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棘下筋 infraspinatus

普段ルーチンでは診察しないですが、C5障害と神経痛性筋萎縮症を疑う場合必ずMMTを評価する必要があるのが棘下筋(infraspinatus)です。NeurologistだけではなくプライマリケアやERでも評価できると武器になります(管理人の自施設では教育しています)。

解剖

髄節:C5
*C5障害で筋力低下を認める筋4つ:三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋・棘下筋
末梢神経:肩甲上神経
機能:肩関節外旋(小円筋も外旋機能を担うが筋力は極めて小さくほぼ関与していない)

*rotator cuff(回旋腱板)の1つを担う(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)N Engl J Med 2024;391:2027-34.より

MMT評価方法

被検者:脇を占めて上腕を胸につけた状態のまま、肩関節を外旋させる(ドアノブを開けるような動作)
検者:被検者の前腕遠位をつかんで内旋させる

ポイント1:両側同時に評価する方法が左右差がわかりやすいが、患者が肘を体幹部につけ固定できることが前提条件である
・それができない場合は評価が不十分になるので、片側ずつ評価する必要がある(検者の左手で被検者の肘を体幹につけて固定する)

ポイント2:被検者の肘関節が90度以上だと上腕三頭筋を使って代償する(ごまかす)可能性があるため、肘関節は必ず90度より伸展しないように注意する
・肘関節が90度より伸展位だと、上腕三頭筋を利用して外旋動作を代償しているようにします(実際には外旋している訳ではない)(KM先生が診察中に気づいて教えてくれ、それ以降注意するようにしています)

図:両側同時に評価する方法(患者が肘を体幹に固定できることが前提条件)

図:片手ずつ評価する方法

写真で青スクラブが被検者(KY先生)、黒スクラブが検者(管理人)

原因

腱板損傷:整形外科的原因
神経痛性筋萎縮症こちら
C5障害(特に頸椎症性筋萎縮症)こちら

ポイント:神経痛性筋萎縮症を疑ったら棘下筋を評価する!

・ここに尽きます。この知識だけで相当ERでは助かるはずです(実際自施設のERではNAを疑った際にER.Drが棘下筋をチェックしてくれるようになりました!)。
・神経痛性筋萎縮症で棘下筋の筋力低下はほぼ必発で、他の筋肉に比して特に障害が強くでやすいです。
・C5障害は三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋・棘下筋が障害されますが、神経痛性筋萎縮症では特に棘下筋にアクセントのある障害となりC5髄節に合致しません
・C5髄節支配の三角筋(腋窩神経)、上腕二頭筋(筋皮神経)、腕橈骨筋(橈骨神経)、棘下筋(肩甲上神経)とすべて末梢神経支配単位は異なります。神経痛性筋萎縮症の病態は多発単神経障害であるため、髄節には合致しません。