本態性振戦 ET: essential tremor
本態性振戦は日常臨床でよく遭遇しますが、「原因のわからない振戦」のごみ箱診断名にならないように注意が必要です。正直初診時は他疾患かどうかわからない場合も多いためフォローでの経過がやはり一番重要なのかと思います(一度カルテに本態性振戦と診断名を記載してしまうとどうしても思考停止してしまうことがあり反省です)。振戦全般の鑑別に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。 臨床像 ・左右対称性:片側 […]
本態性振戦は日常臨床でよく遭遇しますが、「原因のわからない振戦」のごみ箱診断名にならないように注意が必要です。正直初診時は他疾患かどうかわからない場合も多いためフォローでの経過がやはり一番重要なのかと思います(一度カルテに本態性振戦と診断名を記載してしまうとどうしても思考停止してしまうことがあり反省です)。振戦全般の鑑別に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。 臨床像 ・左右対称性:片側 […]
Michael D. Geschwind先生が提唱した概念が“RPD: rapidly progressive dementia”という概念です。ここまでわかりやすく臨床的にまとめられた論文はなかなかなく(Ann Neurol 2008;64:97–108)、個人的に読んで感動した論文上位にくる論文です。ここで取り上げられていた鑑別診断と検査をまとめます(一部自分の経験も含 […]
「心因性疾患は精神的ストレスから診断するのではなく、神経症候から積極的に診断するものだ」と教わりました。除外診断ではなく、また心理的なストレス要因が必須ではないとされており、神経症候からきちんと診断するべきです。またこれは医療従事者にもしばしば誤解されていますが、患者さんが意図的に医療者を惑わす「詐病」とは根本的に異なります(患者さんが意図的に行っている訳では全くない)。ヒステリーとの鑑別を通じて […]
振戦(tremor)は主動筋・拮抗筋が交互に収縮を繰り返す相反性(reciprocity)と律動性(rhythmic: 間欠期を挟まずに連続して反復する)がポイントです。相反性に関しては教科書によってはそれは間違いであり同時に収縮することもあると記載されています。日常臨床ではよく遭遇するテーマなのでここで勉強した内容をまとめます。 分類 姿勢状況による分類 ①静止時振戦 resting tremo […]
解剖 Penfieldのホムンクルスは脳の体部位局在を考える上で欠かせない知識になります。体部位局在の面積を体積に置き換えて人形にしたものが下図になります。見ていただくと分かる通り手が非常に大きな体積を占めていることが分かります。そして、このことを反映してどこかの部位単独の脳血管障害では上肢単独が最も多いです。脳血管障害というと半身が障害されるイメージがあるかもしれませんが、「上肢だけが障害される […]
解剖 ・三叉神経は主に顔面の感覚を伝える働きを担い(耳より前の部分)、末梢ではⅤ1, Ⅴ2, Ⅴ3の3つに分類されます(Ⅴ3のみ運動成分を持ちます)。対側の視床に情報を伝え、視床と同側の大脳皮質へ情報を伝えます。・三叉神経の解剖の特徴を挙げると「三叉神経脊髄路は一度脊髄まで下降して左右交差してから再度上行する」という奇怪な走行をきたす点が挙げられます(脳神経の中でもかなり特殊です)。この特殊な解剖 […]
「Hess赤緑試験」とも表現する眼球運動を評価するための検査方法です。眼科で行う検査ですが、神経内科では眼球運動障害、複視を多く扱うためどのような検査なのか?またどのように結果を解釈するか?を知っておく必要があると思い勉強した内容をまとめます。 1:原理 右眼と左眼をそもそもどのようにして分離するか? 検査の原理がわからない場合はその検査を1から組み立てる気持ちになるとわかりやすくなることが多々あ […]
視空間認知障害の分類 1:背背側経路 “How”:意識に上らない行為 「視覚性運動失調」、「把握の障害」2:腹背側経路 “Where”:対象物の位置、座標 「半側空間無視」、「視覚性注意障害」3:腹側経路 “What”:対象物の形 「視覚性失認」(物体・相貌・街並)、「大脳性色覚障害」 1:背背側経路の障害 “Ho […]
手口症候群(cheiro-oral syndrome)は特異な神経症候を呈することで比較的有名で、神経の専門ではない先生もご存じの方が多いかもしれません(”cheiro”はギリシャ語で「手」を意味するようで、「カイロ(cheiro)プラクティック」の語源はここから来ているそうです)。文献できちんと調べてまとめられていなかったため、ここで調べた内容をまとめます。手口症候群とい […]
麻痺や失調があるわけではないが、運動を正しく遂行することが出来ない状態。分類の系統は確立しきっていないところもあるため言葉に注意が必要。左半球の頭頂葉の障害で両上肢に認める場合が多い(失語に合併する場合が多い) 肢節運動失行 limb-kinetic apraxia 病態:手先が不器用になってしまう 観念運動性失行 ideomotor apraxia 病態:社会慣習で意味が決まっている信号的な動作 […]