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循環器

大動脈解離と脳梗塞

急性期脳梗塞診療は「いかに大動脈解離を除外するか?」というテーマを常に抱えています。大規模な3次救急病院では年1例くらいは脳卒中搬送で実は原因が大動脈解離であったということがあるのではないでしょうか?しかし、初発症状で神経所見を呈する大動脈解離は典型的な疼痛を訴えることが少なく診断が難しいことが知られており、rt-PA投与は禁忌で致死的になりうるため注意が必要です。ここではその特徴を文献的にまとめ […]

β-blocker

1:作用機序 ■心臓への作用 心臓の刺激伝導系や作用することで“rate control”に作用します。房室結節を抑制することで寝室のrateをコントロールする作用があります。房室結節に作用する薬はβ-blockerと非ジヒドロピリジン系カルシウム受容体拮抗薬の2種類が重要です(カルシウム受容体拮抗薬に関してはこちらをご参照ください)。 ■なぜ心不全でβ-blockerなの […]

ACE阻害薬/ARB

1:レニン・アンジオテンシン・アルドステロンシステムに関して Renin-Angiotensin-Aldosterone-System(RAAS:以下簡略のためにRAASと表現します)に関してまず解説します。そもそもRAASはなぜ人間に備わっているのでしょうか? ここでまず人間の進化の過程を考えてみます。我々の祖先はもともと魚の仲間で海の中にいました。海水の中にいるので、基本水不足や塩分不足になる […]

入院患者のDVT予防

入院患者さんのDVT予防に関してまとめます。 薬剤による予防 抗凝固薬の未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、もしくはフォンダパリヌクスによる予防が用いられます。 未分画ヘパリンを1日2回 or 3回投与 or 低分子ヘパリンで予防効果、出血合併症の頻度を比べたmeta-analysisでは、いずれにおいてもDVT予防、PE予防、死亡、出血合併症に関して有意差は検出されませんでした(Chest  […]

左心耳の世界

解剖・形態 左心耳(LAA: left atrial appendage)は1909年に同部位に血栓ができることで脳梗塞になることが指摘されてから脚光(?)を浴びるようになった解剖構造です。左心房と比較して左心耳は非常にcomplianceが高いため、圧が上昇した際のリザーバーとしての機能・役割があるのではないかと指摘されていますが、脳梗塞領域においては非常にやっかいな構造物です・・・。 左心耳は […]

急性大動脈解離をどう除外できるか?

大動脈解離ほど非典型例な症状で受診し、初診時に診断が難しい疾患はないと思います(誤診率は14~39%)。これも学生の時は簡単に診断できると思っていたけれどそうではない疾患の代表です(くも膜下出血やACSと同様)。かといって全員造影CTを撮影する訳にはいかないので、造影CT前にどこまで急性大動脈解離を除外できるか?どういうときに造影CTへ行くべきか?の判断が重要になります。以下のADD-RSとD-d […]

腎梗塞 renal infarction

昨年度勤めていた病院の研修医の先生方から腎梗塞の症例をシェアしていただきました。私自身は1例しか経験がなく、それも自分で腎梗塞をねらって診断したわけではなく造影CT検査で偶発的に指摘され診断にいたった症例でした・・・。有名な疾患ですが、尿管結石、腎盂腎炎と誤診される場合も多いです。勉強した内容をここでまとめさせていただきます。 1:原因 原因を1:心原性、2:腎血管性、3:凝固障害、4:特発性と4 […]

心房細動の抗凝固療法

心房細動の合併症として全身への塞栓症(特に脳塞栓症)が問題となります。心房細動での抗凝固療法に関してここでまとめます。 心房細動による塞栓症のリスク評価 代表的なリスク評価がCHADS2 scoreとCHA2DS2-VASc scoreです(下図)。点数が高ければ高いほど塞栓症リスクが上昇します。注意としてはこれはあくまで非弁膜症性心房細動の場合の話です。人工弁患者さんや僧房弁狭窄症患者さんではこ […]

心筋逸脱酵素:トロポニン・CK-MB

救急外来で胸痛患者さんが来ると心筋逸脱酵素を測定する場合が多々あると思います。改めてその検査特性に関して出来るだけ新しい情報を勉強し、まとめました。 ■トロポニン トロポニンの内容は全て以下の論文より引用しています(Ann Emerg Med. 2016;68:690-694)。この論文は筆者が端的にずばっと切れ味良い言葉でトロポニンに関して語っていて、感動します(こういう語り方が出来るようになり […]

頚静脈の診察

病態・解剖 心臓への静脈還流がうっ滞しているかどうか?を知る指標として「頸静脈」の評価は欠かすことが出来ません。私は情けない話ですが、頸静脈をある程度きちんと評価できるようになったのは昨年度からです・・・。これは身体所見すべてにおいてですが、一度きちんと身体所見をとれる医師と一緒に診察することが身体所見の習得には不可欠です。 頚静脈の診察に関して慶応大学循環器科の香坂先生が、「心臓にメスシリンダー […]