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2022年5月

急性期脳梗塞の安静度・リハビリテーション

脳梗塞の患者さんを受け持っていきなり困るのが「先生この患者さんの安静度どうしましょう?」という点です。ここはエビデンスがあまりない分野だけにいろんなoriginalな解釈がされている領域ですが、まずは臨床試験の結果・ガイドラインの推奨とすすんで最後に個人的なアプローチ方法を提示したいと思います。 臨床試験は? 安静度に関して:”HeadPost” NEJM 2017;376 […]

転移性脊髄内腫瘍 intramedullary spinal cord metastases ISCM

脊髄腫瘍は原発性のものは星細胞腫(30才まで)、上衣腫(30才以降)、血管芽腫など(もちろんこれ以外にもたくさんありますが)が知られていますが、転移性脊髄内腫瘍(intramedullary spinal cord metastases: ISCM)は非常にまれで(担癌患者の0.1-04%に髄内転移を認める、脊椎関連の転移のうち4%を占める)、MRIの発達と腫瘍の治療法が発達した現代になってようや […]

シロスタゾール cilostazol

作用機序 ・PDE3阻害薬で、血小板内のcAMP濃度を上昇させ血小板の活性化を抑制する働きをします。PDE3は血管平滑筋にも存在し、PDE3阻害薬は血管拡張作用をもつことが特徴です。・この血管拡張作用により慢性動脈閉塞症の第1選択、また日本では脳梗塞に対する適応があり、副作用の頭痛もこの血管拡張による機序が推測されています。 副作用 ・シロスタゾールは代表的な副作用として頻脈と頭痛の2つが特に重要 […]

重症筋無力症 治療

ここでは重症筋無力症の「治療」を扱います。臨床像や検査、診断に関してはこちらをご参照ください。また重症筋無力症クリーゼに関してはこの記事では扱わずこちらをご参照ください。重症筋無力症の治療管理は本当に医師によって大きく異なるところですが、2022年よりガイドライン改訂も発表され、一部その内容も踏まえてまとめていきます。まだ完全ではないのですが、適宜updateしていきます。 治療の原則 ・重症筋無 […]

高CK血症へのアプローチ

高CK血症で紹介受診になることはままあると思います。ここではそのアプローチに関して検討します。 鑑別 ・物理的圧迫:昏睡状態での長期臥床、事故での外傷・筋肉の過剰使用:痙攣、過度な運動、アルコール離脱症候群・熱性:悪性症候群、悪性高熱症、熱中症・電解質/代謝:低K血症、低P血症、低Ca血症、低Na血症、甲状腺機能低下症/亢進症、副甲状腺機能低下症・筋/神経疾患:炎症性筋疾患、筋強直性ジストロフィー […]

脊髄くも膜下出血 spinal subarachnoid hemorrhage

脊髄くも膜下出血は全くも膜下出血のうち1%未満と非常にまれな病態ですが、今まさに悩んでいます。血性髄液で頭蓋内クモ膜下出血がどうしても見つけられない場合(動脈瘤含めて)、鑑別に挙がる病態かと思います。 臨床像・原因 突然発症の背部痛が最も多いです。また通常CSFは流れているため血液を洗い流す”wash out”ため生理的に血腫(凝血塊)が形成されにくく、血液がくも膜下腔を通 […]

慢性硬膜下血腫 CSDH: chronic subdural hematoma

慢性硬膜下血腫(CSDH: chronic subdural hematoma)は日常臨床であまりにもcommonかつ臨床像が極めて広いです。私は手術する立場ではないので恐縮ですが、Geriatricsの領域でもとても重要なテーマであり簡単に調べた内容をまとめます。 病態 硬膜は大きく3層に分類され、硬膜下血腫が生じるのはこの一番下3層目の“dural border cell laye […]

infected subdural hematoma 感染性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫は日常臨床で非常によく遭遇しますが、同部位に感染をきたす症例は今回初めてです。勉強した内容をまとめます。一般的な慢性硬膜下血腫(CSDH: chronic subdural hematoma)に関してはこちらをご参照ください。 47例をまとめたliterature review(これが最大の報告) World Neurosurg. (2016) 87:663.e1-663.e8. ・ […]

帯状疱疹ウイルス感染症

水痘ウイルスは初感染後、後根神経節または脳神経節に潜伏しておりそれが再活性化することでその潜んでいた神経節(脳神経節)の解剖分布に沿った領域に症状を呈します。免疫抑制状態や加齢により頻度が増加することが特徴です。日常臨床で非常によく遭遇するため十分に理解することが必要です。 臨床像 一般的な帯状疱疹:疼痛(ぴりぴり)が皮疹に先行することが多く(75%)、疼痛だけの段階では診断が難しい場合も多です。 […]

PNES: psychogenic non-epileptic seizures 心因性非てんかん性発作

PNESはややハザマの分野になってしまい、上手くmanagementすることが極めて難しい病態です。先日も難渋する症例があり改めてまとめます。 背景・病態 ・まず「本人は決してわざと行っている訳ではなく、患者さん自身は困っている」という点がポイントです。この点で詐病(意図的に病気を演じている)とは全くなる点に注意が必要です。かつては「偽発作(pseudoseizure)」という言葉がありましたが、 […]