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グラチラマー酢酸塩 GA: glatiramer acetate

商品名:コパキソン 日本承認2015年
製剤:コパキソン20mg投与法:皮下注射(オートインジェクター)
投与方法:20mg 1日1回皮下注射(時間指定はなし)・連日投与
*製剤の保存方法
・冷蔵2-8度、凍結は避ける
・投与前に室温に戻して使用する(20分としているが体感温度でそれより短い時間でも問題なし)
・オートジェクト2という専用の注入補助器を使用する 参考サイト:https://www.ms-lounge.jp/page17.html

適応

適応:RRMS第1選択薬(IFNと並んで:いわゆるABC療法)再発予防効果
DMDの中で安全性が最も高い
*再発予防効果は2年間平均年間再発率:29%減少 Neurology 1998;50:701
*画像の活動度抑制/脳萎縮抑制効果、また身体障害度抑制の効果はDMDの中では低い
*PPMS, SPMSに関してエビデンスなし。
NMOSD増悪の報告はなし(他のDMDと異なる点として重要)。

副作用

・注射直後反応:投与直後数分以内に動悸やほてりなどを自覚する症状(多くは一過性であり薬剤投与中止する必要は通常ない)
・局所反応 80%以上:同一部位への投与間隔をあける(注射部位は連日変更することで対応)
*PML報告例なし 安全性の高さがGAは他のDMDと比べて最も高い
*副作用に関して忍容性が高いとされている(脱落率は低い)

■禁忌:なし 併用禁忌薬剤:なし

■妊娠: 「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」  DMDの中では比較的安全な薬剤になる
*多発性硬化症と妊娠に関してはこちらをご参照ください。

投与前チェック項目

・特別な検査は必要なし(開始前のベースラインMRI検査くらい)
*導入は必ずしも入院する必要はないがどちらでもOK。

投与後チェック項目

・注射部位反応の確認

グラチラマー酢酸塩の臨床試験

■IFNβ1b(250μg , 500μg)とGAを比較したRCT “BEYOND” trial Lancet Neurol 2009; 8: 889–97

・2447人RRMS患者を両者に割り付け、2.0-3.5年間追跡(RRMS, 18-55歳、DMD導入なし、直近1年以内に再発1回以上あり、EDSS=0-5)
・baseline:EDSS2.3前後、女性70%、白人約90%、年齢約35歳、過去2年以内に2回以上の再発約70%
・結論:両者で再発、EDSSの進行、頭部MRIでのT1低信号病変のvolumeいずれも有意差なし。T2延長病変の出現、Gd造影病変のvolumeはIFNβ1bの方が抑えられている。
・副作用はインフルエンザ様の全身症状がIFNβ1bで多く、注射部位反応がGAで多い結果。
・limitation:過去の報告よりも再発が少なく、他の治療が導入されている患者も除外されているため全体的にmildな病態の患者が主体になっている。

副作用一覧