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入院患者のDVT予防

入院患者さんのDVT予防に関してまとめます。

薬剤による予防

抗凝固薬の未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、もしくはフォンダパリヌクスによる予防が用いられます。

未分画ヘパリンを1日2回 or 3回投与 or 低分子ヘパリンで予防効果、出血合併症の頻度を比べたmeta-analysisでは、いずれにおいてもDVT予防、PE予防、死亡、出血合併症に関して有意差は検出されませんでした(Chest  2011;140:374-81)。

総合的には「未分画ヘパリン5000単位 1日2回皮下注射」がDVT予防の基本となります。

DVTリスク評価 ”Pauda Prediction Score”

入院患者のDVTリスク評価として最も有名なものは”Pauda Prediction Score”です(Journal of Thrombosis and Haemostasis 2010; 8: 2450)。こちらは外科、内科患者いずれもincludeされていますが、DVT, PEはあくまで症候性のものに限っている点に注意が必要です(エコーで定期的にフォローしている訳ではない)。

出血リスク評価

入院患者の出血リスク評価として良く引用されるのが、こちらの研究です(CHEST 2011; 139(1):69–79  )。急性疾患で入院3日以上の15156人を対象としていますが、ここでは外傷、外科手術患者は除外されているため内科疾患での入院患者に限定して適応することが出来ます。以下のリスク因子が抽出されています。

点数が上昇するほど出血イベントが増加することが分かります。

7点以上、未満をカットオフとして出血イベント比べると下図の通りです。

この結果をもとにDVT予防を抗凝固とするか、抗凝固を控えて理学療法とするかが選択されるケースが多いです。

予防のアルゴリズム

今までの知識をまとめてガイドラインでは下図のような入院患者のDVT予防を推奨しています(Chest 2012;141:e195S-226S)。

今後はDOACが予防として有用かどうか?などが検討されていきます。