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頸椎症性筋萎縮症 CSA: cervical spondylotic amyotrophy

病態 ・頸椎症に伴う神経障害の代表的なものは1:頸椎症神経根症と2:頸椎症性脊髄症の2つです。1:頸椎症性神経根症は神経根性疼痛と髄節性の感覚障害(±運動障害)を主体とし、2:頸椎症脊髄障害は索路障害+髄節性の運動・感覚障害を主体とする病態です(頸椎症性神経根症、頸椎症性脊髄症に関してはこちらをご参照ください)。・ここではこれらの感覚障害や索路障害をほとんど伴わず髄節性の筋力低下・筋萎縮といった下 […]

腰椎穿刺 lumbar puncture

腰椎穿刺は日常臨床で頻回に行う手技で、手順をまとめさせていただきます。 ■禁忌 ・頭蓋内圧亢進を示唆する所見・穿刺部位の感染・血液凝固障害(血小板数 < 5万/μL、PT-INR > 1.5)・抗凝固薬内服は禁忌(抗凝固薬の処置前休薬期間に関してはこちらをご参照ください)*抗血小板薬に関しては絶対禁忌ではなく、緊急性が高い場合は腰椎穿刺を実施を検討します。*これらに関しては絶対的な基準はない […]

Elsberg症候群

臨床像 ・Elsberg症候群は急性から亜急性の経過で両側の腰仙髄領域の神経根炎としばしば脊髄炎(特に下部)を認め、感染性機序(特にHSV2感染)が推定されている症候群です。もともと1931年に急性で自然軽快する尿閉と様々な脊髄障害を合併し、髄液細胞数上昇を呈する症候群をElsbergが報告したことに端を発します(Surg Gynecol Obstet 1931;16:117–135.)。 ・後で […]

遺伝性痙性対麻痺 HSP: hereditary spastic paraplegia

病態・定義 遺伝性痙性対麻痺は臨床上は緩徐進行性の下肢痙縮と筋力低下を認め、病理学的には脊髄の錐体路、後索、脊髄小脳路の変性を認める神経変性疾患です。多くは常染色体優性遺伝で、一部常染色体劣性遺伝などが存在し、SPG〇〇と遺伝子に番号がふられています。細胞内輸送の障害(小胞体など)が病態の主体とされていますが、なぜそれが痙性対麻痺の臨床像を呈するのかはまだ解明されていません。 臨床的には痙性対麻痺 […]

Dandy walker奇形 / Blake’s pouch cyst

病態 Dandy walker奇形は「小脳発生過程での菱脳蓋の先天奇形」が病態です。Dandy walker奇形だけではなく、Blake’s pouch cystも菱脳蓋の先天奇形に該当し、Dandy walker奇形は小脳虫部の形成不全を伴うとされますが、Blake’s pouchでも形成不全を伴う場合があります。これらは完全に区別できるものではなく同一病態のspectrumに属して […]

Fabry病

Fabry病はαガラクトシダーゼA(α-Gal A)の酵素活性低下・欠損によるグロボトリアオシルセラミド(GL-3)のライソゾームへの進行性の蓄積が病態で、全身の細胞にこれらが蓄積することで臓器障害を引きおこいます。αガラクトシダーゼ遺伝子(GLA)はX染色体上に存在するため、X連鎖性劣性遺伝形式をとります(ヘミ接合体)。しかし、実際には女性でも症候性の場合もあります(症候性ヘテロ接合体)。 以下 […]

どのような病歴が「良い」病歴なのか?

「何が良い病歴で何が悪い病歴か?」正直私が初期研修医のときはあまり分かっていませんでした。とりあえず聞きまくればいいのかな?となんとなく思ってただ「長い病歴が良い病歴」と勘違いしていたように思います。ここでは何が良い病歴なのか?に関して私の考えを書かせていただきます。 患者さんの言う言葉をそのまま病歴にすれば良い訳ではない 私は普段神経内科医として外来をしていますが、パーキンソン病患者さんのフォロ […]

神経サルコイドーシス 髄液検査

ここでは神経サルコイドーシスにおいて髄液検査が診断にどのくらい有用であるか?に関して調べた内容をまとめたいと思います。結論から申し上げると髄液所見はいずれも神経サルコイドーシスにおいて感度、特異度が十分ではありません。神経サルコイドーシスの診断ではやはり”Tissue is the issue”であり組織診断が欠かせません。 ■神経サルコイドーシスの髄液所見まとめ Neur […]

神経サルコイドーシス Neurosarcoidosis

サルコイドーシス患者のうち約5-15%が神経サルコイドーシスを合併するとされています。しかし、全身性のサルコイドーシスを有している患者が神経症状を呈したからといってその原因が神経サルコイドーシスとは限らないという点が神経サルコイドーシスの診断の難しい点です。また神経サルコイドーシスの10-30%は全身症状を伴わずに神経症状のみで発症するため、全身症状を伴っていないからといって神経サルコイドーシスを […]

神経サルコイドーシス 治療

神経サルコイドーシスの治療に関して前向き研究は不在であり、基本的にはexpert opinionや観察研究の結果からの内容をまとめます。 ■副腎皮質ステロイド 神経サルコイドーシスの治療では通常副腎皮質ステロイドを第1選択として使用します。一般的にはサルコイドーシスによる他の臓器障害に比べて、神経サルコイドーシスはステロイドの治療反応性が悪いとされています。一定数の神経サルコイドーシス患者はステロ […]