注目キーワード
MONTH

2021年8月

感染性心内膜炎 IE: infective endocarditis

内科医にとって絶対に見逃したくない疾患が感染性心内膜炎です。最終的には心臓血管外科や循環器内科の先生方が診療する機会が多いですが、最初受診する段階で閾値を低くきちんと疑い・診断するようにしたいところです。最近もたまたま感染性心内膜炎を診療する機会があったため改めて勉強した内容をまとめます。 病態 菌血症から二次的に心内膜・弁に感染をきたし、以下の病像を呈します。1. 免疫反応:炎症反応、関節炎(発 […]

クレブシエラ感染症 Klebsiella

Klebsiella penumoniaeは腸内細菌科のGNRで市中感染、院内感染いずれの起炎菌ともなる重要な菌です(この他Klebsiella属で臨床的に重要な菌としてKlebsiella oxytoca, Klebsiella granulomatisが挙げられます)。またESBL産生菌など耐性菌の問題になることもE.coliと並んで大きい菌として挙げられます。自分が主治医として先日1例、また […]

急性間欠性ポルフィリン症 AIP: acute intermittent porphyria

人生で一度は診断をしたいなと思っていますが残念ながら私はいまだ診断できたことがない疾患です。この疾患の臨床像を初めて知ったのはドラマDr.House(シーズン1:第22話)で間欠的な腹痛、末梢神経障害、人格変化があり最初全く病気が想起できませんでしたが、答えはまさかの急性間欠性ポルフィリン症で非常に印象に残りました。腹痛で消化器内科の先生が診察する可能性や、末梢神経障害で私のような神経内科医が診察 […]

ラモトリギン LTG: lamotrigine

商品名:ラミクタール ■作用機序:Naチャネル阻害 ■代謝:肝臓 グルクロン酸抱合 *妊娠中やエストロゲンはクリアランス上昇あり・T1/2:25-30hr Tmax:3hr *バルプロ酸併用は半減期が2倍になる・血中濃度:3-15μg/ml TDM7日後gradeC *血中薬物濃度を出来るだけ測定したい(下図は抗てんかん薬血中濃度測定の有用性に関してのまとめ図) *2-20μg/mLという記載もあ […]

フェニトイン PHT: phenytoin

フェニトイン PHT: phenytoin 商品名:アレビアチン、ヒダントール ■作用機序:Na受容体阻害 ■代謝:肝臓 CYP2C9>2C19・酵素誘導:3A4,2B6,2C8,2C9,2C19・bioavailability:ほぼ100%・半減期:6-36hr・血中濃度:10-20μg/mL TDM5日後gradeA・中毒濃度:20μg/mL以上*フェニトインは投与量と比べて指数関数的に血中濃 […]

心肺蘇生 CPR: cardiopulmonary resuscitation

初期研修中に習得するべき基本中の基本が心肺蘇生です。これは何も考えず自然と体が動くことが重要です。 対応 1:意識の確認(刺激、呼びかけ)2:助けを求める3:呼吸・循環の確認(下顎挙上をしながら頸動脈に触れる・10秒間確認できなければ心肺蘇生アルゴリズムへ)*死戦期呼吸を正常な呼吸と勘違いしないことが重要4:以下の心肺蘇生アルゴリズムへ 胸骨圧迫 部位:胸骨下半分(剣状突起は押さない)回数:100 […]

ペランパネル PER: perampanel

商品名:フィコンパ■作用機序:AMPA受容体拮抗薬 *下図の通りpost-synapticに作用する点が他の抗てんかん薬との違いとして重要で、他剤でコントロールがつかず本剤でコントロールできる場合も確かにあります。 ■製剤:2mg/錠、細粒・Tmax=0.5~2.5hr・T1/2=76hr(半減期が非常に長いことが特徴)・代謝:肝臓 CYP3A4 ■適応:部分発作(二次性全般化を含む)・元々は他の […]

トピラマート TPM: topiramate

一般名:トピラマート topiramate 略号:TPM商品名:トピナ ■作用機序:グルタミン酸による興奮性伝達を調節+GABAなど幅広いspectrum・最高血中濃度:2-3hr・半減期:1日・血中濃度:5-20μg/ml TDM5日後gradeC・代謝:腎臓(腎機能による用量調節が必要)・製剤:25mg,50mg,100mg/錠、細粒 ■投与法開始:25mg~50mg 1錠分1~2錠分2 (少 […]

バルプロ酸 VPA

バルプロ酸は古くから使用されている抗てんかん薬で、それ以外にも精神疾患などでも使用することのある薬剤です。「古い抗てんかん薬」=「危ない薬」というイメージを持たれがちですが、バルプロ酸は決してそんなことはなく現代でも使用する機会の多い薬剤です(個人的にも新規に処方する機会が多くあります)。 バルプロ酸 商品名:デパケン、セレニカ 略記:VPA ■作用機序:GABA濃度増加など複数機序 ■適応:全般 […]

「ゲンロン戦記」 著:東浩紀さん

著者の東浩紀さんは私(管理人)の出身高校の大先輩にあたる方で、哲学からサブカルチャー、政治まで幅広い分野の論客として活躍されており、著作も沢山ありますが私自身がなかなかそれらのジャンルに馴染みがなく、あまり著作を読むことができていませんでした。そんな著者の作品で「ゲンロン戦記」が読みやすく昨今話題になっているとのことで今回読みました。これは哲学書ではなく筆者が立ち上げた「ゲンロン」というコミュニテ […]