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2020年9月

PAF: pure autonomic failure 純粋自律神経機能不全

病態 純粋自律神経機能不全(PAF: pure autonomic failure 以下PAFと表記します)は末梢の自律神経にαシヌクレイン蛋白が異常集積し、遠心性節後神経が主として障害さることが特徴の神経変性疾患です(求心性線維は比較的保たれるとされています)。1925年Bradbury and Egglestonによって報告されたことに端を発します。自律神経障害の総論に関してはこちらにまとめが […]

SBMA: spinal and bulbar muscular atrophy 球脊髄性筋萎縮症

病態 X染色体上のアンドロゲン受容体遺伝子のCAG repeat異常(38以上、通常は11-36、*47前後が多い(最大62))により変異AR(androgen receptor)が下位運動ニューロン核内に集積していくことが病態です(別名:Kennedy Alter Sung syndrome)。リピート数は病態を反映し、ポリグルタミン病のためanticipation(表現促進現象)があるが(世代 […]

パーキンソン病患者の周術期管理

神経内科医の仕事(コンサルテーションでよくある依頼)としてパーキンソン病患者さんの周術期での薬剤調整があります。以下術前、術中、術後管理に分けて記載させていただきます。 術前の管理 ■術前に中止するべき薬剤:MAOB阻害薬(セレギリン・ラサギリン) ・MAOB阻害薬とオピオイド薬の併用でセロトニン症候群を引き起こす可能性が示唆されています(セロトニン症候群に関してはこちらにまとめがありますのでご参 […]

morning glory sign

“morning glory”は朝顔のことを意味し、”morning glory sign”は進行性核上性麻痺(以下PSP)の患者さんの頭部MRI画像検査の所見として提唱されているものです。私は恥ずかしながら全く知らなかったのですが、先日読影レポートに記載があり勉強させていただきました。 一番最初に報告されたのはおそらくこの論文(Magn Reson […]

薬剤性歯肉増殖 Drug-induced gingival overgrowth

歯肉増殖をきたす内科疾患として最も重要なものは急性骨髄性白血病(特にM5)が有名ですが、薬剤性も原因として多いです。 歯肉増殖が副作用としてある薬剤は・カルシウム受容体拮抗薬・免疫抑制剤(シクロスポリン)・抗てんかん薬(フェニトイン)の3つが代表的です。歯科関連の合併症ではありますが、内科医として知っておきたい副作用です。治療は基本的に原因薬剤の中止と歯の衛生状態の改善です。歯科の先生との連携も大 […]

円蓋部くも膜下出血 convexity subarachnoid hemorrhage: cSAH

くも膜下出血で有名なのは動脈瘤が破綻することによる脳底部のくも膜下出血ですが、円蓋部脳表の血管が破綻することにより円蓋部くも膜下出血(cSAH: convexity subarachnoid hemorrhage)をきたす場合があり、これは通常一般的な動脈瘤によらないものです。円蓋部くも膜下出血はその原因がある程度限られており、鑑別疾患を把握しておくと診断を絞りやすくなるためここで解説します。個人 […]

レベチラセタム LEV: levetiracetum

レベチラセタムは近年最も処方されるようになった抗てんかん薬でてんかん診療に慣れていない医師にとっても相互作用や副作用が少ない点から非常に処方しやすい薬剤です。その特徴に関してまとめます。 薬剤の特徴 一般名:レベチラセタム、商品名:イーケプラ® ■作用機序(下図参照)1:N型Ca受容体抑制、細胞内Ca遊離抑制2:シナプス小胞体放出抑制 代謝:腎臓(2/3)、肝臓(1/3)(CYPを介さない)  半 […]

重症筋無力症 myasthenia gravis 臨床症状と検査

病態 正常の神経筋接合部では以下の順序で刺激の伝達が行われます。 1.神経活動電位が前シナプスへ到達2.電位依存性Caチャネルが開口、Ca ionが細胞内に流入3.Achを含む小胞がexocytosisによりAChをシナプス間隙へ放出4.AChがシナプス後膜のnAChRへの結合5.nAChRのイオンチャネルが開口、Na+流入、K+流出6.筋終板(筋膜側)で終板電位が発生→刺激が伝わる7.シナプス間 […]

メトトレキサート MTX: methotrexate

作用機序 メトトレキサート(MTX: methotrexate)は葉酸代謝拮抗薬で核酸合成阻害をすることで、免疫細胞を抑制する作用を持ちます。 効果発現には数週間かかります。メトトレキサートは関節リウマチの治療でその地位を確立していますが、ここでは神経疾患で”Steroid sparing”として使用する場合を想定してまとめます(投与量に違いがあるくらいで、副作用や基本的な […]

橈骨神経麻痺 radial nerve palsy

解剖 ・橈骨神経(radial nerve)は腕神経叢の後神経束から分岐し、上腕骨のまわりを巻き付くように走行し(橈骨神経溝)、肘周囲で深枝(後骨間神経:運動神経)と浅枝(浅橈骨神経:感覚神経)に分岐します。内在筋は手背には存在しないため、内在筋は支配していません。 ・指伸筋(C8・下神経幹)はMP関節の伸展を担います。PIP関節、DIP関節の伸展は手内筋(虫様筋、骨間筋)が主に作用するため、指伸 […]