2024年に第52回総合内科専門医を受験し、先日合否の通知がきました。私は旧専門医制度時代の人間なので、新内科専門医制度の内科専門医ではなく内科認定医しか持っていないため、移行措置での受験(病歴要約免除)をしました。旧制度の先生方は卒後10年目前後で受験することが多いかと思います。

今後受験される先生方の参考になればと思い書かせていただきます。こちらの日経メディカルの記事に試験問題を分析されている先生の記事がありましたのでご参照ください。
第53回の開催は2025年11月9日(日)、出願期間は2025年 5月 8日(木)~ 7月8日(火)23:59までのようです(こちら)。書類の準備結構めんどくさくて時間がかかるので早めに準備をおすすめします!
また内科認定医からの移行では年1回あるセルフトレーニング問題(こちら)を計2回(つまり2年分)以上受けていないといけません。例えば2025年に受験する場合は、2020~2024年のうち(受験する年は含まれていない点がpitfallで注意!)2回以上受けていないといけませんので要注意です(ちなみに私はこれを1年分勘違いしていて、これにより受験が1年遅れました・・・)。
合格基準は?
内科学会が公式にアナウンスしている合格基準はないです(私がホームページを見た限り)。
試験は全200問で計10科:消化器科・循環器・内分泌/代謝・腎臓・呼吸器・血液・神経・アレルギー/膠原病・感染症・総合内科から出題されます。横浜と大阪が会場でまる1日かけて受験します。受験料は3万円と高いです。
マークシート式で多くの問題が選択肢5つの中から正答を1つ選ぶ問題で、いくつかの問題は正答を2つ選ぶ問題で構成されています。
巷に流布している噂は1:絶対評価(総合して60%以上正答すると合格)、2:最低基準点を満たしていない科が2つ以上あるとたとえ総合60%以上でも不合格というものです(誤解がないようにあくまでも噂ということを強調します)。この噂のソースがどこなのか?は全く分かりませんでした。
受験者には「個人別結果表」という点数開示の通知が来ます。そこには個人成績として総合平均点数と各科それぞれの点数が記載されています。また★印は各科ごとに基準値未満になったものであると書かれています(★印がなければ、基準値未満はないということです)。
確かにこの各科ごとの基準値未満という項目がわざわざ★印で設定されているということは、捨てる科があると不合格になるということなのかもしれません。多くの場合血液内科が鬼門になると思いますが、だからといってこのように捨てる科を作ると例え全体では高得点でも不合格になるということかもしれません。
繰り返しですが内科学会側が合格基準を明示していないので推察の域をでないですが、これらの情報を元にすると「完全に捨てる科は作らない方が良い」と思われます。
また以下の通り合格率や合格者数は毎年ばらばらで、学会側が調整している訳ではあまりなさそうです。この点からは確かに絶対評価の可能性が高いのかなと思います。
年(回数) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2008年度(第36回) | 272名 | 218名 | 80.1% |
2009年度(第37回) | 317名 | 232名 | 73.2% |
2010年度(第38回) | 360名 | 281名 | 78.1% |
2011年度(第39回) | 459名 | 329名 | 71.7% |
2012年度(第40回) | 510名 | 408名 | 80.0% |
2013年度(第41回) | 493名 | 384名 | 77.9% |
2014年度(第42回) | 3,943名 | 2,690名 | 68.2% |
2015年度(第43回) | 6,787名 | 4,252名 | 62.6% |
2016年度(第44回) | 7,731名 | 4,381名 | 56.7% |
2017年度(第45回) | 7,283名 | 4,367名 | 60.0% |
2018年度(第46回) | 4,936名 | 3,559名 | 72.1% |
2019年度(第47回) | 5,428名 | 3,551名 | 65.4% |
2020年度(第48回) | ※コロナで延期 | ※コロナで延期 | ※コロナで延期 |
2021年度(第49回) | ※コロナで延期 | ※コロナで延期 | ※コロナで延期 |
2022年度(第50回) | 5,062名 | 3,637名 | 71.9% |
2023年度(第51回) | 1,527名 | 1,334名 | 87.4% |
いつから勉強する?
私(管理人)は試験のちょうど1か月前から勉強を始めました。ベースラインの専門科以外の内科知識がどの程度あるか?によって勉強量は相当変わると思います。半年前という意見もあれば、3か月前という意見もあります。また私は同じ病院に勤務して一緒に受験する先生方とLINEグループ内で情報を共有したり、質問をしたりしておりました。
私の場合は1年間総合内科をしていた時期があったので(元々内科全般に興味がかなりあり、総合診療科または総合内科を進路として考慮していたこともありますが)、ずっと専門科研修をされていた方よりは総合内科の知識が多少あると思います。といっても各科の専門的な知識ではなく、どちらかというとプライマリケア・救急よりの内科知識が主体です(実際に私が執筆している「内科診療ことはじめ」も総合内科をしているときに勉強したプライマリケア・救急で役立つ内容を初期研修向けにまとめたものです)。
実際のテストでは意外と「これって国家試験でやったよな、、、」というレベルの問題が結構あります。国家試験の時に私は手ひらサイズのCampusノートに知識を殴り書きしたものをポケットに入れて暗記していたのですが、それは国家試験の後に全て捨ててしまっていたので少し後悔しました。ただもちろん国家試験レベルでは通用しない問題も多々あります。
医師国家試験のときは直前に勉強だけに集中する時間があった訳ですが、医師になってからの試験は日常業務やプライベートの諸々をこなしながら勉強をしないといけないので時間の制限が厳しくより一層負担を感じます。私はちょうど1か月前から勉強を開始しましたが、純粋に試験を通るためだけならよかったですが、もう各疾患の背景などをちゃんと理解したりガイドラインを見ながら勉強するためにはもっと時間が必要だったなと感じています。
当日必要なもの
鉛筆・消しゴム・腕時計(本当に会場に時計ないです!Apple watchは不可)・受験票
私は普段腕時計をつけないので100円ショップでこの試験のためだけに腕時計を買いました。また会場は結構寒いので、防寒にも注意が必要です。
教材
結局こうした資格系のテストは「みんなが解ける問題を落さないことに尽力する」という原則に従えば合格します。なので、結局みんながやっている教材をやればよいということになります。参考までに私が使った参考書と、それ以外を挙げます。
ちなみに医學事始でも総合内科専門医試験用に各疾患リンク一覧を作ったのでこちらもご参照ください。
私が使ったもの

日本内科学会 認定内科医試験・総合内科専門医試験 過去問題集
内科学会公認の唯一の過去問です(こちら)。試験問題は試験後に全て回収されますし、今回(第52回総合内科専門医試験)からはSNSやインターネット上に問題をアップすることが厳しく制限されたので(会場でも試験問題をSNSなどにUpしないように何度も何度もアナウンスされていました)、SNSやインターネット上には過去問は出回っていないと思います。
ただこの過去問集は解説がほとんどなく、これ自体ではあまり勉強にはならないです(自分で調べなおす必要があります)。試験問題の雰囲気と傾向、出題される疾患をつかむことが目的です。ちなみにNeurologyでは不適切な問題が2問あります。
生涯教育のためのセルフトレーニング問題集 第5集
ほぼ受験生みんなが解いており必須と思います(こちら)。私は間違えた問題は2周しました。ただこのセルフトレーニング問題は「とても難しい」です。実際の試験問題の方が全然簡単です。私は最初に解いたときに消化器と血液は壊滅的にわかりませんでした。①セルフトレーニング問題と同じような問題も実際の試験では出題されているので、また②ほとんどの受験生がこれは解いているので、絶対にやっておいた方が良いかと思います。
ケアネットTVの総合内科専門医試験用の動画
「総合内科専門医試験 バーチャル模試2024」と「Dr.中島の総合内科専門医試験実践120問」を問題一通り全て、「総合内科専門医試験 オールスターレクチャー」を1周、「長門流 総合内科専門医試験「出るズバッ!LIVE」2024」を倍速で全て目に通し利用しました。
問題集はちょっと違和感があるところもありますが、雰囲気は確かに似ているので勉強になります。
オールスターレクチャーは試験と関係なくとても勉強になりました。もっとじっくり見たかったなーという印象です。
正直year noteを読まずとも(私は読んでいないのですが)、出るズバを全部ざーっと確認すれば知識はある程度網羅されるのではないかと思います。出るズバはスライドに知識がただ羅列されているだけなのですが、過去問からの出題傾向を意識した内容になっている点が優れています。こうした講義形式のものは倍速でも見れますし隙間時間の学習に有用であったと思います。
その他の教材(私は購入しなかったが持っている人が多いもの)
以下に私は購入しなかったですが、周囲の人から教えてもらったものを紹介します。
THE内科専門医問題集 WEB版付
中身をみせてもらいました。確かにWebでサクサク隙間時間に勉強できるので優れていると思います。内容としては総合内科専門医試験用ではなく、新専門医制度の「内科専門医試験」用(つまり卒後5年目に受験するもの)なので少しレベルは簡単なのかもしれません。隙間時間に勉強する分には優れていると思います。
Year note 2025
試験会場を歩いているとこれを持っている人が最も多かった印象がありました。
試験のあとも残しておきたい 内科専門医・総合内科専門医試験対策問題集
問題は簡単、解説はしっかり系のようです。つい先日改訂2版がでたようです。
クエスチョンバンク 総合内科専門医試験・予想問題集
予想問題集ですが、いかんせん古いことが問題です。数年前の受験生の方はかなりやられていた様ですが、分類基準や治療法の変遷があるため最近は価値が下がっているかもしれません。最初にやる問題集ではなく問題をもっと解きたいという方向けかもしれないです。