初期研修の先生方がICUや麻酔科をローテートする際におすすめの教科書を紹介させていただきます。本の画像をクリックしていただくとAmazonのリンクに移動することが出来ます。
臨床にダイレクトにつながる 循環生理
元々”cardiovascular physiology concept”という本で素晴らしい本として有名でしたが、最近訳本が出ました。麻酔科、ICU、救急、循環器をローテートする際に読むと非常に勉強になると思います。これらの科はやはり生理学の理解が病態に直結するため、生理学の勉強が欠かせません。生理学の本というとかなり身構えてしまうかもしれませんが、本書は臨床的な内容に沿ってかなり分かりやすくかみ砕いて記載されているので前提知識を必要とせずに読み進めることが出来ます。循環生理の本で一冊おすすめのを挙げるとすると本書です。
病態で考える人工呼吸器管理 著:田中竜馬先生
人工呼吸器に関しておすすめの教科書No.1です。そのくらい病態と実際の使い方に関して分かりやすく、シンプルにまとめられています。自分はこの本を読みながらICUで初期研修の時に研修しており、とても勉強になりました。田中竜馬先生の本はどれもわかりやすく整理された内容で、とんでもなく頭が良い先生なのだろうなと勝手に尊敬しております・・・。
以下の呼吸生理の本も人工呼吸器の本と内容オーバーラップしている部分も多いですが、分かりやすくまとまっておりおすすめです。呼吸生理は「ウェスト呼吸生理学」が有名ですが、これよりもはるかに読みやすいと思います。
人工呼吸管理レジデントマニュアル
レジデントマニュアルは私ももちろん全てを読んだ訳ではないでsが、人工呼吸管理と感染症が特に素晴らしいと思います。細かいトラブルシューティングから、背景の病態、モードの違いまで簡潔にわかりやすく書かれています。私が研修医のころにはなかったので(最近刊行)、研修中にあったらよかったなと思います。
重症患者管理マニュアル 編集:平岡栄治先生・則末泰博先生・藤谷茂樹先生
ICU研修で何か1冊用意するとすれば、本書をおすすめします。全範囲に関してコンパクトにまとまっており、辞書的にも使えますし、読んで勉強するのにも使えます。海外の教科書の翻訳ではないため、日本の現状にフィットした内容で素晴らしいです。
ICU/CCUの薬の考え方、使い方
実践的な実際の薬の組成、投与方法、それぞれの違いなどを具体的に病態生理から解説しておりおすすめの本です。鎮静薬、鎮痛薬、昇圧薬などは施設ごとに組成のプロトコルが決まっていたり、施設ごとの好みによる違いも大きい領域だとは思いますが、標準的な知識を身に付けていることが重要です。その点で本書は標準的な使用方法をほぼ全ての薬剤に関して記載してあるためおすすめです。
ICU book
この本だけのチャプターで既に熱く語ったのですが、やはりMarino先生が1人で書いており意見がはっきりしている点が普通の事実を羅列している教科書と違う点で読みやすいです。これを読んですぐにICUで役立つハウツー本的な要素には乏しいですが、きちんと理解したい人に向いていると思います。英語でも分かりやすい英語なので原著もおすすめです。
Intensivist
集中治療の内容を特集した年間4回発刊される雑誌です。内容はかなり専門的で難しいため、初期研修医のときはかなり読むのがしんどい内容でしたが、生理学的背景も踏まえてとても詳しく書いてあります。集中治療で特にきになるテーマがあった場合はそのテーマのIntensivistを是非購入して深めていただけると良いと思います。
麻酔への知的アプローチ 著:稲田英一先生
麻酔科で日本語の教科書で最も詳しく書かれているのが本書です。麻酔科ローテート中辞書のような感じで分からないことを調べながら私は研修をしていました。生理学的背景を踏まえて麻酔の面白さを教えてくれる1冊です。集中治療ローテート中にもなんども読む機会があったので、さらっと読める安直本では全くないですが、 個人的には1冊持っていて損はないのではないかと思います。
一気に上級者になるための麻酔科のテクニック
この本はAライン、気管挿管、胃管挿入などの手技をどのようにやるかを写真と共に分かりやすく解説してあります。手技に関して詳しく書いてある本は少ないので、個人的に非常に勉強になりました。私は初期研修医のころAライン採取が苦手で、松屋(牛丼屋)で爪楊枝の上にナプキンを数枚重ねて、上から爪楊枝が触れるかどうかというのを毎日やって指先の感覚を鍛えるトレーニングをしていました・・・・。