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2021年7月

心因性と器質性疾患の鑑別

「心因性疾患は精神的ストレスから診断するのではなく、神経症候から積極的に診断するものだ」と教わりました。除外診断ではなく、また心理的なストレス要因が必須ではないとされており、神経症候からきちんと診断するべきです。またこれは医療従事者にもしばしば誤解されていますが、患者さんが意図的に医療者を惑わす「詐病」とは根本的に異なります(患者さんが意図的に行っている訳では全くない)。ヒステリーとの鑑別を通じて […]

振戦 tremor

振戦(tremor)は主動筋・拮抗筋が交互に収縮を繰り返す相反性(reciprocity)と律動性がポイントです。日常臨床ではよく遭遇するテーマなのでここで勉強した内容をまとめます。 分類 ■姿勢状況による分類 ・静止時振戦 resting tremor (代表)パーキンソン病・姿勢時振戦 postural tremor (代表)本態性振戦、甲状腺機能亢進症・動作時振戦 action tremor […]

アルコール使用障害/アルコール離脱

0:アルコール使用障害(アルコール依存)の評価 スクリーニング検査“CAGE”:以下4項目中2項目以上該当Cut down:飲酒量を減らさないといけないと感じたことがあるAnnoyed by criticism:他人に飲酒に関して指摘され気に障ったことがあるGuilty feeling:飲酒に関して罪悪感を持ったことがあるEye-opener:迎え酒をしたことがある 1:アルコール多飲患者で注意す […]

初学者のための頭部画像

脳の解剖と血管支配 主要な解剖構造 解剖と神経学的症候の対応関係 血管支配 主要血管(MRA)1.前方循環:内頚動脈-前大脳動脈-中大脳動脈2.後方循環:椎骨動脈-脳底動脈-後大脳動脈 *MRAでは主幹動脈と一部皮質枝のみ描出され、穿通枝は描出されない。*描出される血管の内、椎骨動脈は唯一生理的に左右差がありうる点に注意(片側の椎骨動脈が細いことがすぐに血管狭窄を意味する訳ではない)。 大脳・基底 […]

上肢単独麻痺を呈する脳血管障害

解剖 Penfieldのホムンクルスは脳の体部位局在を考える上で欠かせない知識になります。体部位局在の面積を体積に置き換えて人形にしたものが下図になります。見ていただくと分かる通り手が非常に大きな体積を占めていることが分かります。そして、このことを反映してどこかの部位単独の脳血管障害では上肢単独が最も多いです。脳血管障害というと半身が障害されるイメージがあるかもしれませんが、「上肢だけが障害される […]

三叉神経 trigeminal nerve

解剖 ・三叉神経は主に顔面の感覚を伝える働きを担い(耳より前の部分)、末梢ではⅤ1, Ⅴ2, Ⅴ3の3つに分類されます(Ⅴ3のみ運動成分を持ちます)。対側の視床に情報を伝え、視床と同側の大脳皮質へ情報を伝えます。・三叉神経の解剖の特徴を挙げると「三叉神経脊髄路は一度脊髄まで下降して左右交差してから再度上行する」という奇怪な走行をきたす点が挙げられます(脳神経の中でもかなり特殊です)。この特殊な解剖 […]

遺伝性脳小血管病

若年性脳血管障害で特に塞栓機序ではなく、小血管病を疑う場合に考慮すべきが遺伝性脳小血管病です。疾患名も遺伝子名も非常に覚えにくくややこしい領域ですが、勉強した内容をまとめます。 CADASIL :cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy 遺伝子:NOTCH3遺 […]