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McDonald診断基準 2024

McDonald診断基準2017年版(こちら)から改訂になりました。

Diagnosis of multiple sclerosis: 2024 revisions of the McDonald criteria.
Montalban X, Tintoré M, Lebrun-Frénay C, et al. Lancet Neurol. 2025;24(8):850-865.

前提条件

1:除外診断 MSの診断において最も重要な前提条件は、「より適切な説明がない」(no better explanation)、すなわち除外診断であることである。
2:客観的な炎症・脱髄の証拠 CNS白質病変の客観的証拠を認める必要がある,また髄液検査での炎症所見も重要

ここは2017年版と変わりないところです。

2つの根本原則

1:Worldwide applicability of diagnostic criteria 疫学的な背景は違うが,臨床像などの根幹は差はないため同一基準を世界で適応する
2:Essential role of paraclinical diagnostic test Paraclinicalな検査としてMRIが必須

2017年版からの改訂点

1. 空間的多発性(Dissemination in Space: DIS)に視神経病変を追加

視神経(Optic Nerve)5番目の解剖学的な場所として含められた。
• DISは、5つの領域(室傍、皮質または皮質下、テント下、脊髄、視神経)のうち2つ以上に典型的な病変が認められた場合に満たされる。これらの病変が症候性であるかどうかは問わない(つまり無症候性でもよい)。
• 視神経の病変は、MRI、光干渉断層計(OCT)、またはVEPを用いて示すことができる。ただし、その他の病態が否定的。

2. 時間的多発性(Dissemination in Time: DIT)は必須要件ではない

DITは、特定の状況下ではMS診断のための必須要件ではない。
• DITは、多発性硬化症以外の炎症性症候群と区別するために以前の診断基準に組み込まれていたが、現在ではかつて考えられていたほどの特異性がないとされている。
• 2017年基準では、髄液中オリゴクローナルバンド(OCB)がすでにDITの代用として含まれていた。
DIT定義=MRIでT2新規病変 or Gd増強と非造影病変の混在 or 臨床発作

3. 新しい支持的バイオマーカーの導入

以下のバイオマーカーは、診断の特異性を高めるために、特定の状況下で支持的な証拠として使用できる。

中心静脈サイン(Central Vein Sign: CVS)
◦ MRIによるCVSの検出は、MSを血管性またはその他のCNS炎症性疾患と区別することで、診断の特異性を高める。
◦ CVSは診断に必須ではないが、「Select 6」法(6つ以上の白質病変がCVS陽性)を用いて陽性であることが示されれば、特定の状況でMSの診断に十分とされる。

常磁性リム病変(Paramagnetic Rim Lesions: PRLs)
◦ PRLs(鉄を帯びたミクログリアに囲まれた慢性活動性病変)をMRIで確認することは、MS診断の特異性を高める。
◦ PRLsは、典型的な病変が1つの解剖学的部位にしかない患者において、DITまたはCSF陽性と組み合わせてMSを診断するために十分である。PRLsの確認も診断に必須ではない

カッパ遊離軽鎖(Kappa Free-Light Chain: kFLC)比
◦ kFLC指数は、オリゴクローナルバンド(OCB)と互換性があると見なされる(すなわち、陽性髄液検査の代用となる)。
◦ kFLC測定は、OCBの検出よりも自動化され、客観的で評価者独立の結果が得られるため、より広く利用可能。
CSF陽性=OCB陽性 or kFLC指数

診断基準

臨床所見DISDITまたは代替
2回以上の発作 2つ以上の病変が存在DITのさらなる証明は不要
1回の発作(CIS)2つ以上の病変が存在以下のいずれかを伴う
DIT (MRIでT2新規病変,またはGd増強と非造影病変の混在、または臨床発作)、
または CSF陽性(OCBまたはkFLC指数)、
または CVS陽性(Select 6)
1回の発作(CIS)病変が4つまたは5つ存在DITやCSF陽性は不要
1回の発作(CIS)病変が1つのみ 以下の組み合わせを伴う:
(DIT または CSF陽性)
(CVS陽性 (Select 6) または PRL陽性 (1つ以上))
進行型MS (PPMS)
(12ヶ月以上の客観的な障害進行)
2つ以上の脊髄病変が存在以下のいずれかを伴う:
CSF陽性、
または DIT
または CVS陽性 (Select 6)
または 病変が4つ以上存在

*再発型MSと進行型MSは統一された診断と見なされ、単一の診断基準フレームワークが適用される

50歳以上と併存疾患(血管リスク因子)を有する場合の注意点

・白質病変などの誤診リスクが高くなるため、追加の検査を強く推奨
・追加の検査:①脊髄病変の存在、②CSF陽性(OCB+ or kFLC指数)、③CVS陽性(Select 6)

RISについて

・DIS:DIS基準の2つ以上の病変
・DIT:DIT基準 or 髄液陽性 or CVS陽性(Select 6)
上記を満たす場合はMSと診断する