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緊急での鎮痛管理

緊急での鎮痛管理に関してH先生から教えていただいた内容をまとめます。

オピオイドを使用する際必ず確認すること(間違いを防ぐために)

1:投与経路(静注か皮下注か?)
2:薬剤の濃度・組成
3:最終投与がいつ?投与量がどのくらい?

フェンタニル

・代謝:肝臓CYP、代謝産物の活性:なし
・腎障害の影響:なし(腎機能による投与量の調整不要
・製剤:静注用 1A=100μg/2mL
・組成:静注用 1A+NS8mL=10μg/mL、皮下注用(原液)50μg/mL(両者で組成が異なる点に注意が必要)
*持続静注ではよくフェンタニル5A + NS 40mL=計50mLをシリンジポンプで使用することが多い
・効果:疼痛、呼吸困難いずれにも効果あり(日本の教科書では呼吸困難に効果ないとされているがそんなことはない)
・副作用:嘔気は少ない(オピオイドの中では)、呼吸抑制(疼痛が残存している間は呼吸抑制はきづらいが、疼痛が改善したと同時に呼吸抑制を生じることはある)

IV(ショット)の場合
・効果発現:すぐ(最も速効性が高い) 最大効果:5分
投与間隔:5分
・持続時間:1時間
・投与量:10~50μgを投与する
(具体例)10-20μg IVして5-10分後に反応を確認、疼痛が高度の場合は20μgからIVする
→疼痛改善なければ増量しながら繰り返す
→ある程度落ち着いたら持続投与へ切り替える 20-100μg/hr(=上記組成で2~10ml/hr)

CIV(持続静注)の場合
・投与量変更からの効果発現:6時間後 最大効果:12時間後

SC 皮下注の場合
・効果発現:5-15分、最大効果:30分
・投与間隔:30分

ナロキソン

ナロキソン 1A=0.2mg/1mL
投与する際の組成:ナロキソン1A + NS 9mL =10mL(=0.02mg/mL)

上記組成 0.04mg=2mLずつIV 2-3分おきに投与
・効果発現:投与した直後
・持続時間:30分(痛みが戻ってしまう場合がある点に注意)
*リバースに伴い末期患者では疼痛が再燃することがありうるため、リバースしない場合もある。末期患者では事前に呼吸抑制時のことも話し合っておく必要がある。