肝性脳症 hepatic encephalopathy

1:病態・症状

肝機能障害によってアンモニア血中濃度が上昇し、脳での神経伝達へ影響を及ぼすことが主病態とされています。(アンモニア代謝に関してこちらをご参照ください)。通常はアンモニアを尿素回路で解毒することで血中アンモニア濃度が上昇しすぎないように調節されますが、肝機能障害ではこの尿素回路の解毒機序が働かないため血中アンモニア濃度が上昇します。 read more

PPI プロトンポンプ阻害薬

1:作用機序

PPIは胃の壁細胞H+/K+-ATPase(プロトンポンプ)を阻害することで胃酸分泌を抑える働きをします。ヒスタミン受容体拮抗薬は酸産生への機序のうち1経路しかブロックしないですが、PPIは最終的なプロトンポンプを阻害するためより強力な酸抑制作用を持ちます。 read more

下痢 入院患者編

0:原因

入院中患者の下痢は救急外来での下痢診療と異なります。その理由は、入院72時間以内では通常市中感染による下痢症を考えないためです(このため入院72時間以降の下痢では便培養検査は通常不要で、”3-day rule”と表現します)。入院中の下痢を私は3つ(抗菌薬関連感染症・薬剤性・経管栄養)+α(特殊な場合で考慮)で覚えています。 read more

ストレス潰瘍予防 Stress Ulcer Prophylaxis

1:病態

通常胃内はpH=2程度の強酸性で、このままの状態だと組織障害性が高いですが、胃粘膜を保護する粘液を産生することでバランスがとられています。普段胃への血流のうち70~90%が胃粘膜に供給されますが、ICUに入室するような重症患者は循環不全などで胃粘膜への血流不全がおこり、ストレス関連粘膜障害(SRMD: stress-related mucosal damage)が起こるとされています。消化管の血流不全に対する脆弱性として、
・消化管血流は”autoregulation”を備えていない
・交感神経刺激などで真っ先に血流が低下する(皮膚、消化管が代表)ことで、他の重要臓器へ血流を再分配する
などが原因として挙げられます。ストレス潰瘍(stress ulcer)はこのストレス関連粘膜障害の範疇です。ストレス潰瘍では、一般の胃潰瘍と異なり腹痛といった自覚症状に乏しい特徴があります。 read more

腹痛 abdominal pain

私は救急外来での腹痛診療が苦手です。致死的疾患が多いこと、鑑別疾患が多いこと、造影CT検査まで行っても必ずしも診断が付かない場合があることなど理由は沢山あります。恐い経験を沢山積むとついつい造影CT検査の閾値が下がり検査過剰になってしまう場合もあります。「腹痛診療でなんでもかんでも造影CT検査となってしまうことを避けたい」という思いから、「いかに解剖・病態生理を腹痛診療に活かすか?」というテーマで今回は執筆しました。 read more

DOAC: direct oral anticoagulants 直接作用型経口抗凝固薬

1:薬剤のまとめ

以下にDOACそれぞれの特徴をまとめます。
腎機能により薬剤量は調節が必要です。すべての薬剤でCCr<15 ml/minの場合は禁忌となり、ワーファリンを選択します(ワーファリンは透析患者での抗凝固に関しては出血合併を増加させるだけで血栓症は減らさない可能性があり注意が必要です)。 read more