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アザチオプリン Azathioprine

一般名:アザチオプリン
商品名:アザニン®・イムラン® 製剤:50mg/1錠

■作用機序

アザチオプリンはプロドラッグで体内で6-MPに代謝され薬効を発揮します。プリンと名前が付いている通りプリン体代謝(DNA合成)を阻害することで、免疫抑制・細胞増殖を抑制する効果を持ちます(下図参照)。細胞選択性はありません。

■使用方法

開始量:25mg 1T1x(慎重) or 50mg 1T1x(普通) or 0.5mg/kg/日 
増量幅は25~50mg/日ずつ(慎重な場合は25mg/日ずつの増量が良い)

維持量:2~3mg/kg/日 (例:100mg/日)

アザチオプリンの位置付けは免疫抑制効果はそこまで高くないですが、副作用も少ないことから、アザチオプリンを併用することでステロイド必要量を減量する場合(steroid sparing)や維持療法に使用することが多いです(寛解導入療法には通常使用しません)。安全性が免疫抑制剤のなかでは売りになると思います。

効果発現までは数か月程度かかることが一般的なので薬剤開始後すぐに治療効果判定をすることは難しいです(効果の実感が得られにくい免疫抑制剤でもある)。MCVが通常上昇してくるため、MCVが5以上上昇したら効果があると判断する方法もあります。

■副作用

肝機能障害(最も多い・軽度で減薬などで改善することが多い)
・間質性肺炎(まれですが重篤な副作用として重要です)
脱毛・骨髄抑制・血球減少(白血球3000/μL以下は投与禁忌)*以下の遺伝子多型で注意
・皮疹

副作用は他の免疫抑制剤と比較して少ない傾向にあります。
*注意点:日本人の約1%に存在するNUDT15遺伝子多型のCys/Cys型はアザチオプリン投与により重篤な副作用(血球減少症・脱毛)をきたすため投与しない(保険適応で測定可能・通常はArg/Arg型)。
 Arg/Arg型 or Arg/His型(81.1%): 通常量で開始する
 Arg/Cys型(17.8%) or Cys/His型(<0.05%):減量して開始
 Cys/Cys型(1.1%):服用回避

併用禁忌
キサンチンオキシダーゼ阻害薬(アロプリノール、フェブリク) 上記の通りプリン体代謝に関与するため、基本的には併用を避けた方が安全です。どうしても併用する場合はアザチオプリンの投与量を減量します。
・生ワクチン

併用注意
・ワーファリン
・不活化ワクチン

妊娠妊娠中も継続可能 Orphanet Journal of Rare Diseases (2015) 10:136
・胎盤通過可能であるが、胎児の肝臓は酵素を欠くため活性型(6-MP)にならない
・授乳も禁忌でなし(活性体が母乳にほとんど移行しないため)
・男性は精子に影響が出る可能性はある(可能であれば3か月前に休薬)

*妊娠中も継続可能な薬:アザチオプリン・シクロスポリン・タクロリムス・ヒドロキシクロロキン・TNFα阻害薬など

参考文献:ステロイド治療戦略