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虚血性視神経症 ischemic optic neuropathy (ION)

視神経の血管解剖

解剖

内頸動脈眼動脈①網膜中心動脈,②後毛様体動脈(長/短)
・網膜中心動脈:眼球の約1cm後方で視神経内に侵入して,網膜の内層を灌流する
・視神経乳頭の血管支配:短後毛様体動脈,軟膜動脈網,脈絡膜血管⇒これらの細小動脈は塞栓により閉塞することは稀であり,動脈硬化や血管炎で障害されやすい

虚血性視神経症(ION: ischemic optic neuropathy)の分類

1:非動脈炎性(non-arteritic) or 動脈炎性(arteritic)
・非動脈炎性:最も多い
・動脈炎性:GCA(巨細胞性動脈炎)が最多

2:部位 anterior vs posterior
anterior ION (AION):最多 90%を占める
・posterior ION (PION):稀

各論

非動脈炎性前部虚血性視神経症 nonarteritic anterior ION(NA-AION)

・臨床像:突然発症,無痛性,単眼視力低下,視神経乳頭浮腫
*数日~2-3週かけて症状が増悪することがある(浮腫による二次性の視神経圧迫が推定)
*視神経炎との違い:視神経は眼球運動時痛を伴うことが多い,2-3週後の視力改善(視神経炎の過剰診断についてこちらのまとめてもご参照ください)
必須の危険因子:”disc at risk” small cup-to-disc ratio 視神経がぎゅうぎゅうに詰められている構造を有している場合
⇒”disc at risk”がない場合は診断再考が必要
*視神経乳頭(optic disc),陥凹(physiological cup)の大きさは、強膜管(scleral canal)の大きさによって規定される
*白人(Whites)は一般的に黒人(Blacks)よりもcup-to-disc比が小さい傾向があり、このことが非動脈炎性前部虚血性視神経症の大多数が白人に発症する理由の一つと考えられている
・画像:正常
・診断:臨床診断(特異的バイオマーカーはなし)
・予後:対側眼の再発 12-15%/5年
・治療:急性期の確立した治療法なし 再発予防としての動脈硬化リスク因子への介入

非動脈炎性後部虚血性視神経症 nonarteritic posterior ION

・視神経乳頭は正常であり診断は除外診断

arteritic ION 特にGCA (giant cell arteritis:巨細胞性動脈炎)

・GCAによるanterior IONが最も多い
眼科緊急症”ophthalmic emergencies”として扱う(生検前であったとしてもステロイドを投与する
・一過性の視力低下が日~週単位前に先行する場合がある
・外眼筋または脳神経の虚血による複視を~10%に認める
・約25%は全身症状に先立ち視神経障害を生じることがある
・視力障害は重度(nonarteritic anterior IONと比べると),未治療例は日から週単位で両側性になる(50%以上)

Pearl: 50歳以上の虚血性視神経症では全例GCAを考慮する

周術期ION perioperative ION

・非眼科手術による両眼性視力低下
・関連のある手術:CABG、腹臥位での長時間の脊椎固定術
・心臓手術に伴う症例の多くはAIONであり、脊椎手術後に確認されるのはPIONが多い

参考文献

N Engl J Med 2015;372:2428-36. IONのrevire articleからすべての内容を引用しております,とても読みやすくてわかりやすいです