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外側大腿皮神経 lateral femoral cutaneous nerve

解剖

・外側大腿皮神経はL2,3の神経根から起始し、骨盤内で腸骨筋の表面を走行し、上前腸骨棘の約2cm内側(平均1.90cm Hernia 2016; 20:649–657)と報告あり で鼠径靭帯と縫工筋に挟まれるようなかたちで骨盤外へ出て、大腿外側へ分布します(純粋感覚性の神経)。

・剖検での解剖は下図の通りです。

異常感覚性大腿神経痛

・外側大腿皮神経は絞扼性末梢神経障害の原因として重要で、“meralgia paresthetica”(異常感覚性大腿神経痛 別名:Bernhardt-Roth syndrome)と表現します。大腿外側に異常感覚を認めます。


・主に鼠径靭帯の部分で絞扼され、原因としてはきつい下着、ジーンズ、コルセット、シートベルト、ベルト着用などによる物理的圧迫、長時間運動後、体重変化、肥満や妊娠、手術の姿勢による圧迫、手術(鼠径ヘルニアや腹腔内操作)などが挙げられます(J Neurol Neurosurg Psychiatry 2006;77:84)。
“pelvic compression test”:患者さんが側臥位の状態で、骨盤を下へ45秒程度圧迫します。30秒程度で症状が軽快すれば陽性となります(感度95%、特異度93.3%と報告されています)。原理としては骨盤を圧迫することで、鼠径靭帯が緩み、外側大腿皮神経の圧迫が解除されることが関係しています(Neurosurgery 60:696–700, 2007)。

・上前腸骨棘内側の貫通部分でTinel徴候を認める場合があります。