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CMV infection, disease

ウイルスの特徴

・DNAウイルス、ヘルペスウイルス
・感染すると体内から完全に排除されることはなく、主にCD34+骨髄系単核球などで生涯にわたって潜伏感染(Latency)を確立し、免疫低下時などに再活性化
・感染経路:唾液、尿、生殖器分泌物(性的接触)、母乳を介した日常的な接触でコミュニティ内に広がるほか、臓器移植(同種移植片)や輸血などの医療行為を通じても感染する
・既感染:米国の成人の50%以上、世界の多くの地域ではほぼ100%の人が感染

CMVの影響

・直接的影響(細胞障害) ウイルスが臓器の細胞内で複製増殖し、直接的に細胞を破壊する 血管内皮細胞への感染により血小板凝集→TMAを誘発する場合がある
・間接的影響 CMVは免疫へ影響を与え血球貪食症候群などを生じる場合がある アスペルギルスやニューモシスチス肺炎など二次感染のリスクを独立して高める同種造血幹細胞移植患者では急性GVHDリスクを高める

患者背景・リスク因子

造血幹細胞移植、血液腫瘍:同種移植やGVHD存在が最もリスクが高い、CMV肺炎が最も多い⇒抗ウイルス薬予防投与または先制治療が確立している
固形臓器移植:ドナー陽性、レシピエント陰性が最も高リスク、CMV症候群(発熱、白血球減少などを伴う全身症状)が40-60%と高頻度
HIV感染症:CD4陽性細胞<50/mm3(かつては多かったがART導入により激減)、網膜炎や消化管病変
免疫抑制剤:高用量ステロイド、アレムツズマブ、イデラリシブ(PI3K阻害薬)、ボルテゾミブ、フルダラビンなど
・重症ICU患者(もともと免疫不全なし):敗血症、外傷、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、重度の熱傷などの重症化自体が免疫抑制を引き起こし、CMVの再活性化を招く

*免疫正常者は無症候性または伝染性単核球症を呈する
*先天性CMV感染症:最も一般的な先天性ウイルス感染症 感音性難聴、精神発達遅滞など

感染臓器の特徴

CMV肺炎
・ ICUで最も重篤かつ一般的な臓器疾患で、約半数がICU入室を、3分の1が人工呼吸器を要し、死亡率は60%に達します
・気管支肺胞洗浄(BAL)でのウイルス量評価が重要ですが、確定的なカットオフ値はなく、臨床症状や画像所見(すりガラス陰影や小結節)との総合的な判断が必要です

CMV消化管疾患

・ICUで2番目に多い臓器疾患です
食道炎や大腸炎(下痢、出血、穿孔)
最大3分の1の患者で血中のCMV DNAが陰性になるため、血液検査だけでなく内視鏡による生検と免疫染色(IHC)での確認が必須

“Cytomegalovirus Diseases of the Gastrointestinal Tract” Viruses 2022, 14, 352.
免疫組織化学(IHC)染色により確定診断されたサイトメガロウイルス(CMV)胃腸疾患の患者356人を対象とした大規模な後ろ向きコホート研究
・患者背景:免疫抑制約半数
・罹患部位:結腸 57.3%>>胃 21.3%>食道 12.9%>小腸 8.4% *小腸病変が最も全身状態が悪化しやすい(小腸病変は生検も困難)
・初期症状:消化管出血(45.8%)、発熱(33.1%)、腹痛(31.5%)
・内視鏡所見:潰瘍が最多84.8%
・予後:全体の院内死亡率は20.8%、全死亡率は40.4%
・予後因子:年齢、免疫状態、アルブミン、血小板低下、消化管出血、診断までの期間、併用療法(静注投与から経口投与へ移行する)の有無
・検査:血清検査は実際の組織へのウイルス浸潤の有無や疾患の重症度とは十分に相関しない
*組織検査:HE染色では封入体検出感度が不十分、IHCが必要

病変部位CMV Antigenemia 陽性率CMV PCR (ウイルス血症) 陽性率
食道66.7%57.1%
48.1%33.3%
小腸36.4%72.7%
結腸58.1%81.4%
全体平均54.8%70.8%

予後

項目食道 (n = 46)胃 (n = 76)小腸 (n = 30)結腸 (n = 204)全体 (n = 356)
診断までの期間 (日)15.8 ± 13.117.8 ± 20.119.7 ± 16.321.5 ± 21.119.8 ± 19.7
入院期間 (日)33.4 ± 27.241.9 ± 34.532 ± 1844.2 ± 34.541.2 ± 32.6
追跡期間 (日)922.1 ± 1504.81532.6 ± 5139.1637.6 ± 1049.7768.8 ± 1199.3939.8 ± 2615.1
穿孔0 (0%)1 (1.3%)2 (6.7%)8 (3.9%)11 (3.1%)
再発0 (0%)0 (0%)0 (0%)14 (6.9%)14 (3.9%)
院内死亡8 (17.4%)15 (19.7%)7 (23.3%)44 (21.6%)74 (20.8%)
全死亡23 (50%)31 (40.8%)13 (43.3%)77 (37.7%)144 (40.4%)

CMV網膜炎
・HIV患者で最も多いが(ART導入により激減)、移植患者などでも他臓器の疾患に合併して起こることがある
約半数は無症状であるため、持続的な高ウイルス量を示すハイリスクICU患者には、症状がなくても眼科的評価(眼底検査)が推奨

CMV中枢神経疾患
・主にHIV患者や、難治性・再発性のCMV感染を繰り返した移植患者に遅発性に見られる脳炎などで、死亡率が40〜90%と極めて高いのが特徴です

検査

CMV antigenemia(pp65抗原血症検査)

・末梢血白血球中のCMV pp65抗原を免疫蛍光染色で検出する半定量検査で、CMV感染白血球数を測定する
・抗CMV pp65モノクローナル抗体(C10, C11, 1C3, AYM-1など)で免疫蛍光染色を行い陽性細胞数を計測(スライドあたり)する。(C〇というのは抗体の名前でそれぞれ標的のエピトープ(同じ抗原での)が異なる)

C7-HRP法:ヒトモノクローナル抗体C7のHRP(horseradish peroxidase)標識Fab’断片 抗原はCMV即時早期抗原(immediate-early antigen)
C10/C11法:抗原はpp65下層のマトリックスタンパク質(C10とC11を併用して調べている)
→陽性数/WBC数(5万、10万など施設や検査により基準値が異なり標準化されていない)
*免疫染色で染まった数を背景の白血球数と合わせて数えている

感度65%, 特異度94% →陰性でもCMV感染を除外することはできない
参考文献:”Diagnostic test accuracy of antigenaemia assay for PCR-proven cytomegalovirus infectiondsystematic review and meta-analysis” Clinical Microbiology and Infection 23 (2017) 907e915
・PCR検査を確定診断の基準としてCMV antigenemiaの診断精度を検討したsystematic review and meta-analysis 患者背景は固形臓器移植(SOT)や造血幹細胞移植(HSCT)のレシピエント、HIV/AIDS患者、非特異的な免疫不全患者、小児や新生児など(有症状と無症状は区別していない) 様々なサブグループ解析(患者背景、検査キットなど)でも有意差はなし
・偽陰性になりやすい状況:白血球減少(検査の基盤となる細胞が不足するため)、感染初期段階でウイルス量が少ない状況
・無症候性CMV感染であっても陽性になる

血清抗体検査 IgG, IgM

免疫不全者では血清抗体(IgG, IgM)は既感染かどうかの判断にしかならず有用性が低い

PCR検査

・QNAT(定量的核酸増幅検査):第1選択 血漿または全血で評価する、単位が標準化している

細胞診

組織、BAL検体で巨細胞核内封入泰を認める

治療

第1選択:ガンシクロビル(またはバルガンシクロビル)
*抗ヘルペスウイルス薬のまとめはこちらをご参照ください。