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2020年12月

PPMS: primary-progressive multiple sclerosis 1次性進行型多発性硬化症

先日外来で5年経過の緩徐進行性歩行障害を呈し神経学的所見上では痙性が目立つ症例があり、比較的高齢だけれど遺伝性痙性対麻痺かな?と思い精査した結果”PPMS”であった症例がありました。やはりPPMSは日常臨床でそこまで頻度が多いものではないですが、調べた内容をまとめます。 臨床像 PPMSはMSの病型のうちの1つ(RRMS, SPMS, PPMS)であり、MS全体の約10-1 […]

遺伝性痙性対麻痺 HSP: hereditary spastic paraplegia

病態・定義 遺伝性痙性対麻痺は臨床上は緩徐進行性の下肢痙縮と筋力低下を認め、病理学的には脊髄の錐体路、後索、脊髄小脳路の変性を認める神経変性疾患です。多くは常染色体優性遺伝で、一部常染色体劣性遺伝などが存在し、SPG〇〇と遺伝子に番号がふられています。細胞内輸送の障害(小胞体など)が病態の主体とされていますが、なぜそれが痙性対麻痺の臨床像を呈するのかはまだ解明されていません。 臨床的には痙性対麻痺 […]

脳血管障害と不随意運動

脳血管障害は続発性のmovement disordersのうち22%を占め、また脳卒中側からみると脳卒中全体の1-4%にmovement disorders(パーキンソニズムやchorea, ballism, athetosis, dystonia, tremor, myoclonus, stereotypies, akathisia)を合併するとされています(Lancet Neurol 2013 […]

髄液オリゴクローナルバンド(OCB)って何ですか?

髄液中で抗体が産生されているかどうか? 「IgG indexとは何か?」という記事で解説した内容と一部重複してしまいますが、改めて解説させていただきます(IgG indexの記事はこちらをご参照ください)。 中枢神経で自己免疫機序の病態があると、中枢神経で自己抗体が産生されます(例えば多発性硬化症や自己免疫性脳炎など)。もちろん具体的な抗NMDA受容体抗体など抗体がわかっていればそれを測定すれば良 […]

抗MAG抗体ニューロパチー

病態 異常蛋白血症に伴うニューロパチーの中に含まれます(異常蛋白血症に伴うニューロパチーに関してはこちらを参照ください)。IgM praproteinemiaに伴うニューロパチーのうち約50%で抗MAG(myelin associated glycoprotein:ミエリン随伴性糖蛋白質)抗体が陽性となります。MAGは髄鞘間の接着因子として機能している髄鞘構成蛋白で、下図の赤矢印部分をご参照くださ […]