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薬剤

セロトニン症候群 Serotonin syndrome

セロトニン症候群は個人的にはかなりunderdiagnosedな症候群ではないか?と思います。まずそもそも疾患を知らない、鑑別に挙げないという点で相当漏れが生じてしまっていることと、薬剤のoverdoseでなくとも(通常量でも)起こりうるという認識がないという点がunderdiagnosedの原因ではないかと思います。以下にまとめさせていただきました。 1:病態 セロトニンの作用は中枢神経系では意 […]

β-blocker

1:作用機序 ■心臓への作用 心臓の刺激伝導系や作用することで“rate control”に作用します。房室結節を抑制することで寝室のrateをコントロールする作用があります。房室結節に作用する薬はβ-blockerと非ジヒドロピリジン系カルシウム受容体拮抗薬の2種類が重要です(カルシウム受容体拮抗薬に関してはこちらをご参照ください)。 ■なぜ心不全でβ-blockerなの […]

ACE阻害薬/ARB

1:レニン・アンジオテンシン・アルドステロンシステムに関して Renin-Angiotensin-Aldosterone-System(RAAS:以下簡略のためにRAASと表現します)に関してまず解説します。そもそもRAASはなぜ人間に備わっているのでしょうか? ここでまず人間の進化の過程を考えてみます。我々の祖先はもともと魚の仲間で海の中にいました。海水の中にいるので、基本水不足や塩分不足になる […]

抗てんかん薬と皮疹

抗てんかん薬(AED: anti-epileptic drugs)と皮疹(薬疹)はきってもきれない関係にありますのでここでまとめます。 1:各薬剤の頻度 平均すると1つの抗てんかん薬の使用で2.8%に皮疹があるとされていますあり(2.1%は皮疹により中断)。以下はNeurology 2007;68:1701より引用よりさせていただきました。 ■皮疹が多い薬剤 ・フェニトイン(PHT) 5.9%   […]

抗菌薬とてんかん発作

1:病態 ほとんどの抗菌薬(ペニシリン系・セファロスポリン系・カルバペネム系・フルオロキノロン系)が、神経抑制系のGABA受容体を阻害することで興奮系に傾くことでてんかん発作の閾値が下がる機序が推定されています。 カルバペネム系はこのほかにバルプロ酸の血中濃度を下げることでてんかん発作の閾値を下げることが指摘されており、添付文書上ではカルバペネム系とバルプロ酸の併用は禁忌とされています。 実際には […]

NSAIDsによる無菌性髄膜炎

教科書で無菌性髄膜炎と調べると必ず、薬剤性:NSAIDsと記載があります。認知はされているけれど、「NSAIDs髄膜炎の特徴は何か?」と質問されると答えに窮するため調べた内容をまとめます。 以下の内容はイブプロフェンによる無菌性髄膜炎36人の71エピソードをまとめたもので、Medicine 2006;85:214より参照しました。NSAIDs髄膜炎の報告はそのほとんどが、イブプロフェンによるもので […]

スタチン Statin

脂質異常症の治療薬として確固たる地位を築いたスタチンに関してまとめます。ここではスタチンの薬理作用、特徴に関してまとめるため、脂質異常症での薬剤治療適応に関してはこちらをご参照ください。 作用機序 HMG-CoA還元酵素を阻害することで体内でのコレステロール合成を抑制することが作用機序になります。 強度 スタチンがどの程度LDL濃度を低下させるか?をスタチンの「強度」と表現します。強度はスタンダー […]

脂質異常症 薬剤治療適応

ここでは脂質異常症に対しての介入方法をまとめます。海外のガイドラインは日に日にややこしさを増していて、また日本との相違点もあるため解釈が難しいところもあるので、細かいことにとらわれすぎず大枠をとらえることが重要と思い解説します。 薬剤治療の適応は? 脂質異常症の薬剤治療は「スタチン」が鍵の薬剤になります。スタチンの治療で理解しておくべき重要な点は背景の心血管合併リスクによりスタチンによる心血管合併 […]

高TG血症とフィブラート製剤

高TG血症は何が問題なのか? 高TG血症(hypertriglyceridemia:高トリグリセリド血症)は患者さんの~10%程度に認めるとされ、日常診療で患者さんのお薬手帳をみるとフィブラート製剤が入っていることがよくあります。しかし、本当にこれらの薬剤が必要なのか?そもそも高TG血症は何が問題なのか?を疑問に思い勉強した内容をまとめます。以下のほとんどをEuropean Heart Journ […]

PCSK9阻害薬

1:生理・作用機序 PCSK9は”Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type9″の略で、2003年に発見され、フランスの家族性高コレステロール血症患者がPCSK9を過剰発現していることが分かり脂質異常症におけるターゲットとして注目されるようになりました。 PCSK9は肝臓のLDL受容体を分解する働きをします(下図)。LDL受容体は […]