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2023年

「黄色い家」著:川上未映子さん 個人的Book of the Year 2023

今年私(管理人)が読んで最も面白かった本(個人的Book of the year)を紹介させていただきます。川上未映子さんの「黄色い家」です。既に各方面で話題になっている本なので特別私が感想を述べるまでもないのですが、少しだけあらすじを紹介させていただきます。 主人公はまだ15歳の伊藤花(「花」)で、「花」の一人称で本文は語られます(ところどころ回想的になります)。「花」は途中で家出をして、行く先 […]

Myerson徴候(Myerson’s sign) / Glabella tap sign/reflex

Myerson徴候についてふと疑問に思って調べていると、なかなかよく分からなくなってきたので原著に戻ったりしながら調べた内容を追記していきます。 おそらく記載としては“Glabella tap sign”が元々ですが(*Glabella=眉間)、いつからかMyerson’s sign(Myerson徴候)として紹介されるようになっています(JAMAの” […]

LSRPN (non-diabetic) lumbosacral radiculoplexus neuropathy

LSRPNは糖尿病性のものがneurologistにとって有名ですが、先日全く糖尿病がないけれど同じような症例が外来でありました。「実は下肢のneuralgic amyotrophyなんてあるのか?はて全くわからないぞ」と思っていたのですが糖尿病と関係ない文献もあることが分かり自分の勉強ですがまとめます。 (non-diabetic)LSRPN57例の検討(Mayo clinic) Brain 2 […]

女性と片頭痛

片頭痛は疫学的に女性が男性よりも約3倍程度罹患頻度が高いです。エストロゲン濃度の変動と頭痛が関連するといわれています(逆にホルモンが安定すると頭痛増悪は少なく、閉経後は軽減する)。月経関連、妊娠、授乳など女性の方ならではの片頭痛管理上の問題点もあり簡単にまとめます。片頭痛一般に関してはこちらをご参照ください。 月経関連(menstrually related migraine) ・月経期に50-6 […]

spinal dural AVF 脊髄硬膜動静脈瘻

spinal dural AVFの症例をとっても久しぶりに経験しました。非常に稀ですが誤診されやすく、見逃してはならない治療可能な脊髄疾患として重要です(神経内科医、整形外科医、Generalist全てにおいて)。調べた内容をまとめます。 病態・解剖 ・硬膜内の動脈(radiculomeningeal artery)と静脈の短絡による静脈圧上昇→動静脈圧の圧格差が減る→正常静脈のドレナージが減少し […]

GPA(granulomatosis with polyangitis) 多発血管炎性肉芽腫症

去年から新しい病院に移動になりGPAを診療する頻度が上がりました(それまでは恥ずかしながらほとんどなかったのですが・・・)。ANCA関連血管炎でNeurologyにとっても重要な病態なので勉強した内容をまとめます(EGPAに関してのまとめはこちらをご参照ください)。以下はこちらの文献( RadioGraphics 2021; 41:1973–1991 )が非常によくまとまっていたのでそちらを参照に […]

パーキンソン病 内服できない場合の対応

予備知識 内服できない場合の合併症①運動機能悪化に伴う誤嚥や転倒、褥瘡(圧挫)など②悪性症候群のリスク 周術期の管理に関して こちらのまとめをご参照ください。 そのまま中止して問題ない薬剤 MAOB阻害薬,COMT阻害薬,アマンタジン*アマンタジンは稀に離脱としてジストニアをきたす場合があり注意 投与してはいけない薬剤 ・制吐剤:メトクロプラミド→対応ドンペリドンにする・抗精神病薬:出来るだけ使用 […]

HSV-2 髄膜炎

HSV-2はウイルス性髄膜炎の3大原因の1つ(Enteroウイルス,帯状疱疹ウイルス,HSV-2)で日常臨床でもしばしば遭遇します(髄液Filmarray®にも含まれています)。HSV-1は脳炎,HSV-2は髄膜炎を中枢神経病変として呈することが多いです。HSV-2初感染や再燃時に髄膜炎を呈することがあり,臨床像をまとめます。 臨床像 “Herpes Simplex Virus 2 M […]

副鼻腔炎と神経合併症

以下の内容は”Neurological Complications of Acute and Chronic Sinusitis. Curr Neurol Neurosci Rep. 2018 Feb 5;18(2):5.”PMID: 29404826.を参照させていただきました。頭部CTを撮影すると副鼻腔炎は偶発的によく認めますが、念のため骨条件で骨破壊などの所見がないか […]

East Asian Paradox

東アジア人は白人と比較して血栓症が少なく、出血合併症が多い傾向があり、2012年Jeongがこの現象を”East Asian Paradox”と表現しています。背景には凝固因子(遺伝性のFactor Ⅴ Leidenなど),食事,肥満,炎症など様々な因子の関与が想定されます。我々臨床医が抗血栓薬に関する大規模臨床試験を読む際は「臨床研究の患者背景がアジア人かどうか?」という […]