解剖
・髄節:C5
・走行:後頸三角 (一部はC4,6から寄与があることや、長胸神経と共通幹を形成することもある)→中斜角筋を貫通→後斜角筋と上後鋸筋、肩甲挙筋の間を走行→肩甲骨内側縁(medial scapula border)の近くを下降
*中斜角筋(middle scalene muscle)を通過する領域が最も絞扼圧迫を受けやすい
・支配筋:菱形筋 rhomboid(大菱形筋と小菱形筋)
・機能:肩甲骨を挙上・後退(内側へ引き寄せる) *肩甲骨の安定化に寄与している
臨床像
・主訴は肩甲骨内側縁の周囲や肩甲骨間の疼痛 誤診されやすい
(運動神経が主体であるが、神経鞘を支配するnervi nercorumの障害が疼痛を生じる
・Scapular winging:非常に軽微で目立たない(前鋸筋や僧帽筋の障害に比べて)・肩甲骨の内側縁・下部が浮き上がり、下角は外側へ回転する・肩甲骨は下がらない(僧帽筋麻痺と異なり)→肩甲挙筋や上部僧帽筋の代償によりむしろ高い位置になる・上肢を前方挙上した位置から徐々に下ろしていく動作で最も明瞭に観察される
・診察方法:両手を腰に当ててもらい 肘を後ろに押し出してもらう または 肩甲骨を内側に引き寄せてもらう(後退)テスト
・検査:EMGは技術的に難易度が高い
原因
・動的・物理的圧迫:画家、電気技師、バレーボールやバスケットボールなど腕を90度以上挙上する反復運動で肩甲骨内側縁での動的な圧迫
・中斜角筋の肥大による圧迫(ボディビルダーなど)
・外傷:肩関節脱臼による牽引損傷
・医原性:トリガーポイント注射(菱形筋に対する)など
文献
Afshar A, Tabrizi A, Shariyate MJ. Dorsal scapular nerve entrapment: a systematic review. JSES Rev Rep Tech. 2026 Jun 19;6(4):100807. doi: 10.1016/j.xrrt.2026.100807. PMID: 42502829; PMCID: PMC13400261.