画像検査で偶発的に認めた腎病変に関してのアプローチをまとめます。自施設の腎臓内科専攻医K先生がとてもよくまとめてくださり、ご許可いただきこちらにも掲載させていただきます(大変ありがとうございます)。
Bosniak分類
・嚢胞性腎腫瘤の悪性腫瘍リスクを解剖学的な画像所見を元に層別化したもの
*最初は1986年に発表され2019年updateされている Bosniak MA. The current radiological approach to renal cysts. Radiology 1986;158(1):1–10.
*Bosniak分類に含まれていない(考慮されていない)点:患者背景、腫瘤の大きさなど
・感染、炎症、血管の病因および壊死性固形腫瘤を除外した直径1cm以上の嚢胞性病変にのみ使用
造影検査をするかどうか?
・ClassⅠ➝単純性腎嚢胞(造影CT、MRIは不要)
・それ以外(ClassⅡ~Ⅳ)➝複雑性腎嚢胞(造影CTまたはMRI必要
*エコーではClassⅡ~Ⅳでの有用性に関して確立していない
マネージメントをどうするか?
・ClassⅠ・Ⅱ⇒フォロー不要
・ClassⅡF~Ⅳ⇒フォローまたは泌尿器科コンサルト必要
*Radiology. 2019 Aug;292(2):475-488.
Bosniak分類 ClassⅠ(単純性腎嚢胞)→フォロー不要
以下をいずれも満たす
・嚢胞壁:≦2mm・境界明瞭・平滑
・CT:内部均一濃度(-9~20HU)
・隔壁なし
・石灰化なし
特徴
・腎腫瘤の約65~70%と最も一般的
・有病率は男女比2 : 1、 40代(5%)から80代(36%)と加齢に伴い増加
・本邦健診エコーの12%、CTを受けた成人の最大40%で発見
・嚢胞は複数や両側発生もあり、大部分は経時的に増大
・ほとんど治療不必要 (稀な合併症: 破裂、出血、腹部腫瘤、疼痛、感染、高血圧)
エコーでの基準:以下全てを満たす*ClassⅠ以外でのエコーの有用性は確立していない
・円形平滑で、周囲と明確に区別
・内部が無エコー
・後方エコーが増強
Bosniak分類 ClassⅡ→フォロー不要
・嚢胞壁(共通):≦2mm・平滑・境界明瞭
・隔壁:≦2mm、≦3本±石灰化
・単純CT:均一-9~20HU または 均一≧70HU
・造影CT:21~30HU造影されない
・MRI:T1 or T2強調像で均一な高信号
Bosniak分類 ClassⅡF→約10%悪性・フォロー必要(Fはfollow upの意味)・半年⇒1年毎の画像フォロー(計5年)
・造影効果のある3mm台の平滑な嚢胞壁または隔壁
・造影効果のある2mm以下・4本以上の平滑な隔壁
・脂肪抑制単純T1強調像で不均一な高信号
*造影効果がある場合は悪性度が高くなる(フォローや泌尿器科コンサルトが必要)点に注意
Bosniak分類 ClassⅢ→約50%悪性・泌尿器科コンサルト
・造影効果のある4mm以上の嚢胞壁や隔壁
・造影効果のある3mm以下の鈍角な凸状突起
Bosniak分類 ClassⅣ→約90%悪性・泌尿器科コンサルト
・造影効果のある結節 (4mm以上の鈍角凸状突起もしくは鋭角凸状突起)