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2021年12月

TEA: transient epileptic amnesia

先日既報のTEAと臨床像がほぼ合致し、脳波上もcomfirmできた症例を外来で経験しました(確定診断例は実ははじめてです)。TGAの方が臨床像遭遇する機会は圧倒的に多いですが(TGAに関してはこちらのまとめをご参照ください)、重要な対立鑑別なので勉強した内容をまとめます。 臨床像 ・TGAと同じく発作性の前向性健忘+逆行性健忘が臨床上の特徴でその他の高次脳機能障害は伴いません。また自動症などを伴う […]

てんかんと精神症状

最近私の臨床はもっぱらこのテーマで悩まされています。調べると用語の統一などもいまいちであり、なかなかsolidな議論をしにくい内容ではありますが、調べたことをまとめさせていただきます(ほとんど自分用の知識整理で恐縮です)。報告により様々ですがてんかん患者さんに精神病合併は2-7%と報告されています。 ictal psychosis 発作時精神病 ■臨床像・部分(焦点)発作の症状(ictal)として […]

ラコサミド LCM: lacosamide

発売開始後から近年非常に処方する機会が増えた薬剤の代表がlacosamideです。優秀な新規抗てんかん薬をまとめて3L(lacosamide, levetiracetam, lamotrigine)と呼ぶこともあるようです。 薬剤の特徴 商品名:ビムパット 作用機序:Na受容体阻害 適応:部分発作(二次性全般化発作を含む) 半減期:15時間 約3日で定常状態に達する製剤:錠剤(50mg, 100m […]

てんかん 自動車運転

てんかんと自動車運転は切っても切り離せない重要なテーマです。今回はどちらかというと自分の知識の整理のための記事になってしまい恐縮ですが、あくまで参考とさせてくたださい。かなりまだまとめきれていなくて分かりにくい内容で恐縮です。 法律と歴史的な経緯 1960年:旧道路交通法「精神病者,精神薄弱者,てんかん病者,目が見えない者,耳が聞こえない者又は口がきけない者」は 絶対的欠格事由 に該当→意味:「て […]

翼口蓋窩 pterygopalatine fossa

学生の時に解剖の授業で勉強したけれど訳がわからなかった「翼口蓋窩」ですが、確かに臨床では特に耳鼻科・脳外科領域などで重要な解剖構造です。神経内科医はここは苦手な領域ですが、勉強しないといけない状況がときどき生じるため、以下にInsights Imaging (2016) 7:589 – 599と「画像診断 Vol.41 No.11 増刊号 2021」から学んだ内容をまとめます。 解剖 含む構造物: […]

舌下神経 hypoglossal nerve

発生と機能 いきなり衝撃的な事を書きます。舌下神経は12番目の脳神経と学生時代に解剖の授業で習いますが、発生学の教科書を読むと「舌下神経は頭蓋内に閉じ込められた脊髄神経である」(参考:ケント 脊椎動物の比較解剖学)と記載があり厳密には脳神経に分類されないことが書かれています。この根拠として発生学的に舌は鰓下筋であり、カエルやカメレオンの両生類や爬虫類は舌で獲物を捕らえる(手と同じ動きを担う)点で脊 […]

比較的徐脈・相対的徐脈 relative bradycardia

現在「不明熱+典型的な比較的徐脈+頭痛の20歳代男性、動物接触歴あり」の症例で悩んでいます。改めて”relative bradycardia”に関して学び直した内容をまとめたいと思います。教科書によって書かれている内容がまちまちで混乱するので、今回の記事はあえて完全に原著文献basedの記載にしたいと思います。以下は全てCunha先生の”The diagnost […]