注目キーワード

Parinaud症候群

  • 2026年5月19日
  • 2026年5月19日
  • 神経

解剖と症候

中脳背側部の障害による症候群

中心灰白質の前方にある内側縦束吻側介在核(riMLF)からの神経線維は中心灰白質を1周するように走行して、中脳視蓋で左右交差し、動眼神経核の上直筋亜核へ両側性に達する
→同部位の障害により生じる

1:垂直性注視麻痺 上方視麻痺が最も多い
*上方注視は後交連の繊維を介するため、圧迫により同部位が障害されやすい解剖が関係しているかもしれない
2:light-near dissociation of pupils 近見対光解離
3:convergence-retraction nystagmus
その他:

原因

・腫瘍:松果体腫瘍による圧迫が古典的に最も有名
・脳実質:血管障害、炎症・脱髄、変性疾患(PSP)

文献

“Parinaud syndrome: a 25-year (1991–2016) review of 40 consecutive adult cases” Acta Ophthalmol. 2016: 95: e792–e793.

Notebook LMによるまとめ

オーストラリアのRoyal Adelaide Hospitalにおいて、1991年から2016年の25年間にわたりパリノー症候群(Parinaud syndrome)と診断された成人患者40名の連続症例を対象とした後ろ向き観察研究の詳細なまとめは以下の通りです。患者の平均年齢は42.45歳で、全体の65%が男性でした。

主な症状と徴候

  • 自覚症状: 患者が最も多く訴えた初期症状は複視(67.5%)目のかすみ(25.0%)、視野欠損(12.5%)、運動失調(7.5%)、顕性斜視(7.5%)が多く見られました。
  • 他覚的徴候: **垂直注視麻痺が全症例(100%)**で認められ、次いで輻輳後退性眼振(87.5%)、瞳孔の対光近見反応解離(65.0%)が観察されました。他にも下向き眼振(22.5%)や、原位における眼瞼後退を示すCollier徴候(20.0%)などが確認されています。
  • 古典的三徴の欠如: 本研究において、パリノー症候群の**古典的三徴(上方注視麻痺、輻輳後退性眼振、対光近見反応解離)が全て揃っていた患者は全体のわずか65.0%**に留まっており、臨床的な見え方には多様性があることが強調されています。

病因(原因疾患)

  • 最も一般的な原因疾患は**松果体部腫瘍(30.0%)中脳出血(30.0%)**でした。次いで、中脳梗塞(20.0%)、中脳腫瘍(15.0%)が続いています。
  • 松果体部の病変は本症候群の古典的な原因として重要ですが、本研究では脳梗塞や脳出血といった原発性の中脳病変が全体の過半数(65%)を占めました
  • 年齢層によって原因に違いがあり、小児や若年成人では腫瘍性の原因が多く、血管リスクファクターを持つ中高年・高齢者では血管障害(出血や梗塞)による原因が多いという傾向が確認されました。

治療と管理

  • パリノー症候群の管理は根本的な原因疾患に依存しますが、眼科的な症状に対しては大多数が保存的に管理可能です。
  • 全体の45.0%の症例に対して、一時的な遮蔽(眼帯)、プリズムレンズ、または屈折矯正といった保存的治療が行われ、42.5%の症例は経過観察のみで対応されました。
  • 難治性の複視や上方注視麻痺に対して外科的介入(手術)を必要としたのは全体の12.5%(5名)と比較的少数でした。しかし、手術を受けた患者の80%で術後に症状の消失・解決が報告されており、手術によって眼振や輻輳運動の著しい改善も見られています。