岩田誠先生

神経症候・診察方法に関して包括的かつ具体的に(白黒ですが写真も多くあります)記載されています。日常臨床で症候や診察で迷ったらまずこの本で診察方法などを確認すると良いと思います(この本に記載されている内容どおりに診察して上級医から怒られることはないはずです)。非常に大きな本で持ち運びは大変ですが、参照できるように医局にあると便利だと思います。

神経症候学 著:平山惠造先生

平山神経症候学とも呼ばれるおそらく神経内科の本の中で最も分厚く・内容も詳しい本です(こんなに分厚いのにまさかの分冊)。読むのには非常に時間がかかりささっと調べるのには全く向いていないのが唯一の欠点ですが、いつも平山先生の臨床経験に基づいた示唆に富む言葉が書かれており驚愕します。

画像

神経内科疾患の画像診断 第2版 著:柳下章先生

和書の神経画像本として本書の右に出るものはない名著で、神経内科の後期研修では必ず購入するべきと思います。各疾患ごとに非常に詳しくまとめられており、私も最もよく開く本のうちの1つです。

Diagnostic Imaging: Brain 著:Osborn先生

神経画像の洋書・教科書ではおそらく最も有名な本です。ハードカバーの非常に分厚い本でとても持ち運びできませんが、タブレット端末に本の内容をダウンロードすることが出来るため私はこれを利用しています(inklingのebooksというアプリをダウンロードするとタブレット端末にインストール可能です)。疾患ごとの具体的な画像例が非常に多く掲載されていることが本書の何よりも強みです。英語も「しっかりした説明の文章」というより箇条書きのスタイルになっているため、ストレスが少なく読むことが出来ます。神経画像の辞書の様な使い方に向いている本と思います。

電気生理

MMT・針筋電図ガイドブック 著:園生雅弘先生

MMTの具体的なとり方(写真で解説されており非常に参考になります)、原理原則、そして髄節支配や筋力低下の解釈にわたり園生先生の膨大なご経験に基づいた叡智がまとめられており素晴らしい本です。特に髄節支配に関しては教科書ごとに記載がやや(かなり?)異なりますが、私は普段園生先生の記載を元解釈させていただいております(腕撓骨筋はほとんどの教科書はC6とされていますが、園生先生はC5>C6とされているなど)。「もっと早くこの本に出会いたかった」と私は本書を読みながら思いました。

筋電図のための解剖ガイド

針筋電図で具体的に筋のどの部位を刺せばよいか?の参考になる本です。生理検査室に必ず1冊はあるはず。

神経伝導検査と筋電図を学ぶ人のために 著:木村淳先生、幸原伸夫先生

神経伝導検査や針筋電図検査はまずその原理を理解することが重要と思います。本書でしっかり勉強することが「急がば回れ」で最も確実な理解につながると思います(後は実践あるのみ)。読み応えがあるので、まとまった時間があるときにじっくり読むのに向いた教科書と思います。

脳波判読オープンキャンパス

脳波の教科書はどれも難しいものが多く、初学者向けの本が少ない現状がありましたがこの本が今後スタンダートになるのではないかと思うくらい素晴らしい内容です。脳波読影の基礎からまとめており、私もこの本で一から勉強しています。

神経解剖

臨床のための神経機能解剖学

解剖学的な位置関係が綺麗なイラストで書かれており、大変分かりやすい内容です。神経内科医のほとんどが持っている本だと思います。神経解剖で1冊購入するのであれば間違いなく本書を選ぶべきと思います。

末梢神経と筋のみかた

髄節、末梢神経、筋肉の関係性をまとめており、また各筋肉のMMTのとり方や、末梢神経の具体的な走行などをきれいなイラストでまとめられています。薄くて持ち運びやすく、この内容を繰り返し確認して頭に入れていく作業が末梢神経~筋疾患の解剖理解につながっていくと思います。

病理

臨床のための筋病理 著:埜中征哉先生

日本語で書かれた筋病理の教科書はほぼこの本一択になると思います。内容も非常にわかりやすく、また実際の筋病理写真が多数掲載されており、この写真をいつも参考に検鏡しています。

カラーアトラス末梢神経の病理

病理の本はどうしても少なく、末梢神経の病理教科書もおそらく本書一択になると思います。とても病理の写真が綺麗で、勉強になります。

末梢神経・筋疾患診断トレーニング

本書は教科書ではなく問題集です。日本の神経内科をリードされている先生方が末梢神経疾患と筋疾患に関して具体的な症例ベースで問題をときながら解剖・電気生理・病理の理解を深める構成になっており、非常に勉強になりました。少し電気生理や病理の基本を勉強してから問題を解いた方が効率よく学べると思います。

雑誌

BRAIN and NERVE

毎回各ジャンルのトップクラスの先生方による非常に質の高い記事が掲載されており、神経系の雑誌ではおそらく最も有名と思います。私がこのホームページで何か神経疾患に関する記事を作る際も”Brain and Nerve”の記事をよく引用させていただいております。私は興味のあるテーマのときは時間が空いた時にできるだけ読むようにしております。

脊椎脊髄ジャーナル

神経内科医そして整形外科医向けに書かれた脊髄疾患・脊椎疾患のみをターゲットとした比較的マニアックな内容の雑誌です。”Brain and Nerve”ほど有名ではないかもしれませんが、具体的な診察方法に関して記事があったり(例えばBeevor徴候の記事などがあります)、脊椎脊髄の診断方法に関してまとめた内容があったりとニッチなニーズに答えており個人的には好きな雑誌です。

以上あくまで私の好みではありますがオススメの神経内科関連教科書を紹介させていただきました。