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消化器

サルモネラ感染症

ここではチフス以外のサルモネラ感染症を扱います。具体的な菌としてはSalmonella(S.enteritidis/S.typhimurium/S.heidelberg/S.newport/S.agona)による感染症です。腸内細菌科のGNRで、基本自然界のどこにでも存在しているとされています。 感染経路 1:食べ物:卵、鶏肉が代表的*卵黄1/10,000はSalmonella enteritid […]

下痢 救急外来編

0:はじめに 院内患者の下痢に関してこちらにまとめましたので、今回は救急外来での下痢対応に関してまとめます。特にここでは救急外来での頻度が多い急性下痢(発症から2週間以内)に関してまとめます。私は急性下痢症に関して以下の3通りに分類しております。 1:腸炎 ウイルス性・細菌性腸炎、寄生虫感染症2:中毒 Toxic shock syndrome・コリン作動性中毒・セロトニン症候群・甲状腺クリーゼ3: […]

MDSとBehcet病

MDS(myelodysplastic syndrome)では免疫システムの破綻が病態に関与していることが知られており、MDSの10-20%に自己免疫疾患を合併すると報告されています。 ■自己免疫疾患を合併したMDS123例のまとめ Rheumatology 2016;55:291-300 MDS/CMLL合併した自己免疫疾患としては血管炎32%(PN12例、GCA9例、Behcet病6例:全体の […]

胆嚢炎

私は消化器内科医や外科医ではないため、そこまで多くの胆嚢炎症例を経験しているわけではないですが救急外来などでよく出会いますし、また入院中の腹痛の鑑別として重要なためここでまとめさせていただきます。 病態と臨床症状 胆石の影響などで胆嚢内に胆汁がうっ滞し、そこに腸内細菌が2次的に感染をきたすことが胆嚢炎の機序になります。おおまかには虫垂炎と同じような機序なので、閉塞による内蔵痛(限局しない腹痛・ただ […]

高アンモニア血症 hyperammonemia

1:アンモニアの代謝・生理 人体にとって窒素(N: nitrogen)は細胞の代謝に必須の分枝です。アンモニア(NH3)はこの窒素の代謝に関与しています。アンモニアはグルタミンの合成に関与し、グルタミンがグルタミン酸へ分解されるときにアンモニアは産生されます。アンモニアとグルタミンは体内でこのような密接な関係にあります。 食事中の窒素(タンパク質に含まれる)は腸内細菌によって分解され、アンモニアと […]

肝性脳症 hepatic encephalopathy

1:病態・症状 肝機能障害によってアンモニア血中濃度が上昇し、脳での神経伝達へ影響を及ぼすことが主病態とされています。(アンモニア代謝に関してこちらをご参照ください)。通常はアンモニアを尿素回路で解毒することで血中アンモニア濃度が上昇しすぎないように調節されますが、肝機能障害ではこの尿素回路の解毒機序が働かないため血中アンモニア濃度が上昇します。 それでも肝硬変患者の多くが全員肝性脳症になる訳では […]

PPI プロトンポンプ阻害薬

1:作用機序 PPIは胃の壁細胞H+/K+-ATPase(プロトンポンプ)を阻害することで胃酸分泌を抑える働きをします。ヒスタミン受容体拮抗薬は酸産生への機序のうち1経路しかブロックしないですが、PPIは最終的なプロトンポンプを阻害するためより強力な酸抑制作用を持ちます。 PPIは通常胃酸で活性化され、効果発現に数日時間かかります。この効果発現に時間がかかる点がヒスタミン受容体拮抗薬と比較しての欠 […]

下痢 入院患者編

0:原因 入院中患者の下痢は救急外来での下痢診療と異なります。その理由は、入院72時間以内では通常市中感染による下痢症を考えないためです(このため入院72時間以降の下痢では便培養検査は通常不要で、”3-day rule”と表現します)。入院中の下痢を私は3つ(抗菌薬関連感染症・薬剤性・経管栄養)+α(特殊な場合で考慮)で覚えています。 1:抗菌薬関連感染症2:薬剤性3:経管 […]

ストレス潰瘍予防 Stress Ulcer Prophylaxis

1:病態 通常胃内はpH=2程度の強酸性で、このままの状態だと組織障害性が高いですが、胃粘膜を保護する粘液を産生することでバランスがとられています。普段胃への血流のうち70~90%が胃粘膜に供給されますが、ICUに入室するような重症患者は循環不全などで胃粘膜への血流不全がおこり、ストレス関連粘膜障害(SRMD: stress-related mucosal damage)が起こるとされています。消 […]

腹痛 abdominal pain

私は救急外来での腹痛診療が苦手です。致死的疾患が多いこと、鑑別疾患が多いこと、造影CT検査まで行っても必ずしも診断が付かない場合があることなど理由は沢山あります。恐い経験を沢山積むとついつい造影CT検査の閾値が下がり検査過剰になってしまう場合もあります。「腹痛診療でなんでもかんでも造影CT検査となってしまうことを避けたい」という思いから、「いかに解剖・病態生理を腹痛診療に活かすか?」というテーマで […]