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末梢神経障害

神経痛性筋萎縮症 NA: neuralgic amyotrophy/Parsonage-Turner syndrome

病態 ・神経痛性筋萎縮(NA: neuralgic amyotrophy)突然発症の肩周囲疼痛から上肢の筋力低下をきたす症候群として1948年にParsonage先生とTurner先生がまとめられたことに端を発します(このことから神経痛性筋萎縮は別名Parsonage-Turner症候群と称されます)。一般的には腕神経叢ニューロパチーの鑑別(腕神経叢炎 brachial plexitis)として捉 […]

血管炎性ニューロパチー

病態・臨床症状 ・血管炎性ニューロパチーは末梢神経系の栄養血管(小動脈~細動脈)に炎症が生じ(末梢神経の終動脈が障害され容易に虚血に陥る)、虚血により軸索障害をきたす病態”ischemic peripheral neuropathy”です(中枢神経での脳梗塞、心臓での心筋梗塞と対応します)。解剖的に末梢神経の栄養血管は神経周膜を斜めに貫いており、神経周膜の内圧が上昇するとチ […]

腕神経叢 brachial plexopathy

腕神経叢の障害を疑う症例は神経内科をやっていても年に数回あるかどうかなのでなかなか解剖を覚えられません。その都度勉強するのですがするする忘れてしまいます。ここで勉強した内容をまとめます(今度こそ覚えられますように・・・)。 解剖 ・腕神経叢はC5-Th1の神経根から構成され、近位から順に「神経根(root)」→「神経幹(trunk)」→「神経束(cord)」と名称がついています。下図にそれぞれの対 […]

尺骨神経 Ulnar nerve

解剖 尺骨神経は「上腕骨内側→上腕骨内側上顆の後面:尺骨神経溝→尺骨手根屈筋の形成する弓状靭帯(Osborne靭帯)をもぐる→尺側手根屈筋の上腕頭と尺骨頭の間→尺側手根屈筋と浅指屈筋との間→Guyon管→手」という走行をたどります。Guyon管より近位では尺側手根屈筋(FCU)と深指屈筋(Ⅲ, Ⅳ)への枝を出します。(上肢には分枝を出しません) ■肘部管の解剖 ■Guyon管の解剖尺骨神経は手関節 […]

神経伝導検査 NCS: Nerve Conduction Study 総論

ここでは「神経伝導検査(NCS: Nerve Conduction Study)で一体何を調べているのか?」「その検査結果をどのように解釈すればよいのか?」という点に絞って解説を行います(余談ですが「伝速:でんそく」と呼ばないように注意です。電気生理専門の先生に怒られます。「伝速」は速度しか意味していませんが、潜時や振幅なども重要なパラメーターだからです)。実際にどのように検査を行うか?というテク […]

Neuronopathy 後根神経節障害

病態・臨床像 ここでは一般的な”neuropathy”(ニューロパチー)ではなく、”neuronopathy”(ニューロノパチー)を扱います(私は医者になって初めてこの言葉を読んだ時誤表記かな?と思ってしまいましたが、誤表記ではありません)。”sensory neuronopathy”, “sensory gang […]

Small fiber neuropathy: SFN

病態 ・Small fiber neuropathy(SFN)は末梢神経線維の中でもAδ線維(有髄)・C線維(無髄)を障害するもので、臨床的には疼痛・自律神経症状を主体症状とします。・症状としては灼熱感・針で刺すような痛みを訴え、夜間や温熱で増悪、allodyniaを認めるア場合や温痛覚低下を認める場合があります。・診察では大径有髄線維が関与する筋力・深部腱反射・触覚・深部感覚は障害されません。・ […]

抗MAG抗体ニューロパチー

病態 異常蛋白血症に伴うニューロパチーの中に含まれます(異常蛋白血症に伴うニューロパチーに関してはこちらを参照ください)。IgM praproteinemiaに伴うニューロパチーのうち約50%で抗MAG(myelin associated glycoprotein:ミエリン随伴性糖蛋白質)抗体が陽性となります。MAGは髄鞘間の接着因子として機能している髄鞘構成蛋白で、下図の赤矢印部分をご参照くださ […]

FAP: familial amyloid polyneuropathy 家族性アミロイドポリニューロパチー

病態 FAP(familial amyloid polyneuropathy):家族性アミロイドポリニューロパチーはアミロイドが末梢神経を含む全身の臓器に沈着する遺伝性の疾患です。 アミロイドの前駆蛋白により分類され、transthyretin(TTR)、apolipoprotein A-1、gelsolinが挙げられます。この中で最も頻度が多いのはFAP ATTR Val30Metで、アミノ酸配 […]

Sjogren症候群と末梢神経障害

Sjogren症候群に伴う末梢神経障害は神経内科医にとって治療に難渋することも多く、長くつきあっていく疾患でもあります。ここでは末梢神経障害のみをまとめます。 病型 具体的な取りうる末梢神経障害のパターンに関して、92例のシェーグレン症候群による末梢神経障害をまとめた論文(Brain 2005;128:2518)から引用させていただきます。 ■疫学・76例女性、16例男性 平均59.7才・93%は […]