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抗recoverin抗体

  • 2026年1月5日
  • 2026年1月5日
  • 神経

自分用メモ

recoverin:網膜視細胞に発現している、松果体にも発現していることが報告

傍腫瘍神経症候群としてCAR(腫瘍関連網膜症)、肺小細胞癌が多い

脳炎になることがあるのか?

文献

Case report: A case of anti-recoverin antibody-positive encephalitis exhibiting Cotard and Capgras delusions that was successfully treated with electroconvulsive therapy. Front. Psychiatry 15:1330745. doi: 10.3389/fpsyt.2024.1330745

症例:25歳女性既往なし
現病歴:9日前から呼びかけに反応しない、筆箱の開閉ができない、見当識障害、上肢震え、幻視、失禁、徘徊症状
身体所見:発熱(39.5℃)、頻脈、不随意運動(アテトーゼ様)、下肢の筋力低下、震え
精神症状:妄想(自分は死んでいる、心臓が動いていない Cotard妄想)、両親が偽物に入れ替わった(Capgras妄想)、希死念慮
検査:血清抗recoverin抗体弱陽性 2か月後、3か月後にフォローしいずれも強陽性の結果
髄液:細胞数2、IgG index 0.43
MRI:異常所見なし 脳血流SPECT:前頭葉血流低下
脳波:てんかん性放電なし、非特異的な徐波のみ
腫瘍:指摘なし 網膜症:なし(眼科診察)
治療:ステロイドパルス+IVIg ⇒一時的な改善3か月後に精神症状改善 ECT両方を計14回実施(効果あり)⇒その後寛解

考察
本症例はこうした精神症状を呈した抗recoverin抗体の初めての報告
抗recoverin抗体が関与した病態
・可能性①松果体機能不全⇒機能異常が精神症状に関与した可能性
・可能性②他のタンパク質との交差反応:脳内に広く存在する他のCa結合蛋白(ヒポカルシン、NCS-1など)と40-55%の配列同一性を有している⇒これらと交差反応により自己免疫反応を引き起こした可能性

“Autoimmune basal ganglia encephalitis associated with anti-recoverin antibodies: A case report” eNeurologicalSci 2021;25:100382

症例:67歳女性
現病歴:1週間前から食思不振、パーキンソニズム、関節痛 当初はPMR疑いでPSL、またパーキンソニズムに対してレボドパ投与あるも症状進行し昏睡状態GCS5へ
MRI:両側基底核にFLAIR像高信号
FDGPET:基底核集積低下 MIBG心筋シンチ:集積低下なし
血清抗recoverin抗体:陽性3+ その他抗体陰性
髄液:細胞数30/μL
悪性腫瘍:なし、網膜症:なし
治療:ステロイド単独効果不十分、第71病日から開始IVIgにより劇的に改善 第120病日にリハビリ転院

考察
・自己免疫性基底核脳炎:D2受容体抗体陽性例と類似している 本症例は意識障害もあり基底核の病理だけでは説明できない可能性がある
・ヒポカルシンとの配列類似性による交差反応での基底核脳炎を考察
・中枢神経症状を呈した既報まとめ

項目RyuらHerzogら本症例
分類小脳変性症および運動ニューロン軸索障害自己免疫性小脳失調症自己免疫性基底核脳炎
性別男性女性女性
年齢65歳60代67歳
悪性腫瘍+(小細胞肺癌)
運動障害
 パーキンソニズム
 脱力
 失調
精神症状
網膜症
抗体測定法免疫ブロット法細胞を用いたアッセイ免疫ブロット法
その他の抗体+(抗Hu抗体)
MRI異常+(白質粗鬆症)+(小脳萎縮)+(両側基底核)
髄液異常+(細胞増多)+(細胞増多)
脳波てんかん性変化記載なし (n.d.)
治療
 ステロイド
 HD-IVIG
 リツキシマブ
結果(転帰)反応なし改善改善