免疫不全と感染症

免疫不全の分類

免疫不全をただ漠然と「免疫不全」とくくってしまうのではなく、具体的に免疫機序のどの部分が障害されているか?により大きく「好中球減少」・「細胞性免疫不全」・「液性免疫不全」の3通りに分類するとアプローチがしやすくなると思います。以下に免疫不全と対応する病原体の関係をまとめた図を掲載します。

好中球減少

・好中球減少をきたす原因の代表は白血病、またその治療である骨髄移植です。
・原因病原体として細菌で最も重要なのは緑膿菌腸内細菌(特に大腸菌とクレブシエラ)です。好中球減少でこれらの感染症は緊急性が高いため必ず抗菌薬カバーを入れることが重要です。
・真菌感染症ではカンジダアスペルギルスが代表的なものとして挙げられます。
・発熱性好中球減少に関しては別途まとめましたので、こちらをご参照ください。

細胞性免疫不全

・疾患ではHIV感染症や悪性リンパ腫、治療ではステロイドや免疫抑制剤が原因となり日常臨床でも遭遇する機会が最も多い免疫不全になります。
・特にステロイド使用中の患者などでは発熱や臓器特異的な所見に乏しいことが多く、発症初期には診断が難しい場合も多いです。
・原因病原体の一覧をみると、いわゆる広域抗菌薬(ピペラシリン・タゾバクタムやカルバペネムなど)ではカバーされない病原体が多いことがわかり、免疫不全だからとりあえず広域抗菌薬を選択すれば良い訳ではないことがよくわかります。
・発熱性好中球減少と異なり時間単位で対応しないといけない感染症は限られ、また特に真菌感染症では生検などの侵襲的検査が診断に必要となる場合もあります。

液性免疫不全

・治療目的の脾摘後や抗補体モノクローナル抗体が代表的な原因です。特に近年atypical HUSだけでなく、重症筋無力症や視神経脊髄炎といった神経疾患領域で後者の抗補体モノクローナル抗体が使用されるようになってきたため重要性が増してきています。
・莢膜を有する細菌、具体的には肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ桿菌が罹患・重症化しやすいため注意が必要です。
・特に髄膜炎菌はfulminantな経過をたどり、発熱から数時間で敗血症、多臓器不全に至り致死的な疾患であるため医療者がこれらのリスクが背景にないかどうか?また治療を受けていないか?把握しておくことが重要です。ワクチン接種などをきちんと行うことでリスクを下げることが可能です。

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