ウイルス性髄膜炎の3大原因:エンテロウイルス、HSV-2(こちら)、VZV
最も大規模な成人エンテロウイルス髄膜炎のコホート研究 Neurology® 2021;97:e454-e463. doi:10.1212/WNL.0000000000012294
エンテロウイルスによる髄膜炎(成人419例)の前向きコホート研究(デンマーク)
*髄液中エンテロウイルスPCR陽性+ウイルス性髄膜炎に合致する臨床像を診断基準
患者背景:年齢中央値31歳(IQR 27-35歳)、性別女性46%、基礎疾患なし94%(免疫抑制 4%)
sick contact:53%
症状:先行する上気道またはインフルエンザ様症状 14%,胃腸炎症状 16%
症状:頭痛99%, 発熱81%(中央値37.9℃), 羞明77%, 嘔吐 76%, 項部硬直 39%,皮疹 5%, 混乱<24hr 3%, Seizure 0.2%
採血検査所見:CRP 0.8 mg/dL
髄液所見:細胞数130/μL(IQR 58-273), 多形核球主体(>50%) 28%, 髄液糖/血糖比 0.57(0.51-0.62) *髄液糖/血糖比>0.40が全体の99%(283/287)
*症状持続時間と多形核球主体の関係 <1日 36%, >3日 15%

原因遺伝子(判明分):30型 57%, 6型 15%
何月に多いか?(下図)

・予後不良(ここでの定義はglasgow outcome scale 1-4) 24%(全例 GOS 4)、6か月追跡で6%
・退院後後遺症:頭痛、疲労、集中力・記憶力困難、持続的な羞明・聴覚過敏、めまい、睡眠障害、耳鳴りなど
*GOS
| GOS | 英語 | 日本語 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 1 | dead | 死亡 | — |
| 2 | vegetative state | 植物状態 | — |
| 3 | severe disability | 重度障害 | 身体的・精神的障害のため、日常生活に介助を要する |
| 4 | moderate disability | 中等度障害 | ある程度の神経学的・知的障害があるが、日常生活を自立して送れる |
| 5 | good recovery | 良好な回復 | 後遺症がない、あるいはわずかに障害を残すが元の生活に戻れている |
まとめ
・若年の基礎疾患がない人に生じることが多い
・典型的なウイルス性髄膜炎の臨床像を呈し、項部硬直は約40%に認める
・髄液所見は発症直後は多形核球主体になることがあり細菌性髄膜炎に似る場合がある点に注意(時間経過とともに単核球主体にシフトしていく)
・糖低下も一部で認めるが髄液血糖比<0.40となることはまずない
・日常生活に支障ない程度の後遺症を呈することは24%あり、6か月時点で6%と低下する