中毒へのアプローチ

1:Toxidrome vital sign,身体所見からのapproach

意識障害やvital signに異常がある患者で、中毒を疑い「とりあえずトライエージ®「triage®陰性だから中毒ではないかー」というアプローチは間違っています。vital sign、身体所見からどのようなtypeの中毒が疑われるかまず分類して、その原因となりうる薬剤歴があるかどうかを確認するという系統的アプローチが必要です。このvital sign、身体所見から分類されるものを“toxidrome”と表現します(下図にまとめました)。

具体的にはvital sign, 身体所見では瞳孔、発汗、気道分泌物、腸蠕動音、尿閉になっていないか、皮膚の色調、深部腱反射(出来れば)を確認し分類します。発汗が多いかどうか、気道分泌物が多いかどうか、やたら尿閉になっていないかどうか、皮膚が赤みがかっているかどうかという点は普段の診療ではなかなか着目しない点と思うので、中毒ならではの身体診察かもしれません。

例えば交感神経賦活する薬剤の中毒(コカイン、カフェインなど)では、交感神経刺激の症状として血圧、心拍数は上昇し、発汗が上昇し、興奮状態になります。身体所見では散瞳し、発汗が増加します。

抗コリン薬(抗ヒスタミン薬、抗精神病薬など)もvital signは交感神経賦活薬と同様ですが、発汗が低下(皮膚が乾燥)する点が異なるため鑑別点となります。

コリン作動性の薬剤はこれまでと逆にvital signでは徐脈傾向、身体所見では下痢や気道分泌物の上昇、縮瞳します。

こういったvital sign, 身体所見からどのタイプの中毒になるか、toxidromeを考えて対応しましょう。

2:検査

中毒で有用な検査を挙げると

・血液検査:血中浸透圧(特にosmolar gapの上昇するメタノール、エタノール、エチレングリコールなどで)、ChoE(コリンエステラーゼ活性)、CK
血液ガス検査:AG開大性アシドーシスの有無、CO濃度
心電図QT延長所見がないかどうか
・尿中薬物検査:Triage®(トライエージ®)

これらが有用です。一般的に救急の現場でTriage®が使用される場合が多いですが、この検査は誤解が非常に多いため注意が必要です。

知っておくべき注意点(誤解されやすい点)をまとめると、

トライエージ®で全ての中毒を調べることは出来ない。(どの中毒を調べることが出来るかを予め知っておく必要がある)
通常量の内服でも検査陽性となってしまうため、中毒量内服したがどうかの判断は出来ない。
偽陽性、偽陰性となる場合があり、そのパターンを知る(有名なのが感冒薬でのアンフェタミンやメタンフェタミンの偽陽性)。

といった点が挙げられます。以下に検査することが出来る薬剤と、偽陽性、偽陰性になるものをまとめますので参照してください。

検査することが出来る薬剤は

PCP:フェンシクリジン
COC:コカイン
AMP:アンフェタミン 感冒薬で偽陽性
THC:大麻
OPI:モルヒネ コデインで陽性になる
BAR:バルビツール
BZO:ベンゾジアゼピン*エチゾラム、ブロチゾラム、ゾピクロン、ゾルピデムは検出されない
TCA:三環系抗うつ薬のみ アモキサピン・四環系は検出されない *TCAは全体的にやや感度が低いことが指摘されているため注意が必要

これからからわかる様に抗精神病薬やSSRI, SNRI、抗ヒスタミン薬などは全く検査することができません。

これらの情報を駆使して中毒へapproachしていきましょう。

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