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2020年7月

抗てんかん薬と皮疹

抗てんかん薬(AED: anti-epileptic drugs)と皮疹(薬疹)はきってもきれない関係にありますのでここでまとめます。 1:各薬剤の頻度 平均すると1つの抗てんかん薬の使用で2.8%に皮疹があるとされていますあり(2.1%は皮疹により中断)。以下はNeurology 2007;68:1701より引用よりさせていただきました。 ■皮疹が多い薬剤 ・フェニトイン(PHT) 5.9%   […]

感染性心内膜炎と中枢神経合併症

感染性心内膜炎では神経学的合併症を20~40%合併するとされています。塞栓による脳梗塞、感染性動脈瘤、動脈瘤破綻による脳出血、くも膜下出血などが代表的な神経学的合併症です。ここではよく神経内科医が感染性心内膜炎に関してコンサルテーションを受ける点や疑問点をまとめて、現状解答できる内容を解説していきます。 神経学的合併症のリスクは何か? 塞栓症合併症リスクに関しては、様々な報告がありますが最大公約数 […]

NORSE:new-onset of refractory status epilepticus

「これまでてんかんの既往がない患者が、発熱を契機に薬剤抵抗性の難治性てんかん重積をきたす症候群」が指摘されるようになり、近年ではこれをまとめて“NORSE(new-onset of refractory status epilepticus)”と総称しています(元々発症年齢により名称が違っていました)。Ann acad med singapore 2005;34:417で初 […]

抗菌薬とてんかん発作

1:病態 ほとんどの抗菌薬(ペニシリン系・セファロスポリン系・カルバペネム系・フルオロキノロン系)が、神経抑制系のGABA受容体を阻害することで興奮系に傾くことでてんかん発作の閾値が下がる機序が推定されています。 カルバペネム系はこのほかにバルプロ酸の血中濃度を下げることでてんかん発作の閾値を下げることが指摘されており、添付文書上ではカルバペネム系とバルプロ酸の併用は禁忌とされています。 実際には […]

ChiariⅠ型奇形

先日ChiariⅠ型奇形と脊髄空洞症を合併している症例を経験しました。実は私はほぼ経験がなく、勉強した内容をまとめていきたいと思います。 病態 ChiariⅠ型奇形は小脳扁桃が脊柱管内へ病歴に下垂している状態です。Chiari奇形には複数のパターンがありますが、このChiariⅠ型が最も一般的なものです。病因は正確には分かっていないですが、発生の過程で後頭蓋窩が相対的に小さいため、小脳扁桃が後頭蓋 […]

病歴と日常生活

0:病歴は何を教えてくれるのか? 神経変性疾患は血管障害や感染症、自己免疫疾患などと異なりその多くが「緩徐発症」(insidious onset)の疾患です。ここで重要なのは「いつから障害があったのか?」と「どう障害部位が進展してきたのか?」を病歴でつかむことです。突然発症の疾患はその発症起点の把握が容易ですが、緩徐発症の場合は「いつまで大丈夫で、いつから病気が始まっていたのか?」を把握するのが難 […]

病歴 「突然発症」へのアプローチ

ここでは病歴の発症様式、特に「突然発症」(sudden onset)に関して簡単に解説します。主に初期研修医の先生方向けの内容になります。 1:突然発症と急性発症を区別する いきなりですが、突然(sudden)と急性(acute)は明確に区別する必要があります。「突然発症」は発症時の何時何分が特定できる状況を意味し、「急性発症」は特定できない状況を意味します。よく病歴のプレゼンテーションで突然発症 […]

再発性髄膜炎 recurrent meningitis

再発性髄膜炎は最低2回の細胞増加を伴う頭痛、発熱、髄膜刺激徴候(間欠期に寛解している)と定義されます。実臨床でもよく遭遇するため、ここでは再発性髄膜炎に関しての素晴らしいreview”Curr Pain Headache Rep 2017;21:33″の内容をまとめます。 鑑別 再発性髄膜炎の鑑別は1感染症、2悪性腫瘍、3良性腫瘍、4薬剤性、5自己免疫性の大きく5つのカテゴ […]

中小脳脚病変

1:解剖 小脳全体で線維の割合は(入力40:出力1)となっています(出力は上小脳脚)。その中で中小脳脚(MCP: middle cerebellar peduncle)は脳幹と小脳を結ぶ最大の架け橋・求心性線維です。中小脳脚の病変がある側と同側に失調症状をきたします(2回交叉するため同側になる)。同部位に病変をきたす疾患をここではまとめます(全ての内容・図はWorld J Radiol 2015 […]

Cingulate sulcus sign

“Cingulate sulcus sing”は本日チームカンファレンスで後輩の先生から教えてもらったiNPH(正常圧水頭症)で有用な画像所見です(私恥ずかしながらこの所見を知りませんでした・・・)。日本からの報告(Radiat Med (2006) 24:568–572)を掲載させていただきます。 この研究は21人の健常者、10人iNPH、11人AD、5人PSP患者(いず […]