視神経炎の過剰診断について
Stunkel L, Kung NH, Wilson B, McClelland CM, Van Stavern GP. Incidence and Causes of Overdiagnosis of Optic Neuritis. JAMA Ophthalmol. 2018 Jan 1;136(1):76-81. doi: 10.1001/jamaophthalmol.2017.5470. PMID: 29222573; PMCID: PMC5833602.
・神経眼科クリニックに視神経炎として紹介された122例の検討
・視神経炎ではなかった(つまり過剰診断):59.8% n=73
・実際の診断内訳
①頭痛 22%(眼痛や視覚症状を伴う)
②機能性視力低下(functional visual loss) 14%
③その他の視神経症 16% 特にNAION 12%(n=9)
・誤診理由
①病歴の聴取または解釈上の間違い 33%(最多):特に眼痛や眼球運動時痛の疼痛を過度に重視した場合 12% n=9と最も多い
②鑑別診断の検討が不十分 32%
③身体所見 21%
④検査 15%:特にMRIの過剰読影 8% n=6
まとめ
・約60%が視神経炎ではなく過剰診断
・単一の病歴項目(特に眼痛や眼球運動時痛)に過度に依存することを避け、病歴聴取を総合的に行うことが重要
・その他頭痛疾患やNAION、機能性視力喪失など代替診断を鑑別として考慮する必要がある
・またMRIの過剰読影にも注意が必要である
視神経鞘髄膜腫(Optic Nerve Sheath Meningiomas, ONSM)が視神経炎と診断されてしまうことで診断の遅れにつながる
“Diagnostic Errors in Initial Misdiagnosis of Optic Nerve Sheath Meningiomas” JAMA Neurol. 2019;76(3):326-332.
・背景知識:ONSMは稀な眼窩内腫瘍であり、全ての髄膜腫の1〜2%を占めます。しかし、グリオーマに次いで2番目に多い視神経の腫瘍であり、原発性視神経腫瘍全体の約3分の1を構成します。ONSMは通常、中年の女性に発症します(平均発症年齢40.8歳)
・片側性ONSM35例の検討 患者の多くは女性(30人、85.7%)で、平均年齢は45.26歳でした。最も一般的な症状は片眼の視力低下でした(30人、85.7%)
・71%(25/35)で診断遅延/見逃しがあり、診断遅延は平均62.60か月(約5年)
・初期誤診最多:視神経炎 48%(12/25)が当初視神経炎と診断されていた
・MRIが実施された患者で68.8%(11/16)で異常なしと読影されていた
⇒要因:不適切なオーダー(眼窩シークエンスや造影がない)54.5%(6/11)
・誤診された64%が視力悪化を経験(診断された患者の視力悪化は30%)
・不必要な処置/治療:不必要な腰椎穿刺 20%, 不必要な広範な検査 48%, 不必要なステロイド投与 24%
・まとめ:①単眼の無痛性の進行性視力低下の鑑別診断に圧迫性視神経症を含める、②正確に眼底検査を実施する、③画像検査を適切にオーダーし読影する