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白血病 leukemia

  • 2024年10月30日
  • 2024年11月4日
  • 血液

病態

①増殖スイッチON+②分化できないOFF
正常造血阻害臓器浸潤が問題になる

急性白血病

診療の流れ

①骨髄検査
急性白血病=芽球≧20%

②ペルオキシダーゼ染色(顆粒を茶色に染める)
AML≧3% or ALL<3%を大まかに鑑別

③フローサイトメトリー・染色体検査 t(9;22)があるか? BCR-ABL融合遺伝子→増殖シグナルを起こし続けるB細胞 エネルギーをATPからチロシンキナーゼを有する(ここを阻害するのがチロシンキナーゼ阻害薬)

急性骨髄性白血病AML(acute myeloid leukemia)

病態:骨髄芽球や単芽球の増殖、分化に関する遺伝子変異
予後判定:遺伝子・染色体で判断
・良好因子:inv(16), t(8:21), t(15:17)  覚え方(いろはにいいこいいな)
*t:translocation(転座:遺伝子が染色体の間で入れ替わってしまう)
・不良因子:FLT3-ITD遺伝子変異

治療:IDR(イダルビシン)+AraC(シタラビン)→大量シタラビン療法
予後不良群:造血幹細胞移植
*注意:APL(M3急性前骨髄性白血病)線溶亢進型DIC合併・治療方針が全く別になる ATRA(全トランス型レチノイン酸)+化学療法

急性骨髄性白血病の分類方法
FAB分類(結果としての見た目の分類) 骨髄芽球M1,2:Auer小体→前骨髄球M3(APL 染色体異常t(15;17)と一対一対応になっている Auer小体が束状になったファゴット細胞が特徴的) 赤芽球M6 前巨核球M7
WHO分類(原因=遺伝子からみた分類)

急性リンパ性白血病 ALL(acute lymphoblastic leukemia)

病態:リンパ芽球が腫瘍性に増加する遺伝子変異
・Bリンパ芽球は骨髄で増える・Tリンパ芽球は成熟するのは胸腺
正常な造血が阻害(正常造血は初期はそこまで障害されないーAMLと異なる点)
他臓器への浸潤(特に中枢神経が多い) *悪性リンパ腫:成熟したリンパ球の問題(リンパ節で腫瘍化)

治療:Ph陽性 or 陰性で分ける Ph+成人で陽性例多い30%(小児は少ない)
Ph陽性:TKI BCR-ABL阻害薬(ダサチニブ、イマチニブ)+ステロイドでほぼ寛解を導入できる
・ステロイド(リンパ球を減少させる)の効果が高い
抗がん剤の髄注が必要になる
*治療反応性の評価:フローサイトメトリーとPCR MRD(微小残存病変)を認める場合→治療後再発する可能性が高いため造血幹細胞移植導入を検討する

ALL治療の新規薬剤
①イノツズマブ:抗CD22抗体(抗がん剤を直接腫瘍細胞にいれる)・再発性B-ALLの完全寛解率は70%以上・VOD/SOS頻度上昇あり
②ブリナツモマブ:抗CD19/CD3抗体を結合BiTE抗体(T細胞を活性化させて攻撃させる) 有害事象:サイトカイン症候群、神経障害
③CAR-T細胞療法:T細胞を改造して活性化して癌細胞を攻撃する

寛解:正常造血を取り戻した状態 芽球<5%

慢性白血病

病態

分化した血球が増殖する

慢性骨髄性白血病 CML

遺伝子:BCR-ABL チロシンキナーゼ活性→造血幹細胞↑
・髄外造血
・急性白血病への移行
血球:好塩基球が増加する *好塩基球上昇を認めた場合は骨髄増殖性疾患を疑う
NAPscore(好中球アルカリフォスファターゼ):好中球の成熟度評価(末梢血塗抹でNAP染色を行いどのくらいが成熟好中球か?を評価する)
 低下:CML、PNH
 上昇:その他の骨髄増殖性疾患
治療
TKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ)第1選択
→治療抵抗:ボスチニブ、T315I突然変異ポナチニブ
②化学療法:IFNα
③造血幹細胞移植:若年のTKI抵抗性

慢性リンパ球性白血病 CLL

病態:成熟B細胞の増殖・CD5+(本来はT細胞系の細胞表面抗原であるが) 疫学60歳以上、trisomy12 25-30%
・骨髄浸潤
・自己抗体産生:自己免疫性疾患合併しやすい AIHA、ITPなど
*他の血液腫瘍疾患より免疫異常を呈しやすい
改訂Rai分類:治療開始の適応
・全てが治療適応になる訳ではない
17q欠失の有無により薬剤治療反応性が違う
2次治療:アレムツズマブ(抗CD52抗体)、オファツムマブ(抗CD20抗体)、ベネトクラクス(bcl2阻害薬)

フローサイトメトリー FCM(flow cyte metry)

①FSC:細胞の大きさ
②SSC:細胞の複雑さ=顆粒の多さ
→リンパ球と骨髄球を大まかに分けることができる

T細胞
CD3,4, 5,7,8, TCRαβ (一桁の数字が多い) *CLLはCD5+となる

B細胞
・κ,λ鎖(Light鎖)に関して:B細胞はκかλのどちらかを発現する L鎖は普通はκ,λはランダムに作られるため同程度に発現しているはずでありκ/λ≒1になるはず→偏って発現しているとおかしい
CD10, CD19, 20, 22など(20前後の数字が多い)

骨髄系CD13, 33, MPO

CD45:全ての白血球が有している *発現していない場合はその他の固形癌などの可能性を考慮

未分化なマーカー:CD34(造血幹細胞のマーカー)、HLA-DR 骨髄芽球の段階で発現している

参考
Youtube 血液内科の伝道師・はらDちゃんねる :このYoutubeチャンネル凄すぎます!本質的な内容をわかりやすく解説しており感動しました。