注目キーワード
MONTH

2020年10月

SSRI/SNRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬

作用機序 シナプス前細胞でのserotonin再取り込み阻害することによる、シナプス間隙のserotonin濃度上昇が作用機序です。 分類 ■SSRI ■SNRI 副作用 SSRIとSNRIの副作用は基本的に同じです。三環系抗うつ薬と異なり抗コリン作用がないため使いやすい点が特徴として挙げられます。・嘔気・下痢 最も頻度が多い・睡眠障害 不眠、傾眠どちらもあり・性腺機能障害 性欲減退など・体重上昇 […]

分水嶺領域の脳梗塞 watershed infarction

0:分類と解剖 2つの主幹動脈の境界部分を分水嶺領域(watershed area/ border zone)と表現し、同部位に脳梗塞をぶきたす場合があります(脳梗塞全体の約10%を占めるとされています)。分水嶺領域は“external(cortical) border zone”と“internal(subcortical) border zone” […]

サルモネラ感染症

ここではチフス以外のサルモネラ感染症を扱います。具体的な菌としてはSalmonella(S.enteritidis/S.typhimurium/S.heidelberg/S.newport/S.agona)による感染症です。腸内細菌科のGNRで、基本自然界のどこにでも存在しているとされています。 感染経路 1:食べ物:卵、鶏肉が代表的*卵黄1/10,000はSalmonella enteritid […]

下痢 救急外来編

0:はじめに 院内患者の下痢に関してこちらにまとめましたので、今回は救急外来での下痢対応に関してまとめます。特にここでは救急外来での頻度が多い急性下痢(発症から2週間以内)に関してまとめます。私は急性下痢症に関して以下の3通りに分類しております。 1:腸炎 ウイルス性・細菌性腸炎、寄生虫感染症2:中毒 Toxic shock syndrome・コリン作動性中毒・セロトニン症候群・甲状腺クリーゼ3: […]

HIT: heparin-induced thrombocytopenia

病態 HIT(heparin-induced thrombocytopenia)はPF-4(platelet factor:血小板放出)とヘパリンの複合体に対する抗体形成により血小板が減少しますが、出血合併症が起こるのではなく逆説的に血栓症を合併する病態です。未分画ヘパリンを7-10日間投与されている状態がリスクが高く、心臓手術後は約1-3%に認めるとされています。HITと確定した患者の約50%に […]

抗精神病薬 まとめ

1:作用機序 抗精神病薬は(向精神薬との違いに注意)、脳内のドーパミン受容体阻害をすることが作用機序です。しかし、脳内のドーパミン経路は中脳辺縁系、黒質線条体系、下垂体漏斗系と複数の経路があり、これらも阻害してしまうことによりさまざまな副作用が生じてしまいます。 脳内のドーパミン経路■中脳辺縁系・中脳皮質系→認知機能低下、抑うつ■黒質線条体系→錐体外路(パーキンソン症候群)■下垂体漏斗系→高プロラ […]

原発性アルドステロン症 Primary Aldosteronism

1:なぜ過小診断なのか? 原発性アルドステロン症は過小診断”Under-diagnosed”であると報告されています。多い報告では11.2%が原発性アルドステロン症であったと報告されています。高血圧患者の1~2%にしか原発性アルドステロン症の検索がされていないとも報告されています。 低K血症が有名ですが、逆に「低K血症の高血圧患者」しか原発性アルドステロン症のスクリーニング […]

発熱へのアプローチ:救急外来version

救急外来での発熱の鑑別は無数にあり、体系的なアプローチを持っていないとただ漠然と身体所見をとったり、肺炎と尿路感染症ばっかりを考えてしまうことになりかねません。ここでは普段私が救急外来で研修医の先生方と話している発熱へのアプローチを紹介させていただきます。(ちなみに入院患者さんでの発熱へのアプローチはこちらもご参照ください) 1:どこの臓器の感染なのか? 個人的には救急外来の発熱診療はどうしても忙 […]

MDSとBehcet病

MDS(myelodysplastic syndrome)では免疫システムの破綻が病態に関与していることが知られており、MDSの10-20%に自己免疫疾患を合併すると報告されています。 ■自己免疫疾患を合併したMDS123例のまとめ Rheumatology 2016;55:291-300 MDS/CMLL合併した自己免疫疾患としては血管炎32%(PN12例、GCA9例、Behcet病6例:全体の […]

MVNT: multinodular and vacuolating neuronal tumor

先日この疾患の名前を読影レポートで読み「???」だったため調べました。 MVNTは2013年にはじめて疾患概念が提唱された疾患概念で、成人の大脳半球皮質髄質境界部分に発生する異型神経細胞(腫瘍か形成異常かは結論が出ていない)による多発結節状病変です(Brain Pathol 2013;23:515)。2016年のWHOの分類ではganglion cell tumorに分類されていますが、腫瘍か形成 […]