2021年度版の推奨に関してはこちらの記事にまとめさせていただきましたが,新しい版がでましたのでこちらにまとめます。
Nolan JP, Sandroni C, Cariou A, Cronberg T, D’Arrigo S, Haywood K, Hoedemaekers A, Lilja G, Nikolaou N, Olasveengen TM, Robba C, Skrifvars MB, Swindell P, Soar J. European Resuscitation Council and European Society of Intensive Care Medicine guidelines 2025: post-resuscitation care. Intensive Care Med. 2025 Oct 22. doi: 10.1007/s00134-025-08117-3. Epub ahead of print. PMID: 41123621.
評価対象患者
・ROSC72時間時点で GCS-M<6 (2021年での≦M3よりも評価対象が広い)
評価方法
・単一の予後因子ではなく,多角的アプリ―チ multimodal approach(変更なし)
・予後評価では交絡因子を排除する(特に鎮静薬を充分期間停止する必要がある)

評価方法・項目
以下項目のうち最低2項目に該当
・脳幹反射:対光反射*+角膜反射の消失,72時間以降 *可能であれば対光反射の評価に自動瞳孔計を使用
・ミオクローヌス重積状態*:72時間以内 *30分以上持続する持続的で全身性ミオクローヌスと定義
・SSEP:両側N20消失,24時間以降 *筋弛緩使用を検討
・EEG:suppression または burst suppression,24時間以降
・NSE:>60 μg/L,48時間 and/or 72時間 *NSEは溶血により偽高値を呈するため連続測定(24, 48, 72時間)と溶血による交絡を抑えることを推奨
・画像:広範囲の低酸素脳症所見 *CTの灰白質/白質比(GWR)の低下⇒どのタイミングでも(初回CTで認めない場合は再検を推奨) または MRIの広範な拡散制限⇒2~7日
上記項目評価
・最低2項目該当⇒予後不良
・0-1項目該当⇒以下項目を評価へ進む
予後良好の因子(2021年では記載なく,0225年で新規に導入)
・GCS-M=4 or 5,72~96時間
・EEG:持続性で正常な振幅の背景活動,72時間以内る
・NSE<17 μLg/L, 24~72時間以内
・画像:MRIのDWIで信号変化を認めない,2~7日
上記項目1つでも該当⇒予後良好の可能性あり
いずれも該当しない⇒評価継続

時系列での図

2021年版と2025年版の違いまとめ
| 目 (Topic) | 2021年ガイドラインの推奨 (2021 Guidelines) | 2025年ガイドラインの推奨 (2025 Guidelines) | 新規性・主な変更点 |
| 評価対象患者の基準 | ROSC後72時間時点で、異常な屈曲 (M3) よりも運動反応が良くない昏睡患者 (GCS運動スコア ≤3)。 | ROSC後72時間時点で、指示に従わない(覚醒していない)昏睡患者 (GCS運動スコア < 6)。 | 評価対象の範囲が拡大され、より多くの患者をアルゴリズムに含めることで、回復の可能性を見逃すリスクを減らす。 |
| 評価の目的 | 不良な神経学的転帰の予測に主眼を置く。 | 不良な転帰の予測に加え、良好な神経学的転帰を示す指標を明記し、予後診断の不確実性を減らすことを目的とする。 | 良好な転帰予測を明確に追加。 |
| SSEP (体性感覚誘発電位) のタイミング | タイミングに関する具体的なガイダンスはなし。 | 両側N20 SSEP波の欠如は、ROSC後24時間で不良な転帰の予測指標として示唆される。 | SSEPの実施と評価の推奨タイミングを早期(24時間)に設定。 |
| 脳CT (GWR) のタイミング | タイミングに関する具体的なガイダンスはなし。 | 昏睡状態(ROSC後72~96時間)で、最初のCTでHIBIの兆候がない場合、脳CTの再検査が提案される。 | 予後評価を目的としたCT再検査のタイミングの明確化。 |
| EEG (脳波) のタイミング | 「悪性度の高いEEGパターン」はROSC後24時間以降に使用する。 | 「悪性度の高いEEGパターン」はROSC後24時間以降に予後予測に使用することが示唆される。 | 悪性度の高いパターンの使用開始タイミングの再確認。 |
| 良好な転帰の予測指標 | 良好な転帰の予測指標は含まれていなかった。 | 以下の指標が良好な転帰を予測するものとして明記された(不良な徴候がない場合に評価):<br>1. 72~96時間でのGCS運動スコア4または5 (疼痛に対する逃避または局在化反応)。<br>2. 72時間以内の正常なNSE血液値 (<17 μg/L)。<br>3. 72時間以内の連続的またはほぼ連続的な正常電圧EEG基礎活動 (放電や発作なし)。<br>4. 2~7日におけるMRIでの皮質または深部灰白質における拡散制限の欠如。 | 良好な神経学的転帰を予測するための具体的な指標が初めて組み込まれた。 |
| EEG反応性 (Reactivity) | 不良な予後を予測する指標として言及。 | 不良な神経学的転帰を予測するためにEEG反応性の欠如を単独で用いることは推奨しない。 | EEG反応性の予測精度が不十分であるため、単独使用は推奨から除外された。 |
| 新規バイオマーカー | NSEが推奨されていた。 | NSEを継続測定する。新規バイオマーカー(NfL, GFAP, タウ蛋白)は、現時点では推奨しない。 | NfLなどの新規バイオマーカーの有用性は認識しつつも、閾値のばらつきや臨床利用の認証の欠如から、依然としてルーチン使用は推奨されない。 |