抗精神病薬
各受容体を抑制した場合の効果
・ドパミンD2受容体:幻覚妄想改善、錐体外路悪化、意欲低下
・セロトニン 5-HT2A受容体:意欲改善、興奮抑制
・ヒスタミンH1受容体:鎮静、体重増加
・ムスカリンM1受容体:便秘、せん妄
・アドレナリンα1受容体:起立性低血圧、めまい
MARTA 多元受容体作用抗精神病薬(Multi-Acting Receptor-Targeted Antipsychotics)
クエチアピン
商品名:セロクエル
作用機序:H1, α1受容体阻害作用が強い
良い適応・特徴:鎮静作用が強いため眠りやすくなる(幻覚妄想には効果が弱い点に注意)
副作用:錐体外路副作用は最も少ない(パーキンソン病にやむを得ず使用する場合はクエチアピンを選択する)
禁忌:糖尿病禁忌
使用例(頓用 or 定時):クエチアピン12.5~25mg 1錠
オランザピン
商品名:ジプレキサ
作用機序:5-HT2A, H1受容体阻害 MARTA
良い適応・特徴:半減期が長い(約33時間 )クエチアピンのイメージで鎮静作用が強く、暴力や危険行動に対して有用、頓用でも使用可能 *クエチアピン半減期は約6-7時間
副作用:ムスカリン受容体阻害による口渇・便秘が生じやすい、食欲上がる・体重増加作用もある
禁忌:糖尿病禁忌
使用例(定時):オランザピン2.5mg 1錠分1眠前から開始(最大量は20mg/日)
使用例(頓用):オランザピン2.5mg 1錠(2時間以上あけて2回まで使用可)
*クエチアピン頓用使用が頻回な場合などはオランザピンへの切り替え検討
*筋注製剤もあり
SDA セロトニン・ドパミン受容体拮抗薬 Serotonin Dopamine Antagonist
リスペリドン
作用機序:D2受容体阻害作用が強い
良い適応・特徴:幻覚妄想を抑える作用、昼夜逆転しづらい、剤型が豊富(OD・内服液・錠剤)でのませやすい
副作用:腎代謝のため腎機能障害では効果が遷延することがあり注意、錐体外路副作用は多い、起立性低血圧やプロラクチン血症が多い
使用例(頓用 or 定時):リスペリドン0.5~1mg 1錠
ペロスピロン
商品名:ルーラン
作用機序:5-HT2A, H1, α1受容体を阻害
良い適応・特徴:積極的に使用するというよりは他剤が使用できないときのオプションという位置づけ(パーキンソン病で糖尿病でクエチアピン使用できない場合など)、不安に効果がある、効果はマイルドで半減期短い、錐体外路副作用比較的少ない、過鎮静少ない
投与例:ペロスピロン4mg 3錠分3
*効果がmildであり頓用で使用することは少ないかもしれない
ブロナンセリン
商品名:ロナセン
製剤:貼付剤(ロナセンテープ) 20mg, 30mg, 40mg
作用機序:D2受容体阻害が主体
良い適応・特徴:経口できない場合の貼付剤、鎮静作用が弱い、認知機能への影響が少ない
注意点:効果発現は緩徐で急性期には使わない、純粋にせん妄で貼付剤をはがすこともある
⇒意外と使い道は乏しいかもしれない
SDAM Serotonin Dopamine Activity Modulator
ブレクスピプラゾール
商品名:レキサルティ
良い適応・特徴:気分安定作用、過鎮静になりづらいので日中の活動性を保つことができる、効果発現は遅い(BPSDに対して唯一保険適応あり)、錐体外路副作用少なめ
⇒急性期から他剤と併用する方法がある
注意点:効果発現は遅く、急な対応では不向きであり頓用では使用しない
投与例:0.5mg 1錠分1から開始⇒1週間後に1mg 1錠分1へ増量⇒その1週間後から2mg 1錠分1へ増量
*頓用では使用しない(効果発現が遅く急な状況では難しい)
アリピプラゾール
商品名:エビリファイ
作用機序:低用量はドパミン受容体のpartial agonistとして作用する
良い適応・特徴:低活動型せん妄に対して使用する方法がある
投与例:アリピプラゾール1mg 1錠分1から開始 2週間くらいみて効果判定
(1-3mg/日はドパミン受容体の部分的アゴニストとして作用する*投与量が多いとドパミン受容体を抑制する作用)
注意点:副作用としてアカシジアが生じやすい
その他
バルプロ酸
商品名:デパケン
作用機序:いろいろ(GABA受容体など複数)*抗てんかん発作薬である
良い適応:抑制が効かない、易怒性、感情失禁、脳の器質的病変(脳挫傷など)
投与例:バルプロ酸徐放製剤200mg 2錠分2朝夕食後から開始 *血中濃度は適宜フォロー
ミルタザピン
商品名:リフレックス
作用機序:NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
良い適応:高齢者抑うつ、不眠、食思不振
投与例:ミルタザピン15mg 1錠分1眠前