脳血管の解剖変異,破格を把握するためには発生学の知識が重要だということは分かっているのですが・・・あまり勉強してきませんでした・・・。小宮山雅樹先生の文献(Jpn J Neurosurg(Tokyo) 2004;13:116-125.)が勉強になりすぎて(すごすぎる)、ほとんどそれをまとめた内容になります。
内頚動脈の原器:primitive ICA
1:primitive ICAは①cranial divisionと②caudal divisionに分かれる
①cranial division:ACA、AchoA
②caudal division:Pcom, PCA, SCA
*発生学的にSCAはICAに属する
2:当初脳動脈は全てICAから血流を受けている
脳底動脈の原器:ventral longitudinal artery
1:当初は前方循環系(primitive ICA)と脳底動脈系(ventral longitudinal artery)は血管吻合(内頚動脈と椎骨脳底動脈系の原始血管吻合 primitive carotid-basilar anastomoses)を形成している
2:Pcomが発達するとこれらの吻合が退縮する
3:ventral longitudinal arteryが1本の脳底動脈として形成(ここでの癒合プロセスが不完全の場合に脳底動脈のfenestrationを生じる 1.29% Interventional neuroradiology. 2013, Dec 2019(4):461-465.)
4:最初はICA由来の血流がcraniocaudal方向へ流れるが、VAとBAが吻合することでcaudocranialに血流の向きが逆転する
椎骨動脈の原器:頚部節間動脈(cervical segmental artery)
1:体軸方向(extradural paramedian longitudinal vascular axis)に連絡を持ち椎骨動脈が形成される(第1-6節間動脈は退縮し、第7節間動脈が鎖骨下動脈になるため、鎖骨下動脈から椎骨動脈が起始して横突孔に入るレベルはC6が多い C6 93% Neurosurgery 59 (1 suppl 1):2006,ONS20-4)
*椎骨動脈系は内頚動脈系と異なり新しく後から作られた血管である