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2020年11月

ヘパリンブリッジ

「ヘパリンブリッジ」は慣習的に行われている施設が多いかもしれませんが、近年「ヘパリンブリッジは本当に意味があるのか?」というclinical questionが臨床試験で問われています。自分は今まできちんと元文献にあたれていなかったため調べた内容をまとめさせていただきます(以下では「ワーファリンのヘパリンブリッジ」に関してのみ扱います。DOACのヘパリンブリッジに関してはまた別途記載させていただき […]

Jolt accentuationと髄膜炎

“Jolt accentuation”は「頭部を自動的あるいは他動的に動かす(1秒間に2-3回首を回旋させる)と頭痛が増悪する」ことを意味し、髄膜炎を疑った際に用いる身体所見です(細菌性髄膜炎の一般に関してはこちらをご参照ください)。内原俊記先生が1991年Headacheに発表されたことに端を発します(Headache 1991;31:167)。 元々Kernig徴候やB […]

どのような病歴が「良い」病歴なのか?

「何が良い病歴で何が悪い病歴か?」正直私が初期研修医のときはあまり分かっていませんでした。とりあえず聞きまくればいいのかな?となんとなく思ってただ「長い病歴が良い病歴」と勘違いしていたように思います。ここでは何が良い病歴なのか?に関して私の考えを書かせていただきます。 患者さんの言う言葉をそのまま病歴にすれば良い訳ではない 私は普段神経内科医として外来をしていますが、パーキンソン病患者さんのフォロ […]

視床梗塞 thalamic infarction

視床は感覚情報や意識を伝える中継所を担っています。先日視床前部の脳梗塞によりabuliaが前景に立つ症例を経験したため、勉強させていただいた内容をまとめました。 血管支配 視床を支配する血管は大きく以下の4つに分類されます(下図参照:名称は文献により違いがあるが本記事は以下の名称で統一)。いずれも後方循環由来です。・tuberothalamic artery(Pcom由来 後交通動脈)・param […]

Cerebellar Bottom-of-Fissure Dysplasia

訳わからないくらいマニアックな内容ですみません。今回は完全に今一緒に診療しているチームのメンバー向けの内容で恐縮です・・・・。私の尊敬する放射線科の先生が教えてくださった内容です。 ■”Cerebellar Bottom-of-Fissure Dysplasia”の提唱 Cerebellum (2016) 15:705 – 709 “Cerebellar Bot […]

「天才はあきらめた」 著:山里亮太さん

私は特別お笑いに詳しい訳ではないのですが、テレビで山里亮太さんのゲストの発言に対する鋭いツッコミやコメントが好きで元々応援していました。本屋さんでご本人のメガネと同じ赤色で大きくかかれたインパクトのあるタイトル・表紙に心惹かれてつい本書を買ってしまいました。個人的にとても面白い本でしたので紹介させていただきます。 本書は山里さんがお笑い芸人になるまで、また現在に至るまでの自叙伝のような形式になって […]

レクチャーのご案内

今回の記事は医学内容の解説ではなく、レクチャーのご案内になります。 私(「医学事始」の管理人)は今まで勤務させていただいた病院で初期研修や後期研修の先生方を対象にときおりレクチャーを開催させていただいております。最近は私が直接勤務させていただいた事がない病院の先生方からもレクチャー依頼の声をかけていただくことがあり、お声がけ頂き大変ありがとうございます。そのような経緯からレクチャー開催のご依頼をこ […]

両側顔面神経麻痺を主徴とするGuillain Barre症候群:facial diplegia and paresthesia(FDP)

両側顔面神経麻痺の鑑別としてギラン・バレー症候群が挙げられます(後はサルコイドーシス、ライム病などが有名でしょうか)。ギラン・バレー症候群の経過中に顔面神経麻痺を合併することは一般的で24-60%に合併するとされていますが、これとは別に両側性末梢性顔面神経麻痺と四肢遠位部での異常感覚を主徴とする臨床亜型として“facial dipelgia and paresthesia” […]

神経サルコイドーシス 髄液検査

ここでは神経サルコイドーシスにおいて髄液検査が診断にどのくらい有用であるか?に関して調べた内容をまとめたいと思います。結論から申し上げると髄液所見はいずれも神経サルコイドーシスにおいて感度、特異度が十分ではありません。神経サルコイドーシスの診断ではやはり”Tissue is the issue”であり組織診断が欠かせません。 ■神経サルコイドーシスの髄液所見まとめ Neur […]