解剖
求心路:三叉神経Ⅴ1 遠心路:顔面神経
角膜は人体で最も神経が豊富に分布しており(神経密度は皮膚の300〜600倍 約7000侵害受容器/mm²),強力な痛覚発生源

電気生理での評価方法:Blink reflex(こちら)
診察方法
・部位:角膜の輪部~中央を刺激する(強膜ではなく)*瞳孔領域や中心視野領域は避ける
・方法:綿棒でしっかりと優しく圧力をかける(段階的に)*または角膜損傷のリスクを最も抑えるためには生理食塩水の噴射も考慮
参考:やり方が人それぞれになってしまっている(また間違っている)ことが多い文献
“Corneal Reflex Testing in the Evaluation of a Comatose Patient: An Ode to Precise Semiology and Examination Skills” Neurocrit Care 2020; 33:399–404.
角膜反射の診察方法
・「軽い綿での接触」(light cotton touch):59.1%
・「圧力をかけた綿棒」(cotton-tipped applicator with pressure):23.8%
・「生理食塩水または水の噴射」(saline or water squirt):15.9%
・「空気の噴射」(puff of air):1.0%
刺激部位:26.1%が角膜ではなく側方結膜を刺激していた
下図は実際にどこを刺激しているかを点で示してもらったアンケート集計結果。

臨床で役立つ場面
・心停止後神経学的予後推定:こちら *鎮静薬などの交絡因子をきちんと排除した状態で評価する必要がある
角膜反射への薬剤の影響
“Nociceptive quality of the orbicularis oculi reflexes as evaluated by distinct opiate- and benzodiazepine-induced changes in man” Brain Research 1991;556:209-217.
・健常者を対象にフェンタニルとジアゼパムを投与して筋電図で角膜反射とBlink reflexのR1,2,3を評価
・角膜反射:フェンタニル 71%抑制、ジアゼパム43%抑制
⇒ここからこの文献では角膜反射は侵害受容性反射であるとしている
・Blink reflex:R2はジアゼパム 60%抑制(R2は多シナプス反射であり脳幹網様体や皮質からの影響を受けやすいことが影響している可能性がある)
“Corneal reflex responses to mechanical and electrical stimuli in coma and narcotic analgesia in humans” Neuriscience letters 1997;222:33-36.
・前提:角膜反射は代謝性の要素やテント上の病変による昏睡でも抵抗性が高く保持される.The corneal reflex is notably resistant to metabolic or supratentorial coma. In fact, neurologists or anesthetists regard its absence as a worrying sign of brainstem damage.
・Blink reflex R2は軽度の麻酔や代謝性の要素でも消失する(必ずしも脳幹障害を意味しない)
・方法:角膜反射で方法を機械的刺激 vs 電気的刺激、脳血管障害による昏睡患者10名と、フェンタニルを投与した健常者10名を対象に実験(眼輪筋の表面筋電図で評価)
・昏睡患者において: 電気的刺激による反射はテント上病変(脳幹が保たれている状態)であっても消失することが多かったのに対し、機械的刺激による反射はより抵抗性が高く、保持される傾向
・フェンタニル投与下において: 両方の刺激による反射とも抑制されましたが、電気的刺激による反射の方が有意に強く抑制
⇒臨床的に行われる機械的刺激による角膜反射が、電気的検査よりも中枢機能低下に対して堅牢である