注目キーワード

NMOSD 視神経脊髄炎スペクトラム障害

NMOSD neuromyelitis optica spectrum disorders

病態

・抗AQP4抗体によるアストロサイトの障害が主体(MSは脱髄が主体であるのに対して)
・オリゴデンドロサイトの障害は補体によるSecondary injuryである Acta Neuropathol 2013;126:699
*病理的には壊死が生じている

AQP4-IgG (IgG1 subclass):中枢へ移行して炎症を惹起することが想定(基本的に髄腔内産生はほとんどないと考えられている)
補体依存性細胞障害 complement-dependent cytotoxicity (CDC):補体存在下でのみ病原性を発揮する

AQP4アストロサイトの足突起に密に発現する水チャネル 6回膜貫通型4量体 細胞外ドメインに結合する(脳内とせき髄液、血液の水交換を担っている)

補体の関与
病変部位には補体の沈着が確認される Brain 2007;130:1194
補体の役割:異物の除去+局所への炎症誘導
補体制御因子とAQP4が発現する箇所(腎・筋・消化管)では抗AQP4抗体の病理は生じない
→脳は補体制御因子を有していないため(脳以外の組織では補体制御因子を有しているため攻撃されない)
*「なぜ全身の組織にAQP4が存在しているのに、中枢神経系(脳や脊髄など)だけが激しい攻撃を受けるのか?」に対する回答
Yao X, Verkman AS. Complement regulator CD59 prevents peripheral organ injury in rats made seropositive for neuromyelitis optica immunoglobulin G. Acta Neuropathol Commun 2017;5:57.

IFNβ液性免疫を強化してしまうため悪化する J neurol sci 2007;252:57

神経系での発現部位とAQPの関係まとめ
・AQP1:脈絡叢(CSF産生に関与)、後根神経節(三叉神経節にも) *全身の血管内皮細胞に発現しているが、脳の血管内皮細胞だけは発現していない(CVOを除く)
・その他:腸管enteric nervous system(diabetic gastrointestinal dysfunction)
・AQP4:astrocyte foot process(end feet) 眼 *神経細胞そのものには発現していな
*Astrocyte:neuron=1.4:1(humans)   1:3(rats)
・BBBを欠かない部位では局在がある
・BBBを欠く部位ではastrocytの内部では局在しない分布をとる

参考文献
Lancet Neurology “Aquaporin 4 and neuromyelitis optica”2012;11:535-44
Lancet Neurology “The spectrum of neuromyelitis optica”2007;6:805-15
Acta Neuropathol 2017;134:35

宿主要因:女性90%, 自己免疫疾患を高率に合併する Sjogren, 橋本病, HLA-DRB1*1501は関係なし
*シェーグレン症候群合併のNMOSDについてはこちら

環境要因:no north-south gradient(南北差は認めていない)

疾患概念の変遷

NMO-IgGの発見の論文 Lancet 2004;364:2106
→2006年Wingerchunk revised NMO criteria(ここでは視神経炎+脊髄炎が必須項目)
→2007年 NMOSDという用語が導入
→2015年 IPND criteria(診断のところで後述)

臨床像

6つのCore clinical syndromes 急性発症の日単位で進行性の経過

1. 視神経炎 こちらを参照
2. 急性脊髄炎 こちらを参照
3. 最後野症候群 この後解説
4. 急性脳幹症候群
5. 症候性ナルコレプシー、またはNMOSDに典型的な間脳MRI病変を伴う急性間脳臨床症候群
6. NMOSDに典型的な脳病変を伴う症候性大脳症候群

最後野(さいこうや)症候群 area postrema syndrome

難治性吃逆、嘔吐 初発症状として10% 経過中に15-40%で認める 嘔吐は2週間持続し、約2/3では視神経炎や脊髄炎に先行する

“Area postrema syndrome Frequency, criteria, and severity in AQP4-IgG–positive NMOSD” Neurology 2018;91(17):e1642e1651.
・最後野(Area Postrema: AP)は、嘔吐反射の中枢であり、血液脳関門が緩くAQP4が豊富に発現しているため、NMOSDの自己抗体(AQP4-IgG)の標的になりやすい部位
・患者の約7-10%が初発症状として経験する
・視神経炎や脊髄炎の中央値10日以内に58%で前兆として経験
消化器内科を受診することが多い(44/100) 体重減少も認める 一般的な制吐剤は無効であった
・免疫治療により88%が2日以内に症状消失
・最後野症候群の診断基準
急性または亜急性の「吐き気、嘔吐、しゃっくり」(単独でも複数でも可)。
②症状が48時間以上持続し、一般的な対症療法(吐き気止めなど)で完全に解決しないこと。(※ただし、MRIで「最後野」に新たな病変が確認された場合は、48時間未満でも診断可能)
③代謝異常、消化器疾患、腫瘍など、他の原因が除外されていること

検査

抗体検査

抗AQP-4抗体(血清ELISA法):Sn:73% Sp:91% Neurology 2012;78:669
ELISA法は感度が低いことが問題であり、CBA法も検討する必要がある

*抗体価と再発頻度は相関しないとされている
*髄液中の抗体産生はほとんどなく、髄液中で検出される場合も基本的には血中からの移行分と考えられる
*髄液中の抗AQP4抗体測定も意義に乏しい

髄液所見

・髄液細胞数増多 MSよりも顕著な細胞数増多を認めることが多い・好中球を認める場合もある
・OCB陽性は10%程度 AQP4抗体は中枢産生は乏しく、基本的に髄腔産生を示唆するIgG indexやOCBはでないことが多い OCB陽性はMSを示唆する所見である

画像

3椎体以上の病変、横断像にて中心部(灰白質)を障害している場合は常にNMOSDを考慮する
視床下部、延髄背側、その他の水回りの病変を有する場合は必ず考慮する

引用 RadioGraphics 2018; 38:169–193

脊髄病変

長さ:LETM(longitudinal extensive transverse myelitis)
*NMOSDでも14.5%の患者では発症初期に「短い脊髄病変(STM:3椎体未満)」を呈することがあり、短いからといってNMOSDを除外することはできない
高さ:頚髄病変が延髄や胸髄(30%)へextensionする
髄節内:中心灰白質(中心管のAQP4)60-70%
造影効果:ring enhancement 30% *MSとの鑑別にはならない
NMOSD AQP4 positiveでは無症候性の病変はまれである(MSと対照的に)
*サルコイドーシスと画像が似るが造影効果がサルコイドーシスでは遷延する点が(半年くらい)が疑いなおすポイントになる(NMOSDは治療で造影効果は消える、フォローアップで造影MRIをとること)
*巨大な病変のわりに症状乏しい場合は腫瘍を検討する

視神経・脊髄の画像 Neurology 2015;85: 177-89.

大脳病変

特異なもの:第三脳室周囲、第4脳室周囲、medulla-cervical lesion、脳梁が広範に障害される病変

脳幹病変の画像 Neurology 2015;85: 177-89.

大脳病変の画像

脳梁
“peri-ependymal lesion”
“arch bridge pattern”
“marbled pattern” MOSAIC状に見える大理石様のバーコード様

白質
“spindle-like lesion”
“spilled-ink lesion” ADEMの様な脳溝
“corticospinal tract lesion” LSAのBADに近いところにずっと続く病変 coronal lesion 片側だと虚血と間違える場合がある

造影効果
・MSで見られるような「リング状造影」は少なく(ring-enhancement/open-ring enhancementを認める場合はMSを示唆し、NMOSDではほぼ認めない)、境界が不明瞭でモヤモヤとした「Cloud-like(雲状)」や、脳室表面をなぞるような「Pencil-thin(鉛筆の線のような細い線状)」の造影効果が特徴
・造影効果は3か月以上持続しない(する場合はサルコイドーシスなど考慮必要)

大脳病変のred flags
1:大脳皮質病変 *NMOSDも稀に髄膜の造影効果を伴って大脳皮質の軟膜下層を巻き込む病変を呈することがあるため除外にはならないが
2:造影効果の持続
3:MSに典型的な画像所見
 側脳室に垂直に接する病変、下側頭葉における側脳室に隣接する病変、皮質下U線維を巻き込む皮質近傍(Juxtacortical)病変

NMOSD画像の特徴

検査部位・状態詳細な特徴・所見
急性期の脊髄MRI急性横断性脊髄炎(TM)に関連するLETM(長大脊髄病変)
・矢状断T2強調画像(標準T2、プロトン密度、またはSTIR)において、3つ以上の完全な椎体に及ぶ信号増強(高信号)。
・中心髄優位(病変の70%以上が中心灰白質に存在している)。
・T1強調画像における病変のガドリニウム造影効果(特定の分布や造影パターンは問わない)。その他検出されうる特徴的な所見
・病変の脳幹への頭側伸展。
・脊髄の膨隆・腫脹。
・T2強調画像の信号増強領域に一致した、T1強調画像での信号低下。
慢性期の脊髄MRI縦に長い脊髄萎縮(3つ以上の完全かつ連続する椎体に及び、特定の脊髄節より尾側に及ぶ境界明瞭な萎縮)。萎縮部位を巻き込む限局性またはびまん性のT2信号変化を伴う場合と伴わない場合がある。
視神経MRI・視神経または視交叉内の片側性または両側性のT2信号増強、あるいはT1ガドリニウム造影効果。
・比較的長い病変(例:眼窩から視交叉までの距離の半分以上を占めるもの)や、視神経の後方部分または視交叉を巻き込む病変はNMOと関連付けられる。
脳MRI:NMOSDに典型的な脳病変パターン(特記のない限り、T2強調画像での信号増強を示す)延髄背側(特に最後野)を巻き込む病変(小さく限局性で両側性であることが多い、あるいは上位頸髄病変と連続している)。
・脳幹や小脳における、第4脳室の上衣周囲表面の病変。・視床下部、視床、または第3脳室の上衣周囲表面を巻き込む病変。
・巨大で融合した、片側性または両側性の皮質下または深部白質病変
・長い(脳梁の長さの1/2以上)、びまん性、不均一、または浮腫性の脳梁病変
・内包から大脳脚を連続的に巻き込む、片側性または両側性の長い皮質脊髄路病変
・広範な上衣周囲の脳病変(しばしばガドリニウム造影効果を伴う)。

他疾患との画像上の鑑別

鑑別疾患病変部位画像所見
【脱髄疾患】
多発性硬化症 (MS)視神経片側性かつ短い分節の浸潤。視交叉への浸潤は少ない
脊髄長軸方向への広がりが小さい(2椎体以下)、LETMはまれ。横断像での浸潤:背側および外側、脊髄断面積の50%未満
脳梁脳梁中隔界面、小さな卵円形病変、慢性期には萎縮
脳室周囲Dawson fingers(側脳室表面に対して垂直な卵円形病変)、下側頭葉
テント下橋(例:橋内三叉神経)、中小脳脚、小脳白質
急性散在性脳脊髄炎 (ADEM)脊髄LETM(NMOSDと同一の所見になる可能性あり)
テント上・テント下両側性かつ非対称性、白質および灰白質、腫瘍様病変 (tumefactive lesions)
【炎症性疾患】
神経ベーチェット病脳室周囲(間脳)中脳・間脳の血管炎性病変
中枢神経系原発性血管炎多様間脳領域が浸潤される可能性あり。頭蓋内出血、皮質・皮質下梗塞
スザック症候群脳梁脳梁の中心部、スノーボールパターン
CLIPPERSテント下橋に「コショウを振りかけたような (peppering)」ガドリニウム造影効果が典型的
【感染性疾患】
細菌性脳室炎脳室周囲拡散制限を伴う脳室内デブリ、髄膜炎および脳実質内膿瘍
サイトメガロウイルス脳室炎脳室周囲上衣の鉛筆線状 (pencil-thin) のガドリニウム造影効果(通常は免疫不全を伴う)
菱脳炎テント下(脳幹、小脳)通常はT2強調画像で高信号、造影効果の有無は問わない。腫瘤効果を伴う場合がある
進行性多巣性白質脳症 (PML)皮質脊髄路T2強調画像で「天の川様 (Milky Way-like)」病変。腫瘤効果、血管原性浮腫、造影効果を欠く
【代謝性疾患】
ウェルニッケ脳症脳室周囲(間脳)両側視床内側、第3脳室周囲、中脳水道周囲、乳頭体におけるT2強調画像での異常な対称性高信号。乳頭体のガドリニウム造影効果がNMOSDとの鑑別に役立つ
亜急性連合性脊髄変性症脊髄横断像での浸潤:背側および外側。LETMを伴う場合がある
皮質脊髄路片側性または両側性、血管原性浮腫は伴わない
マルキアファーヴァ・ビニャーミ病脳梁限局性またはびまん性。脳梁の中間層(サンドイッチ様外観)
テント下中小脳脚を巻き込むT2強調画像での高信号
【血管性疾患】
急性脊髄梗塞脊髄LETM。灰白質の浸潤(「フクロウの目」または「ヘビの目」サイン)。拡散制限
脊髄動静脈短絡脊髄鬱血パターンを伴うLETM、髄周囲静脈の拡張、血管型の造影効果。確定診断にはDSA(デジタル減算血管造影)を使用
【白質ジストロフィー】
アレキサンダー病テント下・脊髄延髄および脊髄の萎縮(オタマジャクシサイン)、軟膜のFLAIR高信号
脳室周囲FLAIR/T2強調画像での脳室周囲高信号と、T1強調画像での脳室周囲の高信号辺縁(造影効果の有無は問わない)
脳腱黄色腫症 (CTX)テント下歯状核の浸潤(石灰化およびヘモジデリンによるT2強調画像での低信号)
皮質脊髄路通常は両側性の浸潤
X連鎖副腎白質ジストロフィー脳室周囲通常は両側性かつ対称性の頭頂後頭部白質浸潤:3つの古典的Schaumburgゾーン(ゾーン2での造影効果)
脳梁頭頂後頭部異常の延長として浸潤される可能性あり
皮質脊髄路頭頂後頭部異常の延長として浸潤される可能性あり
クラッベ病視神経両側性の視神経肥大(造影効果の有無は問わない)
脳室周囲後方優位の大脳白質変化および脳梁膨大部の浸潤
皮質脊髄路両側性の浸潤が見られる場合があり、造影効果の有無は問わない
【神経変性疾患】
筋萎縮性側索硬化症 (ALS)皮質脊髄路通常は両側性かつ対称性。FLAIR画像および磁化移動コントラストパルスを追加したT1強調スピンエコー画像での高信号
多系統萎縮症 (MSA)皮質脊髄路通常は両側性かつ対称性。T2強調画像での高信号

画像についての参考文献:RadioGraphics 2018; 38:169–193 “Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders: Spectrum of MR Imaging Findings and Their Differential Diagnosis”

診断基準

Wingerchuk DM, Banwell B, Bennett JL, et al. International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders. Neurology 2015;85: 177-89.

成人患者におけるNMOSDの診断基準

分類・項目基準
AQP4-IgG陽性NMOSDの診断基準1. 少なくとも1つのコア臨床症候があること2. 利用可能な最良の検出法(セルベースアッセイを強く推奨)を用いたAQP4-IgG検査が陽性であること3. 代替疾患が除外されていること
AQP4-IgG陰性、またはステータス不明のNMOSDの診断基準1. 1回以上の臨床発作によって生じた、以下の要件をすべて満たす少なくとも2つのコア臨床症候があること: a. 少なくとも1つの症候は「視神経炎」「LETM(長大脊髄病変)を伴う急性脊髄炎」「最後野症候群」のいずれかであること b. 空間的播種(2つ以上の異なるコア臨床症候があること) c. 該当する場合、追加のMRI要件(下記参照)を満たすこと2. 利用可能な最良の検出法を用いたAQP4-IgG検査が陰性、または検査が利用できないこと3. 代替疾患が除外されていること
コア臨床症候1. 視神経炎2. 急性脊髄炎3. 最後野症候群(他に原因で説明できない、しゃっくり、または悪心・嘔吐のエピソード)4. 急性脳幹症候群5. 症候性ナルコレプシー、またはNMOSDに典型的な間脳MRI病変を伴う急性間脳臨床症候群6. NMOSDに典型的な脳病変を伴う症候性大脳症候群
追加のMRI要件(AQP4-IgG陰性または不明のNMOSDに適用)1. 急性視神経炎:以下のいずれかのMRI所見が必要 (a) 脳MRIが正常、または非特異的な白質病変のみ (b) 視神経の長さの1/2以上に及ぶ、または視交叉に及ぶT2高信号病変あるいはT1ガドリニウム造影病変を伴う視神経MRI2. 急性脊髄炎:以下のいずれかのMRI所見が必要 ・3つの連続する椎体以上に及ぶ髄内MRI病変(LETM) ・急性脊髄炎に合致する病歴を持つ患者において、3つの連続する椎体以上に及ぶ限局性の脊髄萎縮3. 最後野症候群:関連する延髄背側/最後野の病変が必要4. 急性脳幹症候群:関連する上衣周囲の脳幹病変が必要

Red flags

大分類中分類レッドフラッグ所見(代替疾患を考慮すべき非典型的な特徴)
臨床・検査所見1. 臨床的特徴および検査所見全体的に進行性の臨床経過(発作とは無関係な神経学的悪化:多発性硬化症[MS]を考慮)・発作がピークに達するまでの期間が非典型:4時間未満(脊髄虚血や梗塞を考慮)、または発作発症から4週間以上にわたり継続的に悪化(サルコイドーシスや腫瘍を考慮)・部分的横断性脊髄炎:特にLETM(長大脊髄病変)のMRI所見を伴わない場合(MSを考慮)・髄液オリゴクローナルバンドの存在(NMOでの出現率は20%未満だが、MSでは80%以上に見られる)
2. NMOSDに類似する神経症候群に関連する併存疾患サルコイドーシス:確定診断、またはそれを示唆する臨床・画像・検査所見(例:縦隔リンパ節腫脹、発熱と寝汗、血清アンジオテンシン変換酵素[ACE]やIL-2受容体の高値など)・がん(悪性腫瘍):確定診断、またはそれを示唆する臨床・画像・検査所見。リンパ腫や腫瘍随伴疾患(例:CRMP-5関連視神経症・脊髄症、抗Ma関連間脳症候群など)を考慮・慢性感染症:確定診断、またはそれを示唆する臨床・画像・検査所見(例:HIV、梅毒など)
従来の画像所見1. 脳 (MRI)a. MSを示唆するT2強調MRI所見(MSの典型例)・側脳室表面に対して垂直に伸びる病変(Dawson fingers)・下側頭葉における側脳室に隣接する病変・皮質下U線維を巻き込む皮質近傍(Juxtacortical)病変・皮質病変b. MSやNMOSD以外の疾患を示唆する特徴・3ヶ月以上持続するガドリニウム造影効果を伴う病変
2. 脊髄 (MRI)NMOSDよりもMSを強く示唆する特徴・矢状断T2強調画像で3椎体未満の短い病変・軸位断T2強調画像で主に脊髄辺縁部(70%以上)に位置する病変・T2強調画像におけるびまん性で不明瞭な信号変化(長期罹患したMSや、進行性MSで時折見られる所見)

治療

急性期治療

ステロイドパルス+単純血漿交換

再発予防

NMOSDのEDSS悪化は再発有無により規定される 再発がなければだらだら進行することは乏しい(MSとは異なり) このため治療目標は再発予防
発作の1年以内特に半年以内に再発しやすい Neurol Neurolimmunol Neuroinflamm 2020;7:e640 再発クラスター期 この再発クラスター期をどう乗り切るか?が再発治療のポイントになる

低用量のステロイドによる再発予防効果は必ずしも十分ではない
→15mg/日を1年くらいしたほうが良いという根拠 10mgにするととたんに再発することが増えてくる
ただなかなか15mg/日だと副作用が多い Mult scler 2007;13:968
免疫抑制剤は再発予防に有用であるが、副作用のため脱落しやすい J Neurol Sci 2016;370:224
→免疫抑制の限界を迎えていた現状
・そこで生物学的製剤が登場してきた。

生物学的製剤

エクリズマブ、ラブリズマブ 抗補体 髄膜炎菌感染症 C5遺伝子多型による薬剤不応性が一部いる 遺伝子検査が必要 周辺医療機関にも理解していただく必要がある

サトラリズマブ 膀胱直腸障害がある場合の尿路感染症による敗血症性ショック 疾患が違うと違う副作用 寄生ウイルスの悪化 若年者 最初半年は効果やや弱い

リツキシマブ FcγⅢa遺伝子多型による薬剤低反応性

イネビリズマブ 出生児の長期免疫抵抗 妊娠の場合は要注意

薬剤名作用機序投与量投与方法投与間隔主な副作用重要なリスク
エクリズマブ
(Eculizumab)
補体C5阻害
抗C5モノクローナル抗体
初回:900mg×4週間
5回目:1200mg
維持:1200mg
静脈内投与2週間ごと悪心、頭痛、背部痛、上気道感染髄膜炎菌感染(ワクチン接種必須)、重症感染症、REMS登録必須
ラブリズマブ
(Ravulizumab)
補体C5阻害
抗C5モノクローナル抗体(長時間作用型)
体重別投与
初回:高用量
維持:体重別
静脈内投与8週間ごとエクリズマブと同様髄膜炎菌感染(ワクチン接種必須)、重症感染症
イネビリズマブ
(Inebilizumab)
B細胞枯渇
抗CD19モノクローナル抗体
初回:300mg×2回(2週間隔)
維持:300mg
静脈内投与6ヶ月ごと注入反応感染症、長期使用による免疫グロブリン低下、ワクチン反応低下
サトラリズマブ
(Satralizumab)
IL-6受容体阻害
抗IL-6受容体モノクローナル抗体
初回:120mg(0、2、4週)
維持:120mg
皮下注射4週間ごと注射部位反応、鼻咽頭炎、頭痛、関節痛感染症、好中球減少、肝酵素上昇、脂質異常
トシリズマブ
(Tocilizumab)
IL-6受容体阻害
抗IL-6受容体モノクローナル抗体
8mg/kg静脈内投与4週間ごとサトラリズマブと同様感染症、好中球減少、肝機能異常
リツキシマブ
(Rituximab)
B細胞枯渇
抗CD20モノクローナル抗体
初回:1g×2回(2週間隔)
維持:0.5-2g
静脈内投与6ヶ月ごと注入反応感染症、B型肝炎再活性化、長期使用による免疫グロブリン低下、ワクチン反応低下

参考文献

N Engl J Med 2022;387:631-9. 代表的なreview article