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上肢単独麻痺を呈する脳血管障害

解剖 Penfieldのホムンクルスは脳の体部位局在を考える上で欠かせない知識になります。体部位局在の面積を体積に置き換えて人形にしたものが下図になります。見ていただくと分かる通り手が非常に大きな体積を占めていることが分かります。そして、このことを反映してどこかの部位単独の脳血管障害では上肢単独が最も多いです。脳血管障害というと半身が障害されるイメージがあるかもしれませんが、「上肢だけが障害される […]

三叉神経 trigeminal nerve

解剖 ・三叉神経は主に顔面の感覚を伝える働きを担い(耳より前の部分)、末梢ではⅤ1, Ⅴ2, Ⅴ3の3つに分類されます(Ⅴ3のみ運動成分を持ちます)。対側の視床に情報を伝え、視床と同側の大脳皮質へ情報を伝えます。・三叉神経の解剖の特徴を挙げると「三叉神経脊髄路は一度脊髄まで下降して左右交差してから再度上行する」という奇怪な走行をきたす点が挙げられます(脳神経の中でもかなり特殊です)。この特殊な解剖 […]

遺伝性脳小血管病

若年性脳血管障害で特に塞栓機序ではなく、小血管病を疑う場合に考慮すべきが遺伝性脳小血管病です。疾患名も遺伝子名も非常に覚えにくくややこしい領域ですが、勉強した内容をまとめます。 CADASIL :cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy 遺伝子:NOTCH3遺 […]

Hessチャート “Hess chart”

「Hess赤緑試験」とも表現する眼球運動を評価するための検査方法です。眼科で行う検査ですが、神経内科では眼球運動障害、複視を多く扱うためどのような検査なのか?またどのように結果を解釈するか?を知っておく必要があると思い勉強した内容をまとめます。 1:原理 右眼と左眼をそもそもどのようにして分離するか? 検査の原理がわからない場合はその検査を1から組み立てる気持ちになるとわかりやすくなることが多々あ […]

筋強直性ジストロフィー myotonic dystrophy

筋強直性ジストロフィーは神経内科の疾患というよりも内科医がみつけるべき疾患という位置づけだと個人的には思っています(頻度もまれではありません)。「なんでこの年で白内障があって誤嚥性肺炎になるの?」、「なんでCKがちょっと高くて不整脈と白内障があるの?」などなど年齢に比してこれはおかしいという臨床的な視点が本疾患を疑うヒントになると思います。 病態/遺伝 1型(DM1)に関して遺伝形式:AD 遺伝子 […]

脊髄小脳変性症 SCD:spinocerebellar degeneration

分類・疫学 日本の疫学に関してCerebellum. 2008;7(2):189-97.より引用。 ■脊髄小脳変性症の分類 1:孤発性・多系統萎縮症 MSA-C・皮質性小脳萎縮症 CCA(cortical cerebellar atrophy) 2:遺伝性(1): AD-SCD・純粋小脳型(pure cerebellar):SCA6 > 31 *通常pure cerebellarの方が緩徐に進行す […]

FXTAS: fragile X-associated tremor/ataxia syndrome 脆弱X関連振戦/失調症候群

FXTASに関して(私はまだ診断できたことがないのですが)、しばしば鑑別に挙げるためまとめます(ほとんどの内容をNeurology ® 2012;79:1898–1907より引用させていただきました)。2001年にHagermanにより報告されたまだ比較的新しい疾患概念です。 疫学/病態 原因遺伝子:FMR1 CGG repeat異常伸長(55-200回)総称 FXDs: fragile X-as […]

OPDM: Oculopharyngodistal myopathy 眼咽頭遠位型ミオパチー

遺伝形式:AD(ARもあり)原因遺伝子:LRP12  非翻訳領域の CGG repeat 異常伸長(Nat Genet. 2019 Aug;51(8):1222-1232.)その他:GIPC1, NOTCH2NLCLRP12に関してrepeat数が長いほど発症年齢が若年化することが指摘されています。 *参考:繰り返し配列の異常伸長に伴う主な神経筋疾患まとめ(https://www.amed.go. […]

視空間認知

視空間認知障害の分類 1:背背側経路 “How”:意識に上らない行為 「視覚性運動失調」、「把握の障害」2:腹背側経路 “Where”:対象物の位置、座標 「半側空間無視」、「視覚性注意障害」3:腹側経路 “What”:対象物の形 「視覚性失認」(物体・相貌・街並)、「大脳性色覚障害」 1:背背側経路の障害 “Ho […]

半卵円中心梗塞 centrum ovale infarct

解剖 ・半卵円中心(centrum ovale):側脳室上端より上の部分(側脳室がaxial像で見えていないレベル) *卵を半分に割ったようみみえることが「半卵円」という名前の由来・血管支配:髄質枝(脳表を走行する血管から垂直に脳室方向へ向かう枝)が主体*半卵円中心の一部はACAとMCAの境界還流領域(分水嶺)に該当する(external border zone)*分水嶺領域の梗塞に関してはこちら […]