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2020年12月

神経伝導検査 下肢

ここでは神経伝導検査の下肢に関して具体的な方法を解説します(施設毎に決まったやり方があると思いますのであくまで参考です)。上肢に関してはこちらをご参照ください。また神経伝導検査の総論・解釈に関してはこちらをご参照ください 脛骨神経(Tibial nerve) 神経根:S1(L4,5, S1,2,3)記録電極:母趾外転筋(AH: abductor hallucis) 舟状骨粗面より1cm後方、1cm […]

神経伝導検査 上肢

ここでは神経伝導検査の上肢に関して具体的な方法を解説します(施設毎に決まったやり方があると思いますのであくまで参考です)。下肢に関してはこちらをご参照ください。また神経伝導検査の総論・解釈に関してはこちらをご参照ください。 正中神経 神経根:C8/Th1(短母指外転筋の場合)、C6/C7(示指の感覚神経評価の場合)■運動神経の評価導出電極:APB(短母指外転筋)母指は屈曲・伸展・外転・内転・対立の […]

神経筋疾患による呼吸不全

神経筋疾患による呼吸不全の機序 神経筋疾患による呼吸不全の機序は以下の1-3が知られています。 1:上気道・咽頭・喉頭の筋力低下・嚥下機能低下により喀痰が貯留し上気道閉塞をきたす・喉頭周囲の筋力低下により仰臥位で上気道閉塞のリスクがある2:吸気筋力低下・吸気不十分により無気肺とそれに伴うV/Q mismatchによる低酸素血症、肺胞低換気による高二酸化炭素血症3:呼気筋力低下・通常呼気は受動的に行 […]

重症筋無力症クリーゼ myasthenic crisis

重症筋無力症クリーゼ(myasthenic crisis)は「咽頭筋、呼吸筋に高度の筋力低下が急速に生じて、挿管・人工呼吸管理が必要となる状態」をさします。重症筋無力症の経過中にクリーゼをきたす症例は15-20%程度存在するとされています(1/5はクリーゼが重症筋無力症の初発症状になるとされています)。重症筋無力症は気道・呼吸管理さえきちんとできていれば基本的に死に至ることはないため、気道・呼吸管 […]

Neuronopathy 後根神経節障害

病態・臨床像 ここでは一般的な”neuropathy”(ニューロパチー)ではなく、”neuronopathy”(ニューロノパチー)を扱います(私は医者になって初めてこの言葉を読んだ時誤表記かな?と思ってしまいましたが、誤表記ではありません)。”sensory neuronopathy”, “sensory gang […]

外側大腿皮神経 lateral femoral cutaneous nerve

解剖 ・外側大腿皮神経はL2,3の神経根から起始し、骨盤内で腸骨筋の表面を走行し、上前腸骨棘の約2cm内側(平均1.90cm Hernia 2016; 20:649–657)と報告あり で鼠径靭帯と縫工筋に挟まれるようなかたちで骨盤外へ出て、大腿外側へ分布します(純粋感覚性の神経)。 ・剖検での解剖は下図の通りです。 異常感覚性大腿神経痛 ・外側大腿皮神経は絞扼性末梢神経障害の原因として重要で、& […]

腋窩神経 axillary nerve

解剖 神経根:C5由来→腕神経叢:後神経束 *腕神経叢の解剖に関してはこちらをご参照ください。走行:外側腋窩隙(四角隙)を通過して三角筋、小円筋、上腕外側へ分布する。*外側腋窩隙(quadrilateral space):上腕三頭筋長頭、小円筋、大円筋、上腕骨で形成される支配筋:三角筋(肩関節外転)、小円筋(上腕外旋) *上腕外旋は棘下筋も担っている感覚支配:上腕外側(上腕外側皮神経) 腋窩神経麻 […]

Small fiber neuropathy: SFN

病態 ・Small fiber neuropathy(SFN)は末梢神経線維の中でもAδ線維(有髄)・C線維(無髄)を障害するもので、臨床的には疼痛・自律神経症状を主体症状とします。・症状としては灼熱感・針で刺すような痛みを訴え、夜間や温熱で増悪、allodyniaを認めるア場合や温痛覚低下を認める場合があります。・診察では大径有髄線維が関与する筋力・深部腱反射・触覚・深部感覚は障害されません。・ […]

抗ウイルス薬まとめ ヘルペスウイルス

ここではヘルペス系ウイルス感染症(HSV, VZV, CMVで使用するDNAポリメラーゼ阻害薬をまとめます。抗ウイルス薬は種類が多く名前もなんだか似ているためきちんと分類しないと混乱しやすい分野だと思います。インフルエンザウイルス治療薬や肝炎ウイルス治療薬、HIV治療薬に関してはこの記事では扱いませんのでご了承ください。 作用機序による分類 ・バラシクロビル(VACV)、ファムシクロビル(FCV) […]

単純ヘルペス脳炎 HSE: herpes simplex encephalitis

現在非常に重症な単純ヘルペス脳炎患者さんの診療をしており調べた内容をまとめます。 病態 単純ヘルペスウイルスにはHSV1とHSV2が存在しますが、前者のHSV1が単純ヘルペス脳炎の95%以上を占めます。ヘルペスウイルスの中枢神経への進展経路としては1:三叉神経あるいは嗅神経を介した直接浸潤2:中枢神経外での再感染からの波及3:中枢神経内潜伏感染の再活性化が想定されています。感染の機序としては1の直 […]