注目キーワード

LDH上昇へのアプローチ

採血結果のうちLDH上昇は「どーせなんでもLDHは上昇するだろー」と高を括って、原因をアセスメントされずに放置されているケースをしばしば目撃します。しかし、LDH上昇が手掛かりとなり病態解明のヒントとなることもあり、一度LDHに助けられるとそのありがたみを痛感する検査項目でもあります。ここではLDH上昇へのアプローチを解説します。

まずroutineで確認するのは同時採血のHb、血小板、血液像、CK、肝逸脱酵素です。これらから溶血性貧血はないか?横紋筋融解症はないか?肝逸脱酵素の影響か?を判断します。

そしてこれらのroutineでひっかからない場合は、腎臓が障害された場合の「腎梗塞」(詳しくはこちらをご参照ください)、肺が障害された場合の「間質性肺炎」・「ニューモシスチス肺炎」、そして組織が壊れる代表の「血液系悪性腫瘍」を考慮します。特に悪性リンパ腫などは持続的なLDH単独上昇だけが診断のヒントとなる場合もあるため、LDH上昇が持続しているときはかならず鑑別に挙げるべきです。

LDHの分画に関しては今まで自分の臨床経験ではLDH分画のおかげで診断に至った、もしくは診断の参考になったという経験は正直なく、意義はなかなか難しいところです(それでも提出することもあります)。LDH分画に関してはご意見もしございましたら教えていただけますと幸いです。

回診でもLDHはだいたいスルーされてしまっていることが多いですが、きちんと毎回原因をアセスメントする習慣をつけたいです。測定しているからには結果を解釈しましょう。