ping-pong gaze/roving eye movement
・症候:両眼の左右への数秒間隔(2.5-8秒)の周期的な運動(卓球のボールを追いかけているようなことからping-pongと名付けられている)
*動画:こちら Neurocrit Care 2018; 29:315–316. 両側大脳半球梗塞の症例
*動画:こちら N Engl J Med 2015;372: e34 肝性脳症の症例
・病態:両側大脳半球が障害されており,脳幹が保たれている昏睡状態
⇒脳症だけではなく,両側大脳半球の脳血管障害など器質的原因によっても生じる
(「”roving eye movement”を脳症で認める」とする記載をしばしば和書の教科書でみかけるが,元の報告など含めて脳症と同義とはならない点に注意が必要。つまり障害の原因はわからない。)
・予後との関係:代謝性脳症であれば改善する可能性あり,脳血管障害であれば予後は極めて不良
・言葉の背景:昏睡患者の自動眼球運動をroving eye movementと呼ばれることが多いが定義が明確に定まっている訳ではない(あいまいな表現)。1976年にping-pong gazeとして報告(Neurology. 1976;26:532-5.)。両者を厳密に分ける必要はないが,ping-pong gazeと報告されていることが多い。日本の教科書にはroving eye movementと記載されていることが多い。
参考文献
・”Short-cycle periodic alternating(ping-pong) gaze” Neurology 1994;43:1067-1070. まとめ 2.5-8秒の記載もここから、日本からの報告で古いものですが示唆に富んでいて勉強になります
・言葉の背景に関して、城倉先生のこちらの記事より勉強させていただきました。本当にいつもとても勉強になります。